作品概要
作者弘兼憲史代表作の一つ。自らの体験談を基にして描いたとされる漫画。
時々リアルな展開が読者のハートを釘つけにした。
課長時代~
1983年、講談社「週刊モーニング」創刊時より正式名称『課長 島耕作』で連載。なお1話だけ『係長 島耕作』の名で掲載されているが、黒歴史。
本来なら課長の時点で終了すべきはずが絶大の人気により1992年より続編『部長 島耕作』シリーズが連載開始。作品中部長どころか子会社の「専務」や「社長」にされたり紆余曲折があったが
2002年にはついに本社栄転・取締役昇進を果たし、更なる続編『取締役 島耕作』が連載開始となった。
2005年には『常務 島耕作』、翌2006年には僅か1年にて『専務 島耕作』に昇進、この時所属する初芝電器産業の9代目社長就任争いが並行して行われており、作中で次期社長が島であるようなことが示唆されている。
社長時代~
そして2008年、ついに初芝の10代目社長に就任し、タイトルも『社長 島耕作』となる。この頃には日本のサラリーマン漫画の金字塔として知られており、島の社長就任がニュースになるほどであり、架空の社長就任対談まで行われた。
2013年、島は社長を退任し、初芝改めテコットの会長となる。同時にタイトルも『会長 島耕作』となり、2019年まで連載された。ちなみに社長退任もニュースになった。
2019年に相談役となる。同時にタイトルも『相談役 島耕作』に変更。
2022年モーニング13号にて島耕作、勇退となる。
青春時代~
並行して講談社イブニング誌には課長までの道のりをえがく青春時代を連載。新人時代の『ヤング 島耕作』から、主任昇進後の『ヤング島耕作 主任編』を掲載、なお主任時代のタイトルは『主任 島耕作』とはならなかった。その後係長登用試験に合格し『係長 島耕作』がスタート、同作最終回にて課長昇進が描かれ、ヤング時代と本編が一つのストーリーとして繋がることになった。
『係長』終了後、同誌では新たに入社前の学生時代を描いた『学生 島耕作』を2014年より連載している。ここでは後に島の裏情報ネットワークの根幹を成すと言ってもいい親友、木暮との出会いも描く。
『学生』終了後、同誌では新たに就職活動を描いた『学生 島耕作 就活編』を連載している。
現実世界とのリンク
島の勤務している初芝電器産業は、作者が漫画家デビュー前に勤務していた「松下電器産業」(現:パナソニック)をモデルにしているとされ、同社の好況不況や、三洋電機合併など、現実の「松下」の動向が作中の「初芝」の動向に色濃く反映されていることも多い。
また、島の社長就任・退任がニュースになったことは前述したとおりである。なお、同時期に「あぶさん」の引退もニュースになっているが、こうした現象は両者の同世代が社会の中枢まで出世し、社会漫画の中心的存在となっていることを意味しているとも言えよう。
作中の島さん等
そもそも当初は「平凡なサラリーマン島耕作が、作中に登場する女性たちに押し切られあれやこれやしてしまう」という内容であり、社会問題や社内抗争などは刺身のつま程度の存在だった。島の夜のあれのテクニックも平凡なものとされていた。
しかし時がたつにつれ島は覚醒していき、仕事は有能、しかもあっちの方も絶倫、とスーパーサラリーマンになっていった。この頃より、子会社出向など平凡ながらも順風満帆ではあった社内環境から激動の中に放り込まれるようになり、幾度とないピンチに直面し、かつそれをうまいこと乗りきってしまうことで、次第に出世の芽を掴むようになる。社内でも常務から一気に社長に昇進した中沢、その後任の万亀に気に入られ、無派閥ながら取締役就任後は出世の中枢を歩むこととなる。
なお派閥への所属を拒むのは「大きな力に身を委ねるのは性にあわない」という理由だったが、同期の樫村からは「ならどうしてサラリーマンを選んだ、なぜ初芝のような大企業にいるんだ」と指摘されてしまった。
この点は上述した「あぶさん」こと景浦安武が当初は飲兵衛の代打専用打者で、スタミナや守備に不安を抱えるなど決して一流プレーヤーとして描かれなかったのが、次第に作中で神格化されるほどの大物打者となっていった点と類似している。
部長編以後、専務編まであまり変化の無かった容姿は社長編後半から会長編以後は年相応の老けが見られるようになった。部長編での離婚後、独身を貫いていたが、長年の愛人であり初芝大株主の娘であった大町久美子と結婚した。
初芝における肩書きには、平社員から始まって主任、係長、課長代理、課長、部長、取締役、常務、専務、副社長、社長、会長、相談役などがあるが、会長以前の役職のうち島は「副」「代理」などがつく役職にはついていない。
その他
過去に何回かテレビドラマ、実写映画化もされた。
- 蛙男商会(FROGMAN)の手によりアニメ化のようなこともされたが、本編とは殆ど関係の無いパロディものチックに仕上がっている。『週刊シマコー』なお毎回島耕作の肩書きが変わるなど、別の意味で凝っている。2023年『タイムスリップ島耕作』動画配信!?
- 『タイトルが出世して変わっていく漫画はのらくろ以来です。』(当時の担当編集者・談)
- 講談社の漫画雑誌イブニングで「島耕作」の当時の出世を祝う記念企画なのか「よんでますよ、アザゼルさん。」作中に「ニート島耕作」なるワンシーンなどが見られた。
- 「焼きたて!!ジャぱん」作中にも出てくれた。
- 江口寿史の漫画「キャラ者」にて、ほぼ風刺ネタか島耕作のパロディをやってくれた。⇒『烏耕作』
- 2015年は浜ちゃんの設定を独身サラリーマンに再構築したTVドラマ「釣りバカ日誌」の記念企画として相互コラボが行われた。(「島耕作」作中に釣り人浜田なる人物が登場する一方、「釣りバカ」の方にそのまんま島耕作がゲストで登場)
- とどめは、2016年放送のアニメ『アルスラーン戦記 風塵乱舞』第6話にて、弘兼憲史によるエンドカードが公開されたが、そこに描かれていたのは王太子アルスラーンと、黒衣の騎士・島耕作という、視聴者の予想斜め上を行ったイラストだった。「会長 島耕作」の後は、まさかの「万騎長(マルズバーン) 島耕作」である。
- ・・・ちなみにアニメ版『物語シリーズ』にて学生島耕作のエンドカードが見られる
- 樹林伸とのコラボ『島耕作の事件簿』がある
- 2019年には『転生したらスライムだった件』(転スラ)とコラボ、転スラに登場する三上悟が1984年の課長時代の島耕作に転生したら……という公式が病気なコラボを行う。もはや、ハローキティクラスで仕事を選んでいない気配すら感じさせる。
- 2010年代後半になって、作中初期の島耕作の行動がセクハラ・パワハラ行為に当たるのでは?と話題にされるようになった。特に、夜のお店でひいきにしていた女性が会社の面接に来た際には、自分の汚点をばらされたくないという理由で会社を落としたシーンが有名。とは言え連載初期の世相を考えると、「当時としてはよくある話」ではあるのだが……。
※「女は採用してもすぐ結婚して辞めてしまう」というイメージが強く、戦力というより職場の添え物扱いだった。
- 仕事はできるが、家庭人としては非常に問題の多い人物。女関係にだらしないことは勿論、結婚は恋愛の延長ではない、家庭を預けられる信頼があれば成立すると自身の浮気を正当化するなど色恋に関しては酷いもの。またいくら事前に食事を済ませていた上嫌いなホウレンソウがはいっていたとは言え、娘の初めての手料理を口にしながら「大人になったら呼びもしないのに男友達の家に押し掛けて、勝手に台所を使って帰ってしまう女になるんじゃないのかな」などと失礼なことを思ってみたり、しかも娘が寝た後ではあるが嘔吐しつつ「どうして俺の周りは恐ろしい女ばかりなんだ」とまるで被害者のように振る舞うなどかなりのダメパパ。そして離婚する際には娘に「俺の人生はお前のためにあるんじゃない」と暴言をぶつけるなど、家庭では横暴な父親としての側面が大きく描かれている。
- プレイボーイ扱いされ勝ちだが、作者曰く「連載のコンセプトが出来ていなかった頃のイメージが強いが、後半は大町久美子一本の純愛路線」とのこと。
※文庫版書き下ろしの「㊙️絵コンテ集」より。
また実は自分からコナをかける事は少なく、周りにも「もう良い歳だ」「女はダメです」と言っていたりする。まあ来る者は拒まずタイプでもあるのだが。
- 2023年にACJAPANの公益財団法人日本腎臓財団のCMにも抜擢、声は宅麻伸
- 2023年11月14日島耕作、佐賀県副知事に就任!?『佐賀県副知事 島耕作』