概要
法令や規約で明示されていない決まり事。暗黙のルール。暗黙の了解、暗黙の掟とも。
常識やマナーと重なる概念であるが、マナーについてはガイドライン(必ずしも法的拘束力はない)などとして明文化されている場合もある。
スポーツにおける不文律
スポーツにおいては、成立過程で競技を安全に進めるためにルールなどが整備されていったが、中には明文化されずに今日まで存続しているルールがある。明文化されていないために罰則規定がなく、遵守が徹底されているわけではない。破った場合には大抵の場合顰蹙を買う程度で済むが、ものによっては相手選手による報復行為が行われる、ということもある。
このような明文化されないルールが存続している理由には次のようなものが挙げられる。
- 勝負がすでに決した状態でさらにスコアを広げ、相手に余計な恥をかかせたり記録の価値を下げさせないため。
- マナー違反によるエスカレーション防止。
- いつまでも試合が終わらないことによる負傷の可能性を下げるため。
- 勝敗に直結することも多く、明文化が難しい。
野球(非常に多いため一部)
- 大量リード時に盗塁、送りバント、ノースリーからのフルスイングなど積極的な攻撃姿勢を見せてはならない。最悪報復死球の対象となる。
- 投手は野手のミスに不満を見せてはいけない。
- 日本の場合、死球を与えた際投手は当てたことを謝罪するため帽子を取る。アメリカでは「当てたのはわざとではない」ことを示すため取らない。
サッカー
- 負傷者のためにボールを外に出したら、相手チームはボールを返す。
- 古巣を相手にした試合でのゴールでは喜ばない。
- 派手な技を用いて相手を抜き去ってはならない。最悪報復ファウルの対象となる。
バスケットボール
- 大量リード時に派手な技を見せてはいけない。
ロードサイクリング
- 地元選手が、家族や友人に挨拶をするための「逃げ(集団から先行する行為)」は容認する。逃げた選手は、事前にチームや集団に挨拶することを告げ、集団が追い付くまで待つのがマナーとなっている。
- チェーンが切れるなどの相手のアクシデントにつけ込む行為はしない。
ギャンブルにおける不文律
- 競馬場などでタバコを吸う際、火の貸し借りをしてはいけない。また、傘の貸し借りもしてはいけない。これは、「賭場=鉄火場」というゲン担ぎから、「火を貸すとツキが落ちる」などというジンクスに由来する。
- その筋の人々の賭場において、自分の履物を綺麗に揃える。また、他人の履物と間違えてはいけない。これは、「履物=足→アシ=お金」、つまり、「自分の履物が無くなる=自分のお金が無くなる」というゲン担ぎから。
趣味における不文律
写真撮影
よく知られているように写真愛好家、特に撮り鉄は治安の悪い界隈であるため、不文律を知らないで振る舞うと先達から罵声を浴びる恐れがある。
また、不文律を踏まえた行動であっても長時間の撮影スポット占有や通行妨害などの行為は迷惑行為に当たる可能性もある。
不法侵入や破壊行為、著作権侵害などマナー以前に法律に触れることはここでは記さない。
- 場所取りは先着が優先。自分より早く到着した人がいたら、邪魔しないよう横や後ろに並ぶこと。結果として撮影スポットには脚立や三脚などが林立し「ひな壇」が形成される。
- 夜間撮影で他の撮影者がいる場合はストロボは使ってはならない(長時間露光での撮影を妨害するため。なお運行中の車両にフラッシュを焚くのは不文律以前に運転士の目をくらませる危険行為でもある)
- 人物撮影の際は声かけして許可を求める(被写体が子どもの場合、保護監督者の親などの許可が必要。ただし、人物メインの写真ではなく風景の一部として人物が写りこむ程度であれば一般に許可を求める必要はないとされるが、不快に思う人もいる)
- モデルに撮影に関係のないことを要求しない(贈り物や手紙を渡す、連絡先を交換することを求めるなど。出会い厨は出禁になることもある)
アーケードゲーム
- 現在では廃れているが、格ゲーなどでコインを連投して続けてはいけない。一昔前は、自身がプレイ中に順番待ちの人がゲームの台の端にコインを置く「置き金」をされると、そのゲームが終わったら強制的に交代しなければならなかった。