概要
企業の採用試験で、相手を精神的に圧迫する面接の手法である。
複数の面接官が、わざと傲慢かつ威圧的な態度で受験者に質問するというものである。
目的は、相手のストレス耐性や、物怖じしない態度を見極めるためとされている。
もともとはアメリカで生まれた手法とされ、日本ではバブル崩壊後に広まった。
特に平成前半は酷い不景気であり、圧倒的な買い手市場だったため、多数の応募に対して「優秀な学生」を絞り込む手段として礼賛された。
圧迫面接の種類
- 威圧的・横柄・見下すなど失礼な態度
- 怒鳴る、罵倒する
- 経歴や履歴書の内容や質問の回答をとにかく否定する
- 無関心な態度、反応が薄い返答
- 質問に対して何故、どうしてと返し続ける
圧迫面接には、面接官にその意図がなくても無自覚に行ってしまう圧迫面接がある。
いくら相手が外様の人間であっても、面接に来る=我が社に来たい=部下も同然、などと考えて礼節に欠いた態度をとる面接官もいるが、それは大きな誤りである。そもそも応募者の時点では会社を介していても外様の客であり、理由がなくなると本質的に客への不敬を露にする無礼者と証明しているに過ぎない(そもそも客も部下も、無礼な態度を取っていい相手ではない、相手は道具ではなく人間である)。
また、上記の過剰な何故返しの場合、ただ知りたいから何度も深く突っ込んでしまう事があるが、回答する側からすれば質問に辟易したり、執拗にプライベートを暴かれると言うハラスメントに近い不快感を感じる事がある。
面接の趣旨からすれば間違ったものではないが、質問する側としては相手から上手く答えを引き出せてない、質問の意図が相手に伝わってないと言うむしろ面接官の質問の下手さが浮き彫りになると言う問題点が生じる。
圧迫面接は効果的か
結論から言えば、時代錯誤であり効果的ではない。
現在ではブラック企業の常套手段と認知されており、逆に忌避される傾向にある。
そもそも圧迫面接を行うということは、強度のストレス耐性が必須条件であることを意味し、入社後の労働環境や社風が優良とはまず考えられない。パワハラが横行していたり、精神論に依存した不合理な体質である可能性が高い。
言ってしまえば「選考」ではなく「選別」なのである。
圧迫面接を耐え抜いたとしても、それは一時のストレス耐性でしかなく、長期的な労働でかかるストレスとは質が異なり、メンタルの強さに直結しない。また、単に言外の態度に鈍感な応募者の場合、その場では物怖じしない場合もある。
優秀な応募者なら圧迫面接についてあらかじめ情報を集め、実態も把握しているので、優秀な応募者ほど会社の価値がないと悟られ、辞退されてしまう。
就活支援のサイトやセミナーでも、避けた方がいい会社の鉄板となっている。現在でも礼賛しているのは一部のビジネス系メディアか、意識高い系のライターくらいである。
圧迫面接はストレス社会を前提とした精神論から生まれたものであり、応募者の本質的な能力を評価できる手段とは言えない。それで耐えられない者を「軟弱」「何処へ行ってもやっていけない」などと謗る場合が多いが、「こんな目に合わずとも働ける場所がある」ことは留意すべきだろう
そもそも、初対面の相手に対して理由(と言っても正当性に疑問符が付くが)があるとは言え、脅しを目的とした態度がとれるなど、環境云々より先に所属社員のモラルを疑うべきである。
応募者がこの会社に入りたくない、入る価値がないと感じてしまったら、面接官がそれ以上追い詰めても暖簾に腕押しか、不要な嫌がらせと投げ返されるのがオチである。
最悪報復として、合格を投げ捨てて面接官を散々馬鹿にした上で帰られる可能性すらありうる
面接で大切なのは、相手の人間性や実績を冷静に見極めることであり、相手を追い込むことではない。
確かに相手が想定していない質問をすることで、面接のために作られた態度や回答ではない素の部分をさらけ出してもらう手法はあるが、その場合は攻撃的に相手の恐怖心で揺らすものではなく、相手を知りたいと真摯に向き合う姿勢で行うべきものである。
関連項目
スティーヴン・アームストロング:ゲームMGRの登場人物。自分を倒しに来た相手を「面接してやる」と迎え撃ち、その後に仲間に引き入れている。彼のかけるストレスは精神的なモノではなく暴力なのだが、ぶっちゃけ彼の前に立った時点で「そういうのがお好み」な連中なので…