概要
一般には飲食店や居酒屋などから自宅或いは宿泊先のホテルや旅館まで、持ち主に代わって自家用車を運転してもらい、その対価として料金を支払う業種。
依頼者のみを自社の車両に乗せて輸送するタクシーとは似て非なる業種である(タクシー会社が運転代行業者も兼業しているところもある)。
その性質上、電車や路線バスといった公共交通機関が発達し、なおかつそれらが夜遅くまで運行している大都市圏よりも、それらが未発達(あるいは衰退した)なためにマイカーでの移動が主となりがちな郊外や地方で普及している。
しかし、2000年代以降の悪質な飲酒運転による悲惨な大事故の頻発と、それに伴う危険運転致死傷罪などの新設といった飲酒運転に対する厳罰化もあり、近年は都市部においても新規開業やタクシー会社の参入の動きがある。
代行は運転手1人だけのタクシーと異なり、2人1組で行うのが一般的である。
1人が依頼者の車を預かる形で代行運転し、もう1人は自前の随行用車両で依頼車の車を後追いする。なお随行用車両はタクシー代行を除き、自家用登録の車両を使用する。
この時依頼者自身は目的地へのナビゲートや車内での粗相の危険性、自家用登録車両に人を乗せると白タク行為になるため原則依頼者の車に同乗する。
運転代行を利用する場合、依頼者は利用したいときに代行業者に電話をかけて配車してもらうパターンが多い(予約制の業者もある)。
また、地方や郊外の赤提灯やバーといった、酒類をメインで提供するお店にはそれぞれ懇意にしている運転代行業者が大抵存在するため、店の人にお願いすれば手配してくれることも。
料金は会社によって異なるため一概には言えないが、数kmまでの基本料金と一定距離で加算する爾後料金の2つを組み合わせるのがオーソドックス。
迎え先によっては迎車料金がかかることや、出発・到着時間帯によっては割増料金がかかることもある。
送り先に到着後、随行用車両に取り付けられた料金メーターで料金を確定させ支払う。
現金のみが圧倒的だが、商品券やタクシーチケット、クレジットカードなどでの支払いに対応する業者や、頻繁に利用するお得意様向けに請求書支払いに対応する業者もいる。
料金精算が終了後、依頼者の車を運転したもう1人のドライバーが随行車に乗り込み、営業所に戻る。
ただし業者の規模によっては、1件予約をこなしたらすぐ次の依頼者の下へ向かうこともある。
2000年代初めの頃までは運転代行業には明確な法規制がほとんど無く、タクシーには必要不可欠な二種免許も不要だったため、素人でも簡単に開業できた。
しかし、2002年の道路交通法改正に併せて運転代行業にも法規制がなされ、しかるべき場所への届け出と認可が無い業者は営業不可能となった。
加えて、2年後の2004年には依頼人の車を直接運転する者には二種免許の取得が義務付けられ(随行用車両のみを運転する者には二種免許は不要)、現在の代行運転者はよりタクシードライバーに近い性質となっている。
そもそも、自社車両だけを運転できれば基本的に問題無いタクシードライバーと異なり、運転代行業はその時その時の状況に応じて様々な車種の車を運転できなければ務まらない仕事であるため、取得に際してある程度の運転経験が求められる二種免許の取得義務化は必須といえよう(実際、法規制開始前は素人同然の代行業者による事故やトラブルが少なくなかったらしい。)
なお二種免許が必要なのは普通自動車のみなので、中型免許や大型免許が必要なトラックやマイクロバスを代行する時は中型・大型の一種免許を持っていればいいのだ。法の抜け穴みたいなものなので何れ塞がれるかもしれないが。
なお、前述の通りタクシー会社が運転代行業を兼業で行っていることもある。
この場合、随行車両が営業ナンバー登録のタクシーになり、依頼者はタクシーに乗って、依頼者の車は代行ドライバー1人だけが乗り込んで運転する。
料金はタクシー料金+代行サービス料という形になる。
最後に、運転代行は飲酒した人しか使えないというわけではない。
「疲れて運転する気力がない」とか「急な体調不良ですぐに家に帰りたいが、車を置いておくわけにはいかない」などの理由で代行を呼んでも良いのである。
関連項目
飲酒運転…運転代行はコレをさせない(=犯罪防止でもある)ための業種、とも言える。