概要
パルス国の武将。初登場時に「二十代前半」とあるが、作中の記述を拾って逆算すると23歳となり、ギーヴやファランギースと同年と推測される。
中背で引き締まった体、琥珀色の透き通った瞳に、「狼に育てられた者(ファルハーディン)」の異名を持つ。
血気盛んで真面目な性格であり、14歳ちがいの異母兄シャプールを強く敬愛している。
経歴
父と奴隷の母の間に生まれる。正妻の怒りを恐れたイスファーンの父は、2歳のイスファーンとその生母を雪山に置き去りにするが、16歳の異母兄シャプールはそれを捨て置けず、幼い弟を救出した。シャプールが駆けつけたとき、生母はすでに凍死していたが、イスファーンは狼たちに守られていたという。
その後は生家に迎え入れられ、領主の父に従って家を守っていたと推測される。
第一部(7巻「王都奪還」以前)
320年11月の王都陥落に際し、異母兄シャプールを失う。
翌年3月に王太子アルスラーンが発したルシタニア追討令に応じたイスファーンは、兵を連れてペシャワール城塞に馳せ参じる。アルスラーンに従ってルシタニア軍やトゥラーン軍と戦うが、その追放後はアンドラゴラス三世に従ってエクバターナに攻め上った。
第二部(8巻「仮面兵団」以降)
国王となったアルスラーンによって統制官(ミフラーン)に任じられる。シンドゥラへの出兵中に2匹の仔狼を拾い、其々「火星(バハーラム)」と「土星(カイヴァーン)」と名づけ、以降は2匹とともに行動する。
デマヴァント山の封鎖やモルタザ峠の魔物退治に赴くなど、一軍の将としても、一個の戦士としても、優れた活躍を見せた。
また、ヘルマンドスの王太后府を追放された侍女アイーシャを王都エクバターナに連れ帰った。
性格
シャプールに死を与えた張本人であるギーヴに対しては思うところがあり、出会って日が浅い時期にはその複雑な感情を抑えきれない様子を見せた。第2部でもいまいちそりが合わない状態が続くが、トゥースの結婚や学塾に対する姿勢は一致しているらしい。
キシュワードと同じく、パルス騎士として王家への絶対の忠誠を心身に叩き込まれており、アンドラゴラス三世や王妃タハミーネのやりように疑問を持っても叛意を示すことができない。
その他
日5アニメ版の声優について
日5アニメでは第20章「騎士の素顔」で初登場。CVの小西克幸は、第5章「王都炎上 ~前編~」ですでに故人となったシャプールも演じており、その熱演ぶりが高く評価されていたため、心憎い配役としてファンの間で話題になった。
なお、小西は自身が原作小説のファンであることを公言しており、自身のツイッターアカウントで「俺のアルスラーンが終わった。。。」(2015年5月30日)、「というわけで、おいらのアルスラーン戦記が再び始まりました!まさかイスファーンを演じさせて頂けるとは。感謝m(__)m」(同年8月30日)とつぶやいている。
アルスラーン戦記×無双について
日5アニメ版をベースとして製作され2015年10月1日に発売されたゲームソフト「アルスラーン戦記×無双」(PS3/PS4)ではプレイアブルキャラクターとして登場。武器は「狼牙拳」および「烈剣」の二種が使用可能。
荒川弘版では未登場のキャラクターであり、日5アニメ放映中の開発であったため、「狼」というフレーズを拡大解釈したキャラクターづけになっている。「狼牙拳」に加えてDLC武器である「蒼き狼の裂剣」やオリジナル衣装は、自分たちを蒼き狼の子孫と信じているモンゴル人のイメージが投影されており、パルス(ペルシア)というよりはトゥラーン(モンゴル)風という異色の設定づけになっている(開発時点では、日5アニメにトゥラーン人キャラクターは登場していない)。チンギス・ハンを題材にした歴史ゲームを製作した経験のあるコーエーテクモゲームスらしい着想とも言える。