概要
バスやタクシーといった乗客を乗せて賃走(乗客から料金を徴収して運送)に必要なほか、ビジネスとしての運転代行を行うドライバーにも必要な免許。要するに金をもらって車で人を運ぶ場合に必要な免許である。
が、当然バスやタクシーでも賃走していない(旅客が居ない)状態
- 車庫や整備工場への回送。整備工場での試運転
- 個人が趣味で所有
等の場合は二種免許は不要である。
二種と表記されると一種の下位資格のように思えるが、上記の通り一種運転免許の上位資格である。
このように公的資格、国家資格のなかで一種が上位資格でないのは運転免許のみである。
更には
といった具合に「運賃を取らない」場合も賃走扱いにはならないので二種免許は不要である。
(ただしバス会社が「下請け」して幼稚園等に運賃を請求する場合は二種免許が必要)
このため上記の運転代行業でも、運転代行者は二種免許が必要だが、運転代行者を現地に送迎する運転手には必要ではない。
…まぁそうでないとヒッチハイカーどころか友人や家族を乗せるのにも二種免許が必要になるし。
運輸業のトラックは緑ナンバー(一部白ナンバー)だが、実際は貨物を運送しているので車両総重量に応じた1種免許で運転できる。
免許の種類
牽引二種免許を除き、21歳以上で他の2種免許を既に取得しているか、大型、中型、普通、大型特殊の各1種免許のうち何れか1つを取得し3年以上経過した者が取得できる。
大型二種免許
定員30人以上の車両(大型路線バス・観光バスなど)を運転できる二種免許。免許証には「大二」と記載される。
大型車、中型車、普通車を運転できるが、大型特殊車は運転できない。
中型二種免許
定員11 - 29人までの車両(コミュニティバスなど)を運転できる二種免許。免許証には「中二」と記載される。
普通二種免許
定員10人以下の車両のみ運転できる二種免許。免許証には「普二」と記載される。
タクシードライバーが持っているのはこの免許。AT限定免許の設定もある。
大型特殊二種免許
大型特殊車に該当する旅客車のみ運転できる二種免許。免許証には「大特二」と記載される。
決して大型二種の上位互換ではないので、この免許を持っているだけでは大型車、中型車、普通車は運転できない。
元々は人員輸送用の雪上車や全地形対応車などを使用して公道を賃走するために設定されたものと思われるが、現在の日本ではそのような運用例は存在しない。
そのため、法律にも教習に関する規定がないので、教習所では取れず、試験場での一発試験でしか取れない。フルビット免許を目指す際の最大の試練。
けん引二種免許
トレーラーバスの運転に必要となる二種免許。免許証には「け引二」と記載される。
21歳以上で大型、中型、普通、大型特殊の各1種免許のうち何れか1つを取得し3年以上経過、更にけん引免許を既に取得したこと、他の二種免許を取得している者が取得できる。
日本の旅客車で同免許が必要となるのは西東京バスが武蔵五日市駅 - つるつる温泉間で運行していた「機関車バス『青春号』」のみであったが、2023年3月31日をもって廃止となった。かつてはトレーラーバスが全国各地を走っていたこともあったが、客席部の火災に運転手が気付けないという構造上の欠陥があった為急速に廃れていった。
また連節バスは構造上切り離しが不可能なためけん引免許は不要であるが、運行しているバス会社の多くでは社内規定で取得を義務付けている。
こちらも教習に関する規定が法律にないため、試験場での一発試験しかない。
試験
乗客の生命を預かるというその性質から合否採点基準は非常に厳しい。特に教習所に通わずにいきなり試験場で受ける一発試験の合格率は10%程度と言われている。
試験車両
実技試験に使われる車両は大型二種の場合は車長11mで乗車定員30人以上のバス、中型二種の場合は車長9mで乗車定員29人以下のバス、普通二種は普通乗用車で行う。ちなみに大型・中型二種の実技試験用車両に使われるのはいすゞのエルガ・エルガミオ、日野自動車のブルーリボンが多い。