人材像としての「即戦力」
大抵の場合、中途採用者に求められる人材像である。
一部企業は新卒に即戦力を求めることがあるが、これは会社としての責任放棄に等しい。そもそも社会人未経験の学生上がりに社会人のいろはを求めること自体に無理があるし、従業員が何か問題を起こしても会社が責任をとる姿勢がないのではないかと疑われる。
弁護士やトラック運転手のような資格の求められる専門業務であっても、免許取り立ての新米では実際問題使い物にならないので、現場経験は欠かせない。
弁護士の場合は、司法試験合格後に1年間の司法修習を受け、さらにベテラン弁護士の営む法律事務所で実務の経験(概ね7~8年)を積まなければ一人前にはなれない。法律実務は多分に職人芸的な部分があり、弁護士に必要とされる交渉、文書作成、法律相談、尋問などのスキルは場数を踏まなければ鍛えられない。法律や判例の知識はあってもそれだけで役に立つわけではないのだ。
またトラックドライバーの場合、大型自動車免許を持っていて運転技術は身に着けていても業界未経験者は荷扱いの基本や業界の決まり事を知らないので、いきなり現場に放り込まれてもトラブル間違いなし。まともな会社なら入社後一定期間は即戦力として扱われることはなく、先輩ドライバーの運転する車両の助手席に乗り、運行ルートや納品ルールなどを覚えさせられるはずである。