概要
富山県の富山駅隣接の電鉄富山駅から、立山、宇奈月温泉を結ぶ路線を中心に走っている。通称「地鉄」。
元々富山県に多く存在した中小私鉄が戦時中に大同合併したもの。かつては現在より広大な路線を持っていて、万葉線(旧加越能鉄道)も同社から分離独立した路線だった。富山港線(旧富山ライトレール)に至っては一度国策で地鉄から分離されたものの紆余曲折を経て再び地鉄に戻っている。
観光を目的とした輸送が目立つが、近年では富山市内を走る軌道線において新規区間を開業させるなど積極的な姿勢が見られる。一方で鉄道線は他の地方私鉄の例にもれず乗客減少で苦戦を強いられている。
なお、大手・準大手を除く地方私鉄としては最大の路線長を有し、地方私鉄では唯一総営業キロ数が100kmを超えており、現在でも鉄道線だけで5路線を保有する。
路線
新規に開業した富山都心線と富山駅南北接続線、および旧富山ライトレールが運営していた富山港線は富山市が設備を保有している。
鉄道線
運行形態
- 普通列車
電鉄富山駅を中心に、宇奈月温泉方面は毎時1-2本(区間列車を含めると2-4本)、立山方面は毎時1本、岩峅寺方面(不二越・上滝線経由)は毎時1本運行されている。電鉄富山で-寺田駅間は10-20分間隔と高頻度の運行となっている。
普通列車の運行が中心だが、一部時間では急行列車、朝には快速急行の運行もある。
過去には国鉄大阪・名古屋から直通列車が運転されていたこともあり、特に名古屋からは名古屋鉄道(名鉄)キハ8000系「北アルプス」が乗り入れるなど多様ぶりを見せたが、現在ではすべて運行を終了している。
軌道線
運行形態
市内線限定運用
- 1系統:南富山駅前〜中町〜富山駅
- 2系統:南富山駅前〜中町〜富山駅〜丸の内〜富山大学前
- 3系統:「環状線」、富山駅→丸の内→中町→富山駅
日中、南富山駅前〜中町間は5分間隔。うち半数が1系統、1時間に1本が4系統、残りが2系統の列車である。丸の内〜富山大学前間は10分間隔で、1時間に1本が5系統、残りが2系統の列車になる。
環状線の列車は運行間隔が変わり、日中は平日15分間隔/土・休日10分間隔で運転される。うち30分に1本が6系統、残りが3系統。
岩瀬浜方面乗り入れ
- 4系統:南富山駅前〜中町〜富山駅〜岩瀬浜
- 5系統:富山大学前〜丸の内〜富山駅〜岩瀬浜
- 6系統:「環状線」、岩瀬浜→富山駅→丸の内→中町→富山駅→岩瀬浜
日中は富山駅〜岩瀬浜間が15分間隔となり、そのうち半数が6系統の列車となる。4〜6系統には低床車のみが運用入りし、デ7000形・デ8000形は使用されない。
越中中島・城川原までの区間列車の設定もある。
他社との接続路線
車両
自社発注車両も存在するが、鉄道線では他社からの中古車両も多い。軌道線では新車導入に積極的である。
鉄道線の車両の形式は5桁となっているが、これは最初の3桁がモーターの出力を表しており、後ろの2桁が車両としての形式となっているためである。例えば14760形は「モーターの出力が147馬力、車両形式は60形」という具合である。
(10030形は当初は営団3000系の発生品のFS510台車を履いていたが、後に大半が16010形と同じJRからの発生品のDT32台車に交換されたが、形式の変更は行われていない)。
現有車両
Pixiv上に作品があるものを掲載する。
鉄道線
- 16010形:元西武5000系「レッドアロー」。1995年と1996年に導入。車体のみの譲渡だったので、足回りは485系など別形式のものを使用。2編成在籍し、1編成は中間車が廃車され2両編成になり、1編成は3両編成の「アルプスエキスプレス」としてリニューアルされた。(イラスト右)
- 10030形:元京阪3000系。1990年~1993年にかけて2両×8編成が導入。第2編成は2013年に京阪から譲り受けたダブルデッカー車が連結され、3両編成の「ダブルデッカーエキスプレス」になっている。(イラスト左)
- 20020形:元西武10000系ニューレッドアロー。先頭車2両と中間車2両の合計4両を購入し、2020年10月12日に搬入された。先頭車1両にモーターを移設する改造を行い、3両編成に短縮された。1編成が2022年2月19日より運行開始。普通列車としても使われている。また、先代(16010形)と違い、トイレが残されている。
- デキ12020形
2024年現在も同社に在籍する唯一の電気機関車。1958年に東芝が1両のみ製造したもので、独特のスタイルが特徴。現在は主にホキ80形やチキ60形などを用いた工臨で使用されている。
軌道線
- デ7000形:1両が「レトロ電車」に改造。
過去の車両
Pixiv上に作品があるものを掲載する。
鉄道線
- 10020形:自社発注車で、日車ロマンスカーと言われるグループの1形式であったが、2020年に全廃された。ワンマン化改造は受けず、晩年は朝夕ラッシュ時のみに運用された。
- 14720形:自社発注車で、日車ロマンスカーと言われるグループの1形式であったが、2020年に全廃された。ワンマン化改造を受けていたため、晩年まで幅広く運用に就いた。
- モハ7540形/モハ10040形:富山電気鉄道から引き継いだ18m車で当初はモハ500形を名乗っていた。3両が存在したが、モハ503の1両のみモハ10040形の10043となり、他の2両はモーター出力の関係でモハ7540形の7541・7542となった。1980年にモハ7540形が、1981年にモハ10040形が廃車され形式消滅。
軌道線
- デ3530形:晩年が1両が在籍し、除雪機関車となっていたが、2008年に全廃。
バス
富山県東部のほぼ全域で路線バスを運行しているほか、高速バスや貸切バス事業も行っている。
長らく三菱ふそう・UDトラックス・日野自動車の車両を新車で導入してきたが、路線バスに関しては1998年以降は大都市圏のバス会社(特に高速バスの共同運行相手である西武バス)から購入することが多くなっている。
地元に三菱ふそう指定コーチビルダーの呉羽自動車工業(→新呉羽自動車工業→三菱自動車バス製造→三菱ふそうバス製造)があるため、ふそうバスは呉羽自動車工業の車体しか採用しなかったが、日野のバスに呉羽自動車工業の車体もあった。
なお、UDトラックスに関しては富士重工業→西日本車体工業の車体を採用していたが、富士重工の車体に関しては日野のバスにも採用したことがある。
富山と金沢を結ぶ高速バスを北鉄バスと共同で運行しているが、むろん地鉄は三菱ふそう・三菱ふそうバス製造の車体、北鉄バスは日野・Jバスの車体のバスを走らせている。
その他富山地鉄バスの項目も参照。
キャラクター
富山地方鉄道には、公式非公式共に広報用萌えキャラは存在しないが、定期券のポスターにそれっぽいキャラが存在するらしい(参考)。
鉄道むすめ
トミーテックが展開する鉄道むすめでは同社より1名登場している。
岩瀬ゆうこ
富山市内線・富山港線鉄軌道運転士
登場時は合併前の富山ライトレール所属のポートラムアテンダントだったが、2018年に同職は廃止され、2020年の地鉄合併時には合併前の両社の協議の結果、名義上は継続使用できる状態であったものの長らく動向が不明のままだった。
そして、2024年に富山港線開業100周年企画のひとつとして、地鉄移籍後の新イラスト作成を実現させるクラウドファンディングを実施。無事に目標額に到達・新イラストが公開され、名実ともに富山地鉄所属となった。
関連タグ
- 水戸岡鋭治:「アルプスエキスプレス」「レトロ電車」のデザインを担当。
- RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ:2011年公開の映画、地鉄が舞台。