フェロー諸島
ふぇろーしょとう
デンマークの自治領。イギリス本土とアイスランドの間、大西洋とノルウェー海の境に位置する。フィヨルド地形の急峻な18の島々から成る。高緯度ながら北極圏には入っていない。
面積は約1,400平方kmで日本最小の県・香川県(約1,880平方km)をやや下回り、同じデンマークの自治領グリーンランド(約217万6000平方km)とは1,000倍以上の差がある。しかも地形が山がちで可住地が少なく、人口は約5万人と、グリーンランドよりやや少ない。都市・集落が点在するが最大都市で首都・トースハウンとそれより北側に人口が偏在している。最高峰はスレックタラティンドゥール山(882m)でデンマーク本土よりも高い。
住民はヴァイキングに起源を持つフェロー人が多い。公用語はフェロー語だがデンマーク語と英語も学んでおり、人によってはこれに加えてドイツ語など他言語も身に付けていたりする。
水産業が盛んで、伝統的な手法で捕鯨も行っている。これがEU非加盟の一因にもなっている。
デンマーク政府がグリーンランドに不利益な政策を提案すると、フェロー諸島当局が明日は我が身とグリーンランド当局に肩入れすることがたまに見られる。
通貨はフェロー・クローネだがデンマーク・クローネと等価。独自の紙幣を発行しており、紙幣には人物ではなく動物や水墨画風の風景が描かれている。フェロー紙幣はデンマーク本土やグリーンランドでは通用しないこともあるので注意。独自硬貨はなくデンマークのものが利用され、デンマーク紙幣も通用する。
後世まで定着するような入植は6世紀頃にはじまったと見られている。その後はノルウェーやスコットランドからも住民が移住。9世紀頃には自治議会が設立されるが、10世紀後期からノルウェー領、19世紀から統治権がデンマークに移った。
サッカーをはじめ国際試合ではデンマークとは別の一国扱いになることも多い。
欧州サッカーでは弱小として一部で有名。相手は総人口が桁違いに多い国の代表チームなのだからやむないことではある。とはいえホーム戦なら島中から観客が5千人(総人口の約10%)が集まるほどの地元愛・サッカー熱である。
ヴェガー島に国際空港があり、海外と結んでいる。ちなみにこの空港のすぐそばにソルヴァグスヴァテン湖という湖がある。島や湖の名前を知らなくても、海にそびえたった崖の上に湖があるような写真は見覚えがある人も多いのではないだろうか。
北部の島々は海底トンネルや橋でトースハウンやヴェガー島と陸路で行き来できる島が多い。そうでない島々はフェリーやヘリコプター路線で移動することになる。
フラッグキャリアはアトランティック航空。直訳すると大西洋航空になる大胆な名前である。