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就職氷河期

しゅうしょくひょうがき

就職難が続いた時代。通常は1990年代以降の日本の就職難を指す。
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就職氷河期

バブル景気が終焉を迎えた1990年代中盤から2000年代まで続いた就職難の時代。概ね1993年卒から2005年卒を指す。


この時代に社会に出た世代の人々を氷河期世代、あるいは「ロスジェネ(失われた世代=ロスト・ジェネレーションの略)」と呼ぶ。


経過

「就職氷河期」が叫ばれ始めたのは1992年(1993年卒)から。バブル崩壊期は「3つの過剰」(雇用、設備、債務)が叫ばれた時代で、企業はバブル期の過剰な雇用による人件費を圧縮するために、企業は軒並み新規採用の抑制を始めた。1996年には就職協定(採用早期化や就職活動の過熱を予防するための企業の自主規制。 大学4年生の8月20日会社訪問開始、11月1日内定解禁)が撤廃され、大学3年生は学業そっちのけで就活に走り回るようになった。


特に1997年には消費税引き上げ、アジア通貨危機、山一證券破綻などが次々と起こり、先行き不安の企業は採用を極度に絞り込んだ。この結果1998年卒以降は「超・就職氷河期」と言われる状態になり、高卒大卒を問わず新卒者は中々就職出来なかった。2003年の新卒就業率は実に55.1%で、高校大学を出た人の半分近くは就職できなかったのである。


当時は「即戦力の学生しか採らない」という矛盾を堂々と口にする人事担当者が当たり前のようにいた時代で、旧帝大早慶のような難関大学の出身者でさえも就職に失敗し派遣社員フリーターになる人も普通だった。何とか新卒で正社員になれたとしても、自分の適性や専攻と異なる分野の仕事に就かざるを得なかったり、圧倒的な「買い手市場]により増長したブラック企業で心身を壊す者が続出した。悪名高い圧迫面接が横行し、就職活動中にメンタルを破壊されて引きこもりに陥る人もいた。


また、国や自治体の失政もこの就職難を後押しした。竹中平蔵らの提言をもとに「成長戦略」として、多くの業界で労働者派遣法の緩和や労働時間の規制撤廃などの労働規制緩和が図られ、民間雇用者の賃金が下落(賃金デフレ)してしまったのである。この結果、成長どころか多くの若者を路頭に迷わせ、少子化を加速させる結果となった。


小泉純一郎政権下の新自由主義的政策で公共事業がガッツリ減らされ、建設業は新規採用がなくなった。トラック路線バスタクシーなどの運輸業界も小泉政権下の規制緩和で過当競争となり、新人を育てることすら難しくなった。


そして政府は氷河期世代への支援を何もせず、彼らを「自己責任」の名の下に切り捨ててしまったのである。さらに当時のメディアも政府の姿勢を支持し、「若者の甘え」を強調したことで、氷河期世代でない市民が当事者の辛さを理解することはなかった。氷河期世代が社会に対して強い恨みを持つ原因の一つと言える。


その為、当時の新卒者の大半は安定雇用が望める公務員枠に殺到したが、当時は「財政再建」が強く叫ばれ、国や地方自治体は業務を外部委託(アウトソーシング)に出したり臨時雇用の職員(いわゆる官製ワーキングプアの温床)に置き換えて新規採用を極度に絞り込んだのである。それなりの規模の都市の職員採用や教員採用も「若干名」や「ゼロ」というのがざらで、公務員試験の倍率は数百倍から数千倍にも達した。


また、中には国家資格などの特定の資格を得て専門職に就職する者も少なくなかった。それでも当時は決して安定してたとは言えず、専門職の場合は普通の就活とは比べて選択の幅が更に狭まり、倍率が上がる為、決して容易ではない。更に資格を得ていたとしても実務経験や実績等の有無が原因で不採用になったり、仮に就職できても当時は能力より即戦力や実力主義を有視されていた為、結果的に新卒の大半は上記の派遣社員や契約社員として雇用されてしまうケースが多々あった。挙げ句の果てには時代の流れによって資格の重宝さが変わる事もあり、仮に資格を得ていても全く募集していない事もあり、結局苦労して得た資格も役に立たたず、別の職に就職するケースもあった。


新しい雇用の受け皿として成長したのはIT介護、そして竹中が会長を務めていたパソナなどの人材派遣業だった。いずれもブラックなイメージがあるのは偶然ではない。氷河期世代はこれら業者に新鮮な労働力を供給する、いわば燃料になったのである。


2007年団塊の世代定年退職の時期を迎え始めた。これにより悲惨を極めた新卒就職情勢はようやく好転(回復は2006年卒から)。就職難の時代にはいったん一区切りがつく。が、これは日本の生産年齢人口が急激に減少しはじめたためであって、日本経済は坂道を転がり落ちるように縮小していく。


こうして、長く続く就職難の時代は日本に決して癒えることない傷跡を残したのであった。


新就職氷河期

2010年卒から2012年卒まで。第二次就職氷河期ともいう。2000年代後半にいったん好転した就職戦線は2008年リーマンショックで暗転する(リーマンショックは2009年卒の就活がほぼ終わった時点での発生だったが、「新卒切り」などの影響はあった)。2010年大学卒業者の就職率は60.8%まで急減した。


もっとも、新就職氷河期の襲来は短期間で終わり、2011年東日本大震災後は景気も緩やかに回復に向かい、2014年卒以降は一転して「売り手市場」になる。このため、第二次就職氷河期時代に社会に出た人々は「氷河期世代」には含まないことが多い。


海外の就職氷河期

韓国

韓国ではアジア通貨危機(IMF経済危機)の1997年以後に景気が急激に悪化し、金大中政権による労働法制の改悪が追い討ちをかけ、不安定労働者(プレカリアート)が激増している。2007年時点の20代(1978年-1987年生まれ)は日本の同年代生まれと同じく就職難に遭遇し、契約社員や請負・派遣・アルバイト・パートなどの不安定雇用に泣き寝入りしている者が非常に多い。韓国で若者就職難を平均賃金88万ウォン(非正規職の平均賃金119万ウォンに20代の給料の平均比率74%をかけた20代の平均給料)、「88万ウォン世代」と呼ばれている。現在でも韓国の4大大学の就職率は70%ほどしかなく、日本の就職氷河期と同水準である。文系はさらに低い54%である。これらによって結婚やマイホーム、人生の全てを諦めた「N放世代」という言葉が生まれた。このような状況を揶揄してヘル朝鮮というスラングも登場している。


スペイン

先進国において世界最悪クラスの(日本は比にならない)就職氷河期になった国。EUに加盟し、通貨をユーロに変えると、当時スペインは高い成長率でありながら、為替変動リスクがなくドイツと同等の信用力を手にしたことが投資家に好まれ、資金の流入が進んだ。そして、ユーロ圏共通の金融政策の影響でスペインにとって比較的低金利が維持された結果、住宅ローン金利が低下し、不動産バブルが引き起こされた。この頃の好景気や、規制の緩やかな移民政策によって移民の流入も続いたこともバブルを後押ししたといえよう。2004年に長期国債がトリプルAの格付けを取得してからは資金流入がさらに加速し、不動産市況は高騰が続いた。


しかし、2008年に入ると、世界的な金融危機を契機として信用収縮が起こり、住宅取引や建設発注が止まり、不動産バブルは崩壊した。バブル崩壊によって建設の仕事もなくなり、ただでさえ少ない雇用に70年代後半生まれのスペインのベビーブーム世代がスペインの解雇規制の厳しさによって首切りができず、2008年以降に社会に出た者は氷河期世代となった。若年層の失業率は40~50%以上にもなる。このため仕事ができずに20代半ばを過ぎても親の元に住んでいる若者が増えている。


だが、このような状態にもかかわらずスペインの若者には悲壮感がなく、歌ったり踊ったり、楽しく過ごしていた。自殺率も日本の半分ほどであった。詳細は不明だが、比較文化学者のなかにはこれはスペインと日本の宗教観の違いが影響していると考える人がいる。「因果応報という言葉があるように、仏教においては、悪行には悪事が、善行には幸運が返ってくると考える。そのため、就職氷河期に代表されるような不幸は本人の努力不足が招いたものと考えられ、社会的弱者に対する風当たりが強い。祟り神という概念を持つ神道も同様であり、更に穢れ思想も加わる事で日本では「努力は必ず報われる。報われないのは努力が足りないせいだ」という考え方(公正世界仮説という)が受け入れられやすいため、氷河期世代は社会において居場所がなくなりがちである。避難者いじめやセカンドレイプといった被害者叩きが横行するのも同じ理由による。対して、徹底的な性悪説をとるキリスト教においては、「不幸は神から与えられた人生の試練であり、例え報われなくても苦難に乗り越えようと足掻くことそのものが、誰しもが生まれながらに持って生まれてきた原罪を許されるために必要な善行となる」と考えるため、社会的弱者に対する風当たりは日本ほどには強くない。宗教観が薄れた現代においても、ある種の不文律としてこの感覚が社会に残っているため、スペインの氷河期世代は日本の氷河期世代ほどには人生に絶望する必要が薄いと考えられている。


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