概要
高校卒業を最終学歴とする人。中卒や高校中退者でも就職してから定時制や通信制の高校に入り修了することもでき(高校中退者の場合は以前通っていた学校の単位を認定、1・2年で卒業できる学校もある)、この場合の学歴は高卒として扱われる。
かつては高卒で就職しながら大学の夜間学部に通う「勤労学生」も多かったが、1980年以降は勤労学生が減少し、さらに少子化によって夜間学部も減少している。
一部の国家資格は、社会保険労務士、税理士、衛生管理者、保育士など短大以上の学歴が必要とされ、高卒では取得できないものがある(しかし実際には実務経験を積む、他の国家資格を取るなどの裏技もある)。海外で働くために必要な就労ビザも、高卒では取得できない場合がある。
高卒での新卒就業
一般的には、高卒だと就活における企業選択に制約が出てしまう。企画・開発・研究などの専門性が求められる職種に就くのは難しく、大企業・中堅企業で高卒枠のある企業では、たいていは現場作業員や工員などのブルーカラー職や、一般職、公務員や金融機関であれば窓口業務などに回される。
反面、就活の段取りを高校がある程度バックアップしてくれるため大卒より手間と時間がかからないメリットもある。特に工業高校や商業高校のような実業系ならなおの事である。これは、学校が地元企業と「ご近所づきあい」的なパイプを持っているのが理由。このように就職の確実性が高いことから、「低偏差値の大学で就職難に直面するより高卒で就職した方がマシ」という意見も散見される。実際、バブル崩壊後の就職氷河期(特に初期)には、高卒者は大卒に比べるとまだしも就職しやすかったと言われている。
もっとも、1997年ごろから就職氷河期が深刻さを増すと、本来高卒者が就職する工員や販売員や中小零細企業にも大卒者が殺到するようになり、高卒者の「採用見送り」や「内定取り消し」も続出。「超・就職氷河期」と言われる1998年から2004年の高校卒業者は「高卒即無職」、「高卒即フリーター」という者が多数を占め、高卒者も大卒者並かそれ以上の苦境に陥っていた。中には大卒でありながら高卒と学歴詐称して公務員に採用された人もいたほどである(後になって全国で多数発覚し、中には懲戒免職の処分を受けた者もいる)。
高卒者の待遇
大企業・中堅企業や役所では、企業内での人事制度から高卒者と大卒以上には差が設けられており、高卒の基本給は大卒より数万円低いことが多い。高卒者が配属されるのは上記のように現業職が多いので、昇進でも不利であるといわれる。ただし、高卒から幹部職員に昇進することも不可能ではなく、能力とやる気次第である。
一方で、中小企業では大卒と高卒のキャリアパスに差を設けていないケースが多い。中小企業の場合、大卒と高卒で待遇に差がないのだから、早く経験が積める分高卒で就業した方が有利...のように見えるが、中小企業は社員の育成体制が整っていないケースがあるため、専門性と教養を身につけた大卒の方が有利になる場面も多い。「"学歴不問"の職場なら高卒で充分」とは必ずしも言い切れないのだ。
中小企業では、かつては(経営者が叩き上げの高卒であるため)、大卒者を「使いにくい」と敬遠する企業も多かったようだが、現在は経営者の世代交代により、大卒を積極採用する中小企業も増えている。
関連項目
大学入学資格検定(大検):合格すれば高卒と同等の資格を持てる。現:高等学校卒業程度認定試験(高認)。
専門学校:学歴としてはカウントされず、高卒か大卒の扱いになる。