団塊の世代
だんかいのせだい
日本において1947年から1949年までのベビーブーム期に生まれた世代を指す。
彼らの人生は、日本の戦後史にそのまま一致している。高度経済成長期〜安定成長期の「最もパワフルだった頃の日本」を一番よく知る世代ともいえる。
一方で彼らの生まれた昭和20年代はまだ戦争の爪痕も色濃く残っていた時代でもある。地方からの集団就職や集団進学(当時は正規就職をしながら夜間学校や大学2部に通う「2部学生」も多くいた)からはじまり、学生運動や狂乱物価、公害、オイルショック、そしてバブル崩壊など、昭和中期から平成に至る時代の荒波もひとしきり経験している。
子供の世代は団塊ジュニア世代及びポスト団塊ジュニアである。彼らの多くは1993〜2005年の就職氷河期の直撃を受け、経済的自立が困難となった。ブラック企業で心身を壊すなどの事情で引きこもりに陥った者も存在する(→子供部屋おじさん/8050問題)。
激動の時代を駆け抜け今に至るため、「自分たちが日本を支えた」「日本復活の貢献人」といった自尊心も強く、敗戦を経験した戦中世代に対して失敗体験も無いため、その克服に「努力さえすれば何とかなった」という根性論・精神論に依存しているところもある。日本の富と権力を握った「プチ成功者」として、武勇伝をやたら語りたがる、突然怒り出す、他人に苦労を押し付ける、戦前戦後の旧弊な価値観を押し付ける、ハラスメント行為に特化している、デジタル機器に弱いなどのステレオタイプで語られ、「老人叩き」のターゲットになりがちである。
1960年代後半~1970年代生まれ付近の世代(バブル世代・就職氷河期世代)が中心だった初期のインターネットでは団塊の世代への鬱憤をネットでぶちまけるという光景が多く見られた。
実際のところは、戦後の貧困に苦しみながら育ち、高度経済成長期には公害で健康を損ね、社会人になると仕事に没頭するあまり心身や家庭を壊し、あるいはバブル崩壊でリストラされ、わが子に希望を託すも肝心のその子どもは就職氷河期とブラック企業に摺り潰されて不幸な結果に....という具合に、不遇な生活を送る団塊世代の人々もいくらでもいるわけで、上記のイメージは往々にして実態とは大いに乖離している。
学生運動全盛期の当事者として全共闘世代の別名でも呼ばれ、日本中を震撼させた新左翼過激派によるテロ事件(よど号ハイジャック事件、あさま山荘事件、三菱重工爆破事件など)に関わったことも知られている。実のところこの世代の中で大学に進学した者はまだ少数派(15%くらい)であり、さらにこの世代の学生の中でも、学生運動に関わったにしても友人の誘いや暇つぶし感覚だったノンポリの者の方が多いことから、積極的に全共闘に関わったのは団塊世代でもほんの一握りにすぎない。さらに言えば、そもそも「学生運動=新左翼、過激派」ではない。当時は比較的穏健な旧左翼(日本共産党)系の学生運動もあれば、右翼系の学生運動(民族派と呼ばれた)も盛んだったのだが、後続の世代には三島由紀夫割腹ぐらいしか知られていない。