概要
英語ではdeveloped country。
一定の経済発展を遂げ、高い生活水準、技術力、教育水準、充実したインフラを有する国々を指す。
具体的にどこまでを先進国に含めるのかは定まっていない。基本的には「先進国クラブ」ことOECD(経済協力開発機構)加盟国のうち国民所得の高い国、もしくは一人当たりGDPが参照されることが多い。このうち都市国家のような規模の小さな国は経済水準が高くとも先進国から外される場合もある。
しかし、高所得国でもOECDに参加していない国があったり、GDPだけでは実態が測れない(都市国家は高い値が出がちであり、カタールやアラブ首長国連邦のような産油国も高くなる)ということで、所得や学習到達度、健康寿命などで算出されるHDI(人間開発指数)が参照されることも多い。
対義語は発展途上国(developing country)。
先進国と見做されている主な国
★はG7(先進国首脳会議)加盟国です。
東アジア
西ヨーロッパ(西欧)
★イギリス ★フランス ★ドイツ ベルギー オランダ ルクセンブルク スイス オーストリア アイルランド
北ヨーロッパ(北欧)
デンマーク ノルウェー スウェーデン フィンランド アイスランド
南ヨーロッパ(南欧)
北アメリカ(北米)
オセアニア
先進国かどうか評価が分かれる国
東アジア
- 香港、マカオ:一人当たりGDPは日本などより高いが、政治的に中華人民共和国(中国)の一部と見做されているため、先進国と認められない場合がある。
- 台湾(中華民国):一人当たりGDPは日本や韓国と同じくらいだが、台湾を国家承認している国が少ない。
東南アジア
- シンガポール:一人当たりGDPは日本などより高いが、都市国家である。また、典型的な開発独裁国家であり政治体制は民主的ではない。
- ブルネイ:一人当たりGDPは日本などより高いが、人口規模が小さく、石油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸出に依存した経済構造である。また国王の権限が強く、定期的な国政選挙が無い。
西アジア(中東)
- サウジアラビア:一人当たりGDPは高いが石油などの輸出に依存しており、労働者のおおよそ3人に2人が外国人である。また政治体制は前近代的な専制国家で、人権抑圧も酷いことから先進国と認められない場合が多い。
- イスラエル:一人当たりGDPは高く、技術水準やインフラも発達している。パレスチナとの紛争問題が解決していないため先進国と認められない場合がある。
- UAE、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート:経済構造が石油の輸出に依存している面が強い。また人口が特定都市に集中しており、都市国家ないし都市国家の連合体に近い。ただしUAEのドバイは金融センターとしての存在感を増している。
- キプロス:一人当たりGDPは先進国並みだが、北キプロスとの紛争問題が解決していないため先進国と認められない場合がある。
西欧
南欧
- ギリシャ:近年の経済状況の悪化により先進国から除外されることもある。
東ヨーロッパ(東欧)
- チェコ、スロバキア、スロベニア:一人当たりGDPは東欧諸国の中ではトップクラスだが、それでも西欧諸国の半分程度である。
- エストニア、ラトビア、リトアニア:一人当たりGDPは旧ソ連構成国の中ではトップクラス。
中央アメリカ(中米)
- バハマ:一人当たりGDPは中南米ではダントツの水準だが、国の規模が小さい。産業は観光業とタックス・ヘイヴンなどの金融に依存している。
先進国の海外領土
北欧
- フェロー諸島:デンマークの自治領。
北米
- グリーンランド:デンマークの自治領。資源豊富であるが、先進国であるデンマーク本土との経済・教育・インフラ格差が大きい。
中米
- プエルトリコ:アメリカ合衆国の準州。所得水準は発展途上国に近い。
オセアニア
先進国ではない経済大国
新興国のうち経済規模が大きい国。一部地域は先進国並みに発展している場合もあるが、地域格差が大きい。
東アジア
- 中華人民共和国(中国):人口の多さ(世界一)もあいまって世界でもトップレベルの経済大国であり、国内総生産(GDP)はアメリカに次いで2位。世界に冠たる工業国で、技術水準も分野によっては日本をしのぐレベルに発達している。上海や深圳のような一部都市の所得は先進国レベルに達しているが、国土が広大なため地域格差が大きく、まだ発展途上国水準にとどまっている地域も多い。また、独裁国家であり人権弾圧が酷い。
東南アジア
南アジア
- インド:GDPは大きく、経済発展も著しいが、人口も中国に次いで多いため一人当たりGDPは発展途上国の中でも低い方。
旧ソ連
- ロシア:超大国・ソビエト連邦の後継国家で、G8こと先進国首脳会議の一角をなす国であったが、一人当たりGDPは発展途上国レベルである。国土があまりにも広大であるためモスクワとサンクトペテルブルク周辺以外のインフラは発達しておらず、ソ連時代に整備された鉄道や航空網を除くとおおむね発展途上国水準にとどまっている。新興大国を指すBRICsの一角とされるが、他のBRICs諸国と異なり経済は豊富な資源輸出に依存していて工業技術水準はソ連時代からむしろ後退しており、政治体制は非常に権威主義的である。また、平均寿命は発展途上国の中でも短い方である。
アフリカ
中米
南アメリカ(南米)
- ブラジル:中南米一の経済大国。鉄鋼や航空などの技術水準も高いが、国土が広大なためインフラが発達していない地域も多い。人口の多さもあってまだ一人当たりGDPは発展途上国レベルにとどまる。
- チリ:中南米きっての安定した経済成長を誇るが、まだ一人当たりGDPは先進国水準に達していない。
先進国から脱落した国
- アルゼンチン:昔は本当に先進国だったが経済政策の失敗により脱落。それでも一人あたりGDPは中南米の中では高い方ではある。