三菱ふそう・エアロスター
みつびしふそうえあろすたー
1984年、三菱自動車工業製の、フレームレスリアエンジン大型路線バス「MPシリーズ」(通称"ブルドッグ")をフルモデルチェンジ、先にデビューしていた観光型の「エアロバス」に次いで車種ネームが与えられた。名称は市街地路線用バス(シティバス)の「星」になることを願ったものとみられる。
ボディスタイルはそれまでのある意味古めかしいモノコックボディから近代的なスケルトンボディに一新された。(新呉羽製は先にスケルトンに変更)
また、フロントマスクは左右非対称の、乗降口側にセーフティウィンドウを設けたスタイルとなった。
トランスミッションは、フィンガーコントロールミッションの5速マニュアル (FCT) で、オプションでセミオートマチックトランスミッションである機械式AT(MMAT)が設定されていた。また、自家用向けのタイプ以外は、機関直結式冷房装置が標準装備となった。
車体
メーカー純正の車体は三菱名自(大江工場)製のエアロスターMと呉羽自動車工業製(現三菱ふそうバス製造)のエアロスターKの2種類が存在する。
両者は前面・後面や屋根カーブの形状が異なり、K型は丸みを帯びた嫌味のないスタイル、M型はK型に比べて直線的で近代的なスタイルとなっていた。
1993年には両社の車体設計がM型に統一され、後に大江、呉羽の2箇所製造体制から三菱自動車バス製造(旧呉羽)に一本化された。
左がM型、右がK型である。
三菱以外のコーチビルダーでの架装は西日本車体工業が西日本を中心に、富士重工業が東日本を中心に見られた。
西工ボディは58MC型、富士重工ボディは1988年まではR15系(5E・5B)、それ以降がR17系(7E・7B)となる。ただし富士重ボディ架装車は採用事業者が少なく富士重ボディを好んで架装していた江ノ島電鉄バス、京成電鉄、小湊鉄道、広島バスなども後年は三菱純正ボディになっている。
エアロスターのほとんどは一般路線バス用として導入されたものだが京都交通ではトイレ付きの高速路線バスにこの初代エアロスターを用いていたが、老朽化などにより親会社の日本交通由来の中古車に置き換えられて全廃となった。
なお、2002年6月の道路交通法改正で大型二種免許の技能試験に路上試験が導入されたが、試験車輌の新基準に適合し、なおかつ中古車の流通量が多いことからMP218を改造して教習車両及び試験車両として使用する自動車学校もある。
型式一覧
P-MP218/618系
1984年、それまでのK-(及びP-)MP118/518系を全面モデルチェンジして誕生。MP218系がリーフサス、MP618系がエアサスである。
エンジン型式こそ6D22で変わらなかったが、標準出力車で225馬力に出力が上がり、エンジン音もMP118/518系と異なったものになっている。更にターボエンジン搭載車も、改造扱いで途中から追加設定された。
1988年にはマイナーチェンジが行われ、内装がエアロバス同様茶色系から灰色系に変更された。運転席周りではシフトレバーのインジゲータもデジタル表示に変更され、タコメータの下部に配置された。
なお神奈川中央交通の要望により、ホイルベース5.8m・全長11mの特注車をMP218-Nとして追加で型式認定を受けている。
U-MP218/618系
1990年の平成元年排出ガス規制適合で、U-MP218/618系に変更されたが、フロントバンパーのフォグランプが丸形から角形になったこと、ターボエンジン搭載車の出力がわずかに増力された以外大きな変更点はない。
KC-MP217/617系
1995年の平成6年規制適合で、KC-MP217(リーフサス)/617(エアサス)系となった。エンジンが出力240馬力の6D24に変更されている。
フルモデルチェンジを計画していたため1996年9月に製造を終了したが在庫59両を名古屋市営バスが購入している。西工ボディ及び富士ボディを架装するものは、シャーシ供給という形で1997年まで製造が続けられた。西工ボディの大半は58MCでの架装になるが、ごくわずかに96MCを架装した車両が存在する。
U-MP628系、KC-MP627系
都営バスなどが導入した車いす用リフト付きのバス。全車呉羽・MBM製で1993年以降もエアロスターKデザインだった。
都バス導入車は後継のノンステップ車などに置き換えられ退役した。
都市型超低床バス
1991年東京都交通局は東京都庁が現在の庁舎に移転したのを機に、新宿駅西口と都庁周辺を循環するシャトルバスを運行開始。この時床面高さを550mmに下げたワンステップ車を4両導入した。試作扱いのため型式はMP6Xだった。
このワンステップ車は後述の京急型と異なり、中ドアより後ろもワンステップ構造になっていた。
京急型ワンステップバス
1989年、前年に日野自動車と京浜急行電鉄が共同開発した京急型ワンステップバス普及のため新呉羽自工が生産に応じたのが最初である。
京急型ワンステップ車とは前扉から中扉までの床面高を650mmに抑えて各扉のステップ数を1段にし、中扉から後ろを1段嵩上げすることで、後車軸や駆動系などをツーステップ車と共通化し、安価なワンステップ車製造を目的とした車両である。
当時の京浜急行は神奈川県内の営業所に日野製一般路線車を集中配備しており、都内営業所にワンステップ車を入れる場合は他メーカーの対応が絶対必須だったためである。
MBECS 畜圧式ハイブリッドバス
地上設備不要の蓄圧式ハイブリッド機構を搭載した低公害車として1993年に発表。1995年にアイドリングストップ機構と酸化触媒マフラーを装着してKC-MP237/637系となり、1997年には2代目エアロスターにも設定された。運転席の計器パネル上部にエネルギーゲージが設置されているのが運転席周りのディーゼル車との違い。
同様の畜圧式ハイブリッド車はいすゞ・キュービックのCHASSEと日産ディーゼルUAシリーズのERIPが存在するが、期待されたほどの省エネ効果を発揮できなかったこと、ハイブリッド機構の小型・軽量化や移設が難しく低床化に向かないこと、中期安全ブレーキ規制への適合も難しいなどの理由で開発が中止された。その後ハイブリッド機構を停止、撤去した事業者が多い。
神奈中仕様
三菱ふそうのディーラーを系列に持ち、日本最大のふそうバスユーザーとして知られる神奈川中央交通。特注で以下の仕様のバスを製造していた。
- 6.0mロングホイールベース車(P尺)のホイールベースを20cm短縮して、ブルドッグ時代のロングホイールベース車に合わせる。当初はP尺車の改造扱いであったが、後に形式認定される。
- セーフティウインドウを埋めてそこに運賃表示窓を設置
- 車両清掃の為にフロントバンパーを延長、足場も滑り止めを設置
これらの特徴はふそう以外の神奈中のバスにも一部採用されており、他社でも採用されたものが存在する。ちなみに神奈中では廃車車両を中古車市場によく放出するため、地方バス事業者でも元神奈中車は比較的目立ちやすい。
これらの仕様はニューエアロMP系にも引き継がれたが、2002年の小田急グループマテリアルズ社設立によってグループ内での仕様が統一された為、これら独特の仕様は運賃窓をのぞいて廃止となっている。更に近年導入された車両ではそもそも運賃窓すらない物もある。
蛇足だが長電バスのニューエアロスターの中には運賃窓の特徴など、神奈中の仕様と非常に似たバスが存在する。これは神奈中仕様の型式認定を得るために製造されたサンプルカーで、そのまま神奈中へ導入できるよう極力仕様を合わせたものの、結局導入されず長電バスへ納車されたという説がある。
飯山営業所に配属されていたが、2021年に廃車となった。
1996年9月販売開始。当初は先代のエアロスターと区別するためにニューエアロスターの呼称が用いられたが、初代の老朽廃車が進むに連れてこちらがエアロスターと呼ばれるようになった。
トランスミッションは初代と同じフィンガーシフト式MT、機械式AT(INOMAT)、アリソン製トルクコンバータ式トランスミッションの3種類が設定されたが、機械式ATについてはKC-代の数年で消滅している。
ラインナップにはワンステップバスと、自家用及び高速バス向けのツーステップバスのほか、1997年には国産初の本格的なノンステップバスの発売が開始された。
2014年には18年ぶりにフロントデザインを一新した後期QKG-MP35/38系が販売を開始した。
型式一覧
KC-MP系
1996年9月にエアロスターMP217/617系シリーズをモデルチェンジする形で登場した。それまで三菱大型路線バスは、三菱自動車名古屋製作所(大江工場)と三菱自動車バス製造(呉羽)の双方で製造されていたが、今回から三菱自動車バス製造での製造に一本化された。
発売当初の型式はワンステップ・ツーステップのみの設定であり、エアサスがMP717系、リーフサスがMP317系となった。なお本型式より設定されたワンステップ車については、車体識別記号の前に「V」が入る(例:KC-MP717MVF)
運転席まわりの計器類は観光・高速向けのエアロバスと共通になったが、エアロバスに先駆けて衝撃吸収型ステアリングホイールや警告表示部分にLED式表示灯を採用したり、エアロバスには標準装備のバッテリー電流計が省略されたりなどの細かな違いがある。
1997年には国産初の本格的ノンステップバスが追加設定された。エアサス車のみの設定で、高出力ターボは選択できなかった。ホイールベースは短尺のK尺と標準尺のM尺が設定された。なお三菱ではノンステップバスのことを「ノーステップバス」と呼称する。
エアロスターのノンステップバスは他社の同様のバスと比較して中扉より後側の通路も高さが抑えられている。これはエンジンからデファレンシャルギアに至るまでの動力系を車体右側に寄せて、ギアボックスを斜めに寝かせることで実現している。故に足回りの構造が比較的単純なツーステップ車やエルガをメインに扱ってきた整備士が見ると「なんじゃこりゃ?!」と驚くことに...
この構造ゆえ車体後部の座席の取り付け位置は現在のバスより低くなっており、後部タイヤハウス上の座席が足元に空間を確保する都合上後ろ向きとなっていた。
なおオプションで後部にも扉を設けることが可能であり、3扉仕様の車両が名古屋市交通局、南海バス、成田空港交通に納車された。またメーカーサンプルとして作られた前後扉仕様のものが1両だけ存在し、神姫バスで営業運転に用いられた時期がある。
しかし3扉仕様は3扉ツーステップ車に比べて座席数が著しく減少すること、前後扉仕様は後部の通路幅が狭く、ノンステップバスでありながら車椅子対応が困難なことから普及するに至らず、稀少な存在となった。
型式は以下の通り。WBはホイールベースの略である。
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
エアサスワンステ・ツーステ | KC-MP717K | KC-MP717M | KC-MP717P |
リーフサスワンステ・ツーステ | KC-MP317K | KC-MP317M | KC-MP317P |
ノーステップ車 | KC-MP747K | KC-MP747M | 未設定 |
KL-MP系
2000年5月に新たな排ガス規制適合のためにエンジン周りが改良された。このため見た目に大きな変化はないが、コモンレール燃料噴射方式(ターボ車)やクールドEGRの採用が行われたほか、アリソン製のボタンシフト式トルクコンバータATが新規に設定された。
エンジンは6M70系で、アイドリングストップシステムが標準装備された。このほか、ステアリングホイールも同年にマイナーチェンジしたエアロバスKL-MS8系と同等のものに変更され、駐車ブレーキも従来のワイヤー式からホイールパーク式に変更されている。
外観から区別することは困難に近いが、車内のドア下部に設置されている製造銘板の製造年月、ならびに駐車ブレーキで判別出来る。なお名古屋ガイドウェイバス向けにリフト付ツーステップ車が納車されている。
2002年には平成17年東京都ディーゼル規制に対応した低圧ターボ付エンジン車が追加された。ターボ車は右側最後尾の窓の面積が半分となっている点が特徴だが、故に外観からPJ-MP系との判別はきわめて難しい。(純正を完全に維持した状態ならブレーキランプレンズの色濃度が違うとかあるけど、球交換とかで割っちゃって濃い色のレンズに換えられたりしてるからぶっちゃけ当てにならん。)
型式は以下の通り。
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
エアサスノンステップ | KL-MP37JK | KL-MP37JM | |
エアサスワンステ・ツーステ | KL-MP35JK | KL-MP35JM | KL-MP35JP |
リーフサスワンステ・ツーステ | KL-MP33JK | KL-MP33JM | KL-MP33JP |
PJ-MP系
2004年3月から新短期規制適合車であるPJ-MP系が発売された。KL代規制で採用された環境技術に加えて「ブローバイガス吸気還元システム」が採用された。
エンジンはKL-MP系と同じ6M70系であるが、全て過給機つきとなった。また、このモデルからリーフサスの設定が無くなり、西工製ボディの架装も取りやめとなっている。
型式は以下の通り。
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
ノンステップ | PJ-MP37JK | PJ-MP37JM | |
ワンステ・ツーステ | PJ-MP35JK | PJ-MP35JM | PJ-MP35JP |
KL-MP系と外観は酷似しているが(メーカー標準仕様であれば)バックランプがリアバンパーからボディに移設されているので判別できる。
PKG-MP系
2007年9月に発売された平成17年排出ガス規制及び平成27年重量車燃費基準適合車。
このモデルから日産ディーゼルと三菱ふそうが路線バスの製造において業務提携を開始したことによりラインナップが両者で共通化され、ディーゼルノンステップ車は日デのスペースランナーRA及び、そのOEM供給車である「エアロスター-S」に統一され、ディーゼルノンステップ車は三菱側で製造されなくなった。(エコハイブリッドのみ製造を継続)
そのため当初はワンステップバスとツーステップバスのみの製造だったが、従来のMP系ノンステップとの共通性を望むユーザーからの要望、及びエアロスター-Sの製造数増加に伴う納期遅滞解消のため三菱側はワンステップ車をベースにしたノンステップ車を2009年4月にP尺を除いてラインナップに追加した。このノンステップ車はワンステップ車とノンステップ車の折衷型ではなく、完全なワンステップ車ベースで、その外見からバスファンからはゲテノンと呼ばれている。ちなみに従来のノンステップ車はペチャノンと呼ばれることも。
※こちらのイラストはLKG代規制のゲテノンである。
なおPKG-MP系は日デ側にもスペースランナーAとして供給されており、外見上ではほとんど区別がつかない。
搭載するエンジン・排出ガス処理装置は日産ディーゼルから供給されたもので、エンジンはコモンレール式のMD92、排出ガス処理装置は尿素SCRを採用。つまりスペースランナーRAと共通である。
型式は以下の通り
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
ノンステップ | PKG-MP35UK改 | PKG-MP35UM改 | |
ワンステップ | PKG-MP35UK | PKG-MP35UM | PKG-MP35UP |
自家用ツーステ | PKG-MP35UM | PKG-MP35UP |
LKG-MP系
2010年5月に発表された、平成21年排出ガス規制及び重量車燃費基準適合車。
本型式までUDトラックスにスペースランナーAとして供給されていたが、2011年4月初旬に供給を終了した。
エンジンがエアロミディに搭載されていた6M60型に変更。出力は270馬力。中型車とエンジンを共通化したことで排気量が小さくなり、トルクも細くなったがトルクコンバータ式ATの採用やファイナルギアのローギヤード化:減速比を大きくすることで補っている。
また、再生制御式DPFと尿素SCRシステムを組み合わせたBlueTecテクノロジーを採用することにより、NOx、PMを大幅に低減している。見た目はPKG-MP系とほぼ同じ。
先代との判別点はホイールがJIS方式の8ピンからISO方式の座金付き10ピンに変更されているので見分けやすい。
全車種にアリソン製の6速ATとABS、パワータードブレーキが標準装備され、5速MT車が廃止された。急坂が多くAT車独特の挙動を嫌う事業者や、燃費を特に気にする事業者ではLKG-規制以降のMP系を入れなくなった所もある。
ノンステップ車は引き続きゲテノンだが、ワンステップの改造扱いだったPKG代と異なり、正式に型式認定されMP37形式が復活した。
型式は以下の通り
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
ノンステップ | LKG-MP37FK | LKG-MP37FM | |
ワンステップ | LKG-MP35FK | LKG-MP35FM | LKG-MP35FP |
自家用ツーステ | LKG(LDG)-MP35FM | LKG(LDG)-MP35FP |
QKG-/QDG-MP35/37系(前期)
2012年7月発売。LKG-車同様に平成21年排出ガス規制に適合しており、さらに自家用ツーステップ仕様の一部を除き、重量車燃費基準適合車となっている。
LKG代規制からの主な変更点は以下の通り。
- 2012年7月に施行される安全規制に対応して乗員の安全性を向上
- クラス初のブレーキオーバーライドシステム(※)を標準装備して、誤操作を防止
- 運転席に3点多重感知式ELRシートベルトを採用。オプション扱いで2点式シートベルトも設定
- ツーステップバスの客席に、安全性が高い多重感知式ELR2点式シートベルトを採用。ただし最前列のみELR3点式となる
- 停車補助装置を搭載して乗降時の安全性を向上
- フォグランプを従来車の黄色からSKG規制以降のエアロミディと同様の透明色に変更
- 尿素水タンクの容量を40Lまで増加
エンジンや排出ガス後処理装置、ミッションはLKG代規制と同様である。
型式は以下の通り
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
---|---|---|---|
ノンステップ | QKG-MP37FK | QKG-MP37FM | |
ワンステップ | QKG-MP35FK | QKG-MP35FM | QKG-MP35FP |
自家用ツーステ | QKG(QDG)-MP35FM | QKG(QDG)-MP35FP |
※ブレーキオーバーライドシステム
ブレーキとアクセルを同時に踏んだ場合ブレーキを優先する安全装置
オーストラリア向け輸出仕様車
オーストラリア向けの路線バスとして、2013年7月にエアロスターノンステップをMP300の名称で輸出することが発表。現地の安全規制などに適合するよう仕様変更が行われ、シャーシは国内向け同様、K尺(MP37FK)、M尺(MP37FM)がラインナップされる。
国内仕様からの変更点は以下の通り
- 車椅子スペースへの車いす固定用ベルトの省略
- 車いす通過のためタイヤハウス間の幅を40mm拡大
- 前部の行き先表示機脇にマーカーランプとウィンカーを追加設置
- 後部にウィンカーとブレーキランプを追加。逆に側面のウィンカーを省略
- 通常の非常口に加え、脱出用ハンマー、天井非常脱出口を追加
- その他各種表記を英語に変更
2014年に国内向けQKG-MP系はリニューアルがされたが、オーストラリア向けは今のところ従来仕様のまま輸出が続いているようである。
QKG-MP35/38系
2014年6月にビッグマイナーチェンジが発表され受注が開始された。
変更点は以下の通り。
- 18年ぶりにフロントデザインを一新
- 規格型ヘッドランプを廃止しディスチャージヘッドランプを搭載
- 反転式スロープ板の採用
- 都市型座席配置で前向き優先席の設置
- 上記の前向き優先座席の為に追いやられた燃料タンクはフロント左タイヤハウス上に設置
アクセルペダルは従来のオルガン式から普通乗用車と同じ吊り下げ式へ変更。
警笛装置はクラクションとなったが、オプションでエアホーンへの変更が可能である。
なおフロントマスクがフルモデルチェンジされても、ノンステップ車がゲテノンであることに変わりはない。
型式は以下の通り。後期QKG系からノンステップ車とワンステップ車・自家用ツーステップ車でホイールベースが異なる。
WB4.995m | WB5.550m | ||
---|---|---|---|
ノンステップ | QKG-MP38FK | QKG-MP38FM | |
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
ワンステップ | QKG-MP35FK | QKG-MP35FM | QKG-MP35FP |
自家用ツーステ | QKG-MP35FM | QKG-MP35FP |
2PG/2KG-MP35/38系
2017年10月11日より発売された、ポスト・ポスト新長期規制適合車。主な変更点は以下の通り。
- 左側面後方監視カメラ標準装備
- クーラーのキセを角張った形状に変更(デンソー製のみ)
- H27年度重量車燃費基準+5%達成車の設定(当該車は自動ISS装置装備)
今モデルより自家用ツーステップ車の設定はなくなった。また、2017年現在ワンステップ車が設定されているのは当車種のみとなっている。
型式は以下の通り。
WB4.995m | WB5.550m | ||
---|---|---|---|
ノンステップ | 2PG/2KG-MP38FK | 2PG/2KG-MP38FM | |
WB4.8m | WB5.3m | WB6.0m | |
ワンステップ | 2PG/2KG-MP35FK | 2PG/2KG-MP35FM | 2PG/2KG-MP35FP |
2019年9月1日には改良が行われ、ドライバー異常時対応システム(EDSS)の搭載とテールランプのLED化が行われている。ラインアップに変更はない。
2021年6月にはトップドア車が復活。
今モデルはワンステップ車をベースにしており、フロントフェンダー付近から更に段上げすることで客席をフラット化。正席だけで49席を確保している。
ニューエアロスターのデビュー後、2代に渡ってCNG車が設定された。
CNG車はディーゼル車と異なり、エンジンが火花点火式で音がガソリンエンジンに近くなっている。
KC-MP717改
1998年10月発売。ベースとなるディーゼル車からの改造扱い。
発売当初はツーステップ車のみで、ガスボンベは床下に設置していた。
2000年2月にはノンステップ車も追加。こちらは屋根上にガスボンベを設置している。
トランスミッションはどちらも5速MTが標準。
KL-MP37改
KC-MP系からの変更点は殆どないが、ツーステップ車が廃止されてノンステップオンリーとなり、トランスミッションが5速ATと5速MTの2種類になった。
ベースとなったKL-MP系ディーゼル車が新短期規制適用開始に合わせて2005年8月で終売となったが、CNG車はディーゼル車規制の対象外となるため2007年8月まで販売された。
2005年10月以降終売まで導入された車両はフォグランプの小型化やリアコンビネーションランプの変更や側面反射板の取り付けなどPJ-MP系に準じた外観となっている。
エアロスターHEV
畜圧式ハイブリッド車であるMBECSに代わって開発された電気式ハイブリッド車。日野・ブルーリボンシティハイブリッドと異なり、シリーズ式ハイブリッド機構を採用している。発電用エンジンにエアロミディの6M61を搭載して走行用モーターの発電機に徹し、動力源とエネルギーの吸収にモーターを用いる。
2002年に遠州鉄道に先行導入され、2004年からは遠鉄バスに加えて名古屋鉄道にも導入された。またデモカーも名鉄バスへ貸し出され愛知万博輸送で使われた後岐阜バスが購入した。2012年の遠州鉄道を皮切りに廃車が始まり、既に全廃されている。
型式はディーゼルノンステップ車であるKL-MP37JMの改造扱いであるため、MP37JM改となる。
エアロスターエコハイブリッド
2007年9月に販売を開始したシリーズ式ハイブリッド機構を搭載するハイブリッドバス。発電用エンジンにマイクロバスのローザが積んでいるものと同じものを採用し、回生ブレーキを装備する。バッテリーは日立製作所、モータとVVVFインバータはシーメンス、モータ減速機はFLENDERが製造したものを装備している。
ノンステップバス専用車で、型式はWB4.8mがBJG-MP37TKF、同5.3m車がBJG-MP37TMFとなる。
2010年に製造中止。導入した事業者でも構造が複雑で故障が多いこと、詰め込みが効かないこと、実燃費がディーゼル車よりも悪いことなどが嫌われ、現存するのはソーラーパネル取付改造を施された両備バスのみとなっている(全国的に長らく残っていた函館バスでも、惜しくも2022年に全廃)。
1993年から2004年8月まで製造・販売していた9m大型路線バス。9m大型車は車体幅を大型車並の2.5mに拡大しながらもシャーシの長さを中型車並の9mとした折衷型。
元々9m大型車というカテゴリ自体需要の少ないニッチ層向けの市場で、更にこの9m大型車というジャンルではいすゞ自動車が最大のシェアを持っており、路線仕様を導入した事業者は北海道中央バス、川崎鶴見臨港バス、豊橋鉄道、松江市交通局などに限られる。
更にバリアフリー仕様のノンステップモデル、ワンステップモデルが設定されなかったために2002年に路線モデルの設定が消され、残った自家用モデルも2004年にラインナップから姿を消した。
U-MM218J/618J
1993年登場。従前のエアロミディMMU-MM117J/517Jのモデルチェンジ車で、ボディはエアロスターMに似たものを架装する。218Jがリーフサス、618Jがエアサス。
日産ディーゼルスペースランナーRAのOEM車。
排出ガス規制強化による開発コスト増大に対応するため、ノンステップバスに関して三菱と日デがラインナップを統一したもの。車体は西日本車体工業96MC-B型。このラインナップ統一によりふそうエアロスターから一時ディーゼルノンステップが姿を消したものの、PKG-MP35U系にワンステップ改造扱いでノンステップモデルが登場し、LKG代規制車にもノンステップモデルがあるため、ノンステップ車全てがエアロスター-S及びスペースランナーRAに統一された訳ではない。
内装・外観共にスペースランナーRAと差異が殆ど無く、識別ポイントはハンドルのエンブレムぐらい。(スペースランナーRAはNISSAN DIESELのロゴ、エアロスター-Sは三菱のスリーダイヤになっている)
PKG-AA274A系/A(P)DG-AA273A系
2007年5月発売。新長期規制に適合している。原則ノンステップバスのみだが自家用型式の認定も受けている。(ただし販売されていない)
正面のデザイン、リアランプもスペースランナーRAと同一である。ただしミディ-S発売の2008年1月より日産シビリアンのの一体型テールランプから、三菱ふそうMP系と同じゴールドキング製の汎用ランプに変更されている。
ミッション、ホイールベースの長さなどから型式は多岐に渡っている。
2010年10月施行の平成22年排出ガス規制には適合しておらず、日産ディーゼルの指定車体メーカーである西日本車体工業の解散によりスペースランナーRAと同じ2010年8月に製造を終了した。
エアロバス顔のエアロスター
MP517/518系及びMP618系には同時期に生産されていた観光バスのMS512/MS613及びMS713系エアロバスのフロントマスクを搭載した車両が僅かに存在する。
長距離路線バスや羽田・成田のランプバスで見られた。
なおニューエアロスターMP35系ではエアロバスMS8系、MS9系のフロントマスクを搭載した車両は存在しない。エアロバスマスクを好んで入れていた事業者でもMP35系でオプション設定されたフロント1枚窓マスクや路線マスクのままで導入している。
- 韓国ヒュンダイ自動車と三菱ふそうが提携していた時期においてはエアロシティと言う路線バスがヒュンダイでラインナップされていた。そのシルエットはセーフティウインドーの存在もあって、エアロスターにそっくり。余談だが、観光バスに至ってはエアロバスをまるまる鏡でひっくり返したかのようなデザインである。現在は提携解消により別物になっている。
- 初代エアロスターの機械式AT(セミオートマチックトランスミッション)はMMAT(エムマット)と呼ばれ、発進時や変速時に「カチカチカチ…」と電磁クラッチの音と思われる音が聞こえた。導入事業者に偏りがあり、導入先でもあまり良い評判はなかったが、2代目になっても他社が路線バス用セミATの導入をやめる中トラックに採用されていた機械式ATのINOMAT(イノマット)を導入していた。平行してトルコン式ATも採用していたので、事実上MT、セミAT、トルコンATの3種類が存在していた時期がある。しかし機械式ATに対するアレルギーがあったのかKC-代規制車の数年で消滅している。ふそうのバスに機械式ATが復活するのは2017年のエアロエースMS06系まで待つことになる。