概要
2007年6月、従前のハイデッカー長距離・観光バスであるエアロバスを15年ぶりにモデルチェンジする形で誕生。この時ハイデッカー車の名称として用いられたのがエアロエースであり、スーパーハイデッカー車は引き続きエアロクイーンを名乗った。
日産ディーゼル(UDトラックス)にも供給されていた時期があり、スーパーハイデッカーが「スペースウィングA」、ハイデッカーが「スペースアローA」として販売されていたことがある。
MS9系
いずれも13ℓ級エンジンを搭載した6速MT車である。
BKG-MS96JP
2007年8月29日販売開始。平成17年排出ガス規制に対応している他、平成27年新燃費基準も達成しているため、国内のディーゼルバスとしては初となるBKG-を取得した。
エンジンは先代PJ-MS8に搭載されていた6M70を新規制に適合するべく尿素SCR(日産ディーゼル開発)搭載などの改良を施した物。
日産ディーゼルにもOEM供給されており、日デ側の型式はBKG-AS96JPとなる。
LKG-MS96VP
2010年9月1日販売開始。今回は主に平成21年度排出ガス規制への適合が主に置かれた大規模マイナーチェンジで、大型トラックであるスーパーグレートの搭載エンジンと同じ6R10に変更された。出力に変更はない。
また、排気ガス処理装置がダイムラー製「BlueTecシステム」に変更された。これにより公式側後部にエンジンルーバーが設けられ、リアボンネットに「BLUETEC」のロゴシールが貼り付けられているので、これがBKG-代との大きな識別ポイントとなる。
なおLKG-代もUDトラックスに供給されており、UD側での型式はLKG-AS96VPになる。
QRG-MS96VP
2012年4月発売。エコカー減税対応に伴い排ガス規制記号が変更された。
更に同年7月にマイナーチェンジが行われ、国際連合欧州経済委員会が施行した国際基準に準じた安全規制に適合させたほか、ブレーキオーバーライドシステム(ブレーキとアクセルを同時操作させた場合、ブレーキが優先される)やサイドビューカメラを全車に標準装備し、安全性の向上を図っている。
この時エアロクィーンからサブエンジン式エアコンは廃止され、新開発の床下設置型の直結式エアコンに置き換えられているが、エアロエースは屋根上直結エアコンの設定も残されている。
2013年1月15日には更なる安全性向上を目的に衝突軽減安全ブレーキ、車間距離警報、アンチスピンレギュレーターを標準装備とするマイナーチェンジが実施された。このマイナーチェンジよりも前にオプションでこれらの装備を取り付けた車両もあるが、バンパー中央の開口部の形状が角形になっており、そこで見分けがついていた。しかし後に改造によってLKG-代以前の車両でも同型のバンパーを装着する個体が出現しているため、見分けが難しくなっている。
QTG-MS96VP
2015年4月の新車登録分より規制記号を変更。QRG-MS系と仕様に差はなく、見分けるポイントはエンジン点検口部分に貼られた平成27年度・燃費基準+15%達成を示すステッカー。
MS0系
足回りが7.7ℓ級エンジン+8速AMTに刷新され、MS9から系列名が変わった。
2TG-MS06GP(現行車種)
2017年5月発売。エンジンは排気量7.7ℓにダウンサイジングされた6S10型になり、出力は高出力と標準出力の中間ぐらいに位置する381psのみの設定となった。トランスミッションも「SHIFT PILOT」と称する8速AMTに統一され、従来の3ペダルMT車は廃止。またハイデッカーのエースは床下直結式エアコンの設定が無くなり、屋根上直結エアコンが標準装備となった。(エアロクィーンは従来どおり床下直結エアコンのみを設定)
MS9との最も明確かつ絶対的な相違点は、リアオーバーハング下端部の形状。MS8・9では斜め一直線に上がっていたが、今モデルはセレガーラ同様に途中で折れ曲がっている。公式側(進行方向から見て左側)後方寄りのエンジンルーバーも過給機取り込み口分しか開けられていない。
車体側面第2ピラーに「FUSO AERO」プレートを掲げた個体も多く、これも識別点にはなるが装着しない個体もあるため要注意。
2018年9月にはバリアフリー対応モデルとしてエレベーター付き車両が登場。これまでのリフト付きバスとは異なり、車椅子の持ち上げを車体内のエレベーターで行うことにより、搭乗者の恐怖心低減と操作時間短縮などを図った。
2019年4月にはフロントデザインがふそうブラックベルトデザインを採用したものに変更され、衝突被害軽減ブレーキの性能強化、EDSS(ドライバー異常時対応システム)、左折巻き込み事故を防ぐアクティブ・サイドガード・アシストの装着などを行ったビッグマイナーチェンジが実施された。
なおこの変更後のフロントデザインは通称令和顔とも呼ばれている。
2021年4月、マイナーチェンジでそれまでスイングドアのみ対応だった乗降ドアが折戸にも対応した。折戸は車両後方に向かって畳まれる。
大量輸送仕様
ハイデッカー車での大量輸送を実現するべく、しずてつジャストラインと三菱ふそうの共同開発で64人乗り仕様車が誕生。
正座席53人、補助席11人の合計64人乗りはハイデッカー車の定員で国内最多を誇った。
なお大量輸送仕様車のシートは一般路線バスや送迎バス向けのハイバックシートをベースとしているためにリクライニングはしない。
名鉄バスでは補助席を更に1席増やした65人乗り仕様車が登場し、関東鉄道にはトイレを設置して60人乗り仕様とした車両がそれぞれ投入されている。