バチカン市国
ばちかんしこく
バチカン市国(バチカンしこく、ラテン語:Status Civitatis Vaticanae、イタリア語:Stato della Città del Vaticano、英語:Vatican City State)は、ヨーロッパにある国。日本では略して「バチカン(ヴァチカン)」と呼ばれる事が多い。
同国の名称はこの地が「ウァティカヌスの丘」と呼ばれた地名から由来している。ここで聖ペトロが殉死した為、聖地にしてキリスト教の中心地となった。4世紀前半にサン・ピエトロ大聖堂が建設され、ここに移り住んだ司教が教皇となって全ての教会へ影響力を及ぼすようになり、カトリックの本拠地となった。
教皇庁はイタリア半島中部に広大な教皇領を持っていたが、イタリア統一運動の中で領土を失い、1870年9月にイタリア王国にローマを接収され、世俗的権力を失う。1929年2月に締結されたラテラノ条約によって教皇庁の権利が放棄される代わりに、バチカンの独立と教会の特別な地位を保証させた。
ローマ教皇を頂点とするローマ教皇庁が統治しており、教皇庁の責任者である国務長官のもとで行政庁長官が実務に当たっている。公用語はラテン語であるが、公文書や宗教行事で使うぐらいで、日常会話はイタリア語、外交面ではフランス語、ドイツ語に加え、英語、スペイン語、ポルトガル語も使用されており、最近は中東への配慮からアラビア語も使われるようになった。なお通貨はユーロである。
同国に軍事力はほぼ無く、スイス人傭兵とイタリア警察がいるだけである。その傭兵の斬新な制服はミケランジェロによるデザインとも言われる。
カトリックの総本山ということもあり、1934年2月には満州国にも教皇使節を派遣、宗教を認めない共産主義国とは国交がないが多くの信徒がいるベトナムにも使節を派遣。イスラム国家とも国交はないが、王政のヨルダンや首長国のUAEとは国交がある。(近年、これらの国々と関係修復を模索する動きもあるが、司教の任命権などで綱引き状態)
最後に国交を樹立したのは2023年のオマーン。国連にも投票権を持たない中立国家として代表権を得ている。
正式な国交がなく香港とマカオを直轄教区としている。
ちなみにバチカンは台湾と国交を結んでいる。
大半の国民がカトリック信徒であることもあって、関係を断つのは双方ともに現実的な選択肢ではなかったため、キューバ革命以降も途切れる事無く国交が続いている。
旧ソ連とは1990年3月に外交樹立するも直後にソ連崩壊。
2009年12月に外交関係樹立。
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