概要
アルスラーン(ارسلان, arslān)とは、テュルク語(突厥語やウイグル語、現在のトルコ語およびその前身であるオスマン語をはじめとする西アジア〜中央アジアにおける主要な言語グループ)でライオン・獅子を意味する単語で、トルコや中央アジア等では一般的な男子名のひとつである。「アルスラン」とも発音される。「アスラン(aslan)」は「アルスラ(ー)ン」が現代トルコ語化したもの。
古くはセルジューク朝(11世紀から12世紀頃に存在したテュルク系のイスラム王朝)などの君主の名称として用いられた。
(例えばセルジューク朝の第16代スルタン・アルスラーンや、ルーム・セルジューク朝の流祖でセルジューク朝の始祖トゥグリル・ベクの伯父アルスラーン・イスラーイール、その子孫であるクルチ・アルスラーン1世等)
『アルスラーン戦記』のアルスラーン
「ダリューンやナルサスを私が捨てて、おぬしを選んだとして、今度はおぬしを捨てる日がこないと、なぜ言える!?」
「仁慈も礼節も知らぬ敵に降伏する気はない!!」
CV.関俊彦(カセットブック) / 山口勝平(劇場版アニメ&OVA) / 小林裕介(日5版)
キャラクターデザインは手掛けた作家によりそれぞれ異なるが「晴れ渡った夜空のような深い色の瞳」と原作に描写されているため、どの媒体でも基本的に目の色は青系となっている。
※劇場版、OVAともに青緑色の髪。
男の娘的デザインで「ヒロイン」「姫殿下」とネタにされたりもする。そしてアニメ第17話のエンドカードで遂に・・・。
現在pixivに投稿されているイラストの殆どは、この日5版のデザインに基づいて描かれたものである。
人物
初登場時は14歳(荒川版では12歳)。パルスの国王アンドラゴラス三世の子で、パルス国の若き王太子。
パルス王国に侵攻してきたルシタニアを迎え撃つアトロパテネ会戦で初陣を飾るが、まさかの敗北を喫し、軍は壊滅。父王であるアンドラゴラスも行方不明となってしまう。
自らが預かっていた部隊も全滅し、単騎で戦場をさまよっていたところ、万騎長のダリューンに救出される。
生き残った王族の責務として、各地の諸侯をまとめ、ルシタニア撃退のために挙兵することになる。
極めて温厚で繊細な性格で、相手の気持ちを察する感性に優れており、これが数々の「人の心をつかむ才覚」につながっている。
優秀な部下達の影に隠れがちだが、武芸の腕前も人並み以上に優れ、第一巻では撃ち取ろうと襲ってきた敵から「数年もすれば名だたる戦士になれたであろう」と評価され、後に獅子を倒し獅子狩人(シールギール)の称号を得るほどの腕前に成長した。
贅沢は好まず貴金属や宝石類には興味がない。愛用する衣類、調度品も質素なものを好む。
果物が好きで、冷えた果物を食べるのが彼の楽しみと呼べるたったひとつの贅沢である。
常に穏やかで自分が罵倒されても相手の意見を参考にし自省しようとするほど。
しかし、ダリューンやナルサスといった大切な者を罵倒されたり、命の危険に晒されたりすれば激怒して剣を抜いてしまう。
作中で明確な怒りを見せたのはラジェンドラに隠し事をされたまま神前決闘に出したダリューンが危機に陥ったり、捕らえたルシタニア人に異教徒パルス人など生かすに値しないと侮辱された時などであり自分個人に関する事では決して怒らない。
作者曰く苦労人で苦労性である。
たまに純朴な笑顔をしながら辛辣な冗談を口にするが、主にギーヴに関してが多い。
第2部からは、18歳で登場する。
国土奪還の功績やその後の仁政から国民から高い支持を得ている。本人も王としての役目に勤めているが、本心では各地を転戦していた時期の方が楽しかったらしく、王宮での生活に窮屈さを感じている。
恋愛に対する興味は非常に薄く即位し青年になっても初恋すら知らず、臣下達からは女遊びを覚えてほしいとまでに心配されている。
その気もないのに婚姻や世継ぎに関してうるさく言われすぎて少し拗ねてしまう程度の不機嫌はあれどパルス史上最も温厚な国王と言われている。
絶世の美女であるファランギースにも初対面の時から動揺することはなく、同年代で美少女であるアルフリードやエステルにも異性としての興味をしめさなかった。(アルフリードは自他ともに認めるほどナルサスにぞっこんであり、そもそも部下なのでアルスラーンの性格からすれば色恋沙汰に発展しようがないが、エステルに関しては、若干、異性としてみてるんじゃないかなあ、と思わせる感じがしないでもない。もっともギーヴやナルサスに言わせると「あれは恋だの愛だのではなく、麻疹みたいなもの」だそう)。
恐らく皇太后であるタハミーネが絶世の美女であり、幼い頃から彼女を見てきた為に、免疫が付いていると推測される。
本人曰く貴族の姫君よりも町娘のような飾り気のない素朴な女性が好みとの事。一応の性知識は王宮の頃より教えられていたらしく、ギーヴの女遊びも理解しており笑って娼館送り出している
ナルサスからは殿下は止まり木であると言われており、これは様々な優れた能力をもち、かつ個性的な家臣たちそれぞれを上手く盛り立て、心情を察し、家臣の武勲を妬んだりせず受け入れる度量をさし、飛び立つ家臣が必ずアルスラーンの所に帰りたい、この人の役に立ちたいと思わせる人間性をさす。
また、「人材は馬であり、王は騎手である。騎手は馬を走らせることが能力であり、馬のように走る必要はない」とも評されている。
余談
- 荒川アニメ版では愛らしい容姿やどの女キャラよりもヒロイン的な位置にいることから、
アルスラーンが笑顔のさいに「殿下」+「かわいい」で「でんかわ」という言葉が飛び交う。
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アルスラーンには隠された出生の秘密がある。
それは、アルスラーンがアンドラゴラスとタハミーネの実の子ではないこと。
確かにタハミーネはアンドラゴラスとの間に子供を生んだが、女子であった。パルス王家は代々男子が王位を継承する為に女子には継承権が存在せず、しかもタハミーネは産後に子を生めない体となってしまい、タハミーネの血を引く王子の誕生が望めなくなってしまった。
このままでは側室なり彼女を廃して新しい妃を迎えるしかなかったアンドラゴラスは、タハミーネを深く愛していた為に彼女の地位が脅かされるのを厭い『偽りの王子』を立てる事にした。それがアルスラーンである。
彼は『名も知れぬ中流騎士の家』に生まれたものの、実母が産後の肥立ちの悪化で亡くなり、養育を困った父に王家の者が密かに接触。金貨と引き換えに実子を引き渡す。その後は城に招かれるまでの幼少期を養父母の元で一般人として育てられてきた。彼の価値観や物の考え方が庶民よりなのはこの為である。
タハミーネは王太子の母として磐石の地位を得たが、実子では無い為アルスラーンへの情が薄く、アルスラーンは真実を知るまで両親からの愛を受けられないのは自分が凡庸で後継者として期待に沿えず失望させているのではないかと悩み苦しんでいた。
アルスラーンの出生の秘密は王国のトップシークレットとなり、国王夫妻やヴァフリーズなど、タハミーネ出産当時を知るごく少数の身に限られていた。
エクバターナ陥落後の戦いの最中、アルスラーン自身も次第に自分が王家の血を引いてはいないのではないかと疑い、心配し、不安になっていくようになるが、血統など関係なく彼を慕い支える心強い仲間たちとともに様々な苦難や試練に対峙しながら、王となるために成長を遂げていく。
そして王都奪還を果たし、自らが王位についた時、己がアンドラゴラスの子ではなくパルス王家の血を一切引かない事を全国民にむけて公表した。(※)
少年は、そして王となる―――!(日5版アニメ次回予告より)
即位後、アルスラーンは自分の類縁者とタハミーネの実の娘の行方を捜し続けている(ただし、自分の方は望みが薄いと悟り期待をしていない)。
実父が直後に口封じの為にアンドラゴラスによって戦場へと送られ死亡した事から、彼を育てた乳母夫婦も真実を知っていたと思われる。彼らも葡萄酒の中毒で既に死亡している(恐らく毒殺)。
※(秘密を秘密のままにしておくと、悪意の第三者による脅迫のネタになったり、旧王家を支持し改革を是としない勢力からの攻撃材料にされたりと百害あって一利なし、公表してしまえば「それがどうした。みんな知っているぞ」としかならない。そして法的には事前に血を継いでいない事実を知っていた前王の意志によって正式に立太子されているのだから、王位継承について何ら後ろ暗い部分はない。なのでさっさと公表してしまった方が良い、というナルサスの判断による)