「殿下の正体はこのダリューンが存じております。殿下は、このダリューンにとって大事なご主君でいらっしゃいます。それではいけませんか?殿下」
田中芳樹の小説またはそれを原作とした漫画・アニメ「アルスラーン戦記」の登場人物。
CV: 鈴置洋孝、田中秀幸(カセットブック) / 井上和彦(劇場版&OVA) / 細谷佳正(日5版)
概要
初登場時27歳。
パルス国の1万の騎兵を指揮する将「万騎長(マルズバーン)」の一人で、12人しかいない万騎長の最年少である。
大将軍(エーラーン)ヴァフリーズの甥。
黒い甲冑と真紅の裏地の黒マントを身に纏い、黒毛の愛馬「黒影号(シャブラング)」を駆る黒衣の騎士として名を馳せている。
異名は「戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)」「猛虎将軍(ショラ・セーナニー)」など。
戦闘力は作中最強クラスで、あまたの会戦で名だたる猛将を討ち取り、その勇名は大陸公路全土に鳴り響いている。
ルシタニア戦役の最高殊勲者であり、「アルスラーン十六翼将」の筆頭とされる。
謹厳実直・質実剛健の人だが、ユーモアや人の心情を解する感性も豊かな人物。
パルス軍の武将の中では若年の身である事を弁えており、自らの武勲を誇らず他者を立てる控えめな性格も相まって、他の武将からの信頼や評価も高い。
ナルサスとは、お互い面と向かって悪口を言い合える親友であり幼少期をともに過ごした幼馴染でもある。
容姿は「陽にやけたわかわかしい顔は、するどくひきしまって、美男といってもよかったが、絹と宝石の礼服よりはるかに甲冑姿が似合うであろう」と記述されている。
女性との付き合い等は劇中では全く描かれていないものの、過去に任務で訪れた絹の国(セリカ)において姫君と想いを交わした事があるらしい様子が断片的に語られている。短編小説で描かれた内容では、侍女を影武者にした上で自身は護衛として剣を取るなど活発な女性であったようである。
今でも彼女を忘れられずにいるが、自分の未来は今も昔もパルスにあると断言している。
作中では叔父のヴァフリーズ以外には自身の両親やヴァフリーズの家族等の血縁者については一切語られる事もなくまた登場していないため、家族構成については殆ど不明。
アルスラーンの出自に関する事情を知る叔父のヴァフリーズに見込まれて、詳細を知らされぬままパルス王家ではなくアルスラーン個人に対する忠義の誓いを立てる事になる。
当初は王家の後継者たる王太子に忠義を尽くすのは騎士として当然の事と考えていたが、次第にアルスラーンの人柄に惹かれていき地位や血統など関係なくアルスラーンという一人の人間を「自分の仕えるべき主君」と仰ぐようになる。
あまりに高すぎる忠誠心(ギーヴから「過保護」と呆れられるほど)により、アルスラーンが褒められるたびに得意げになったり、アルスラーンをほんの少しでも貶されると怒鳴りそうになったりしてしまう事があり、ナルサスを呆れさせている。
またアルスラーンが魔道士アルザングの手に掛かりそうになった時には、踏み込みで地面にヒビを入れながら何人ものルシタニア兵を薙ぎ倒して猛突進しこれを阻止するというチート級の武力と忠誠心を見せつけた。
たとえ死んでもアルスラーンに仕えるつもりであり、アルスラーンが死んだ時に一緒の場所に行けないなら死ぬ意味もないと言ってしまう程。
アルスラーンに刃を向ける者は全てダリューンにとっての敵であり、たとえ民衆でも元の仲間でも容赦しないと断言している。実際にアルスラーンの信賞必罰の仕方についてジムサが「あほうではないのか」(もちろん、悪口ではなく、真意は「甘いんじゃないのか?」ということ)と言った時には、ジムサのパルス語が不十分でそう言い方しかできないと分かった上で、瞬間的に剣を抜きかけている。
とある事情によりラジェンドラ王子をシンドゥラの国王に導いたが、ダリューンはそのことを少し後悔している。
余談
- あまりの無双ぶりに、「特定数(大抵2~3桁以上)の兵力=ダリューン1人の武力」という公式が生まれ、派生して「1ダリューン」という単位のようなニックネームがファンの間で話題を読んでいる。加えて他作品で無双シーンが流れた際にもこの単語が出るケースが多い。ナルサスの「1人5万人片付ければいい」という冗談にも「5万なら俺一人でなんとか・・・」とマジレスしており、「1ダリューン=5万人の兵力」が公式設定なのかもしれない。
- アルスラーンへのあまりに高すぎる忠誠心(と過保護ぶり)から、「殿下のセコム」とも呼ばれている。
- 二期では、黒衣の騎士なのに青い服を着ている。
黒衣の騎士なのにである(因みに原作でもグラーゼを助けた際に似たような事を言われているが、ダリューン本人は特に黒衣に拘っている訳ではなく「産まれた時から黒い襁褓を付けていたわけではない」と返している)。