概要
国や地方自治体が公共施設やインフラの整備などを行うこと。「公共投資」とも。
公共事業で整備される施設としては、学校や体育館や役所や美術館(これら公共施設はハコモノと俗称される)、空港や道路などの交通インフラ、上下水道などの生活インフラ、ダムや堤防や遊水地などの防災インフラなどが挙げられる。
解説
公共投資の費用は、財政資金(政府資金)で賄いきれない場合は建設国債などを利用するが、財政投融資として政府系金融機関から資金を調達することもある。近年は、PFI(Private Finance Initiative)として請負事業者が民間市場から資金を調達して施設の建設と運営を行い、施設完成後に自治体が費用をサービス購入費として支払う手法もある。
目的は公共の利益や福祉の増進を図ることだが、建設事業を通じて雇用や有効需要を創出する景気対策という側面もある。
例えば交通事故が多く渋滞が深刻化している道路のバイパスを建設するとすれば、渋滞解消や交通事故の防止といった公共の利益、物流コストの削減といった経済波及効果が見込める上、建設事業そのものが雇用を産み、行政から業者に支払われる金が乗数効果をもたらすため、一つの投資が一石二鳥にも三鳥にもなり得る。
一方で、大型建設事業に偏重した財政政策や、需要を十分に検討せずに見切り発車で事業を開始することは"ハコモノ行政"と揶揄され、バブル期の前後に乱立したハコモノ(年金福祉事業団が年金を流用して建設したリゾート施設「グリーンピア」など)は民間事業者に投げ売りされたり、莫大な維持費が財政を圧迫し負の遺産になっているものも多くある。
道路や空港などの交通インフラは基本的に公共事業によって整備されるが、鉄道に関してはかつて政争の具となり(我田引鉄)、国鉄の大赤字の元凶になったこともあり、今は民間主導で整備される建前になっている(「我田引鉄」は高速道路や整備新幹線で再演されているのだが...)。