東武鉄道の車両については東武10030系の記事を参照。
概要
昭和末期~平成初期における、当時の富山地方鉄道では14710形をはじめとした旧型車の置き換えのため、阪急2800系を2ドア・クロスシートに戻して運用することを計画していたが、搭載するクロスシートの調達が難航していた。
そんな中、京阪3000系(初代)の廃車が開始され、当初はこちらから座席を調達することが検討されたものの、老朽化が著しい2800系よりも、こちらを譲受したほうが改造の手間が少なくなると判断し、結局は同形式を譲受することが決まった。
ただし京阪と富山地鉄では線路の幅が異なるため、同時期に廃車された営団3000系の台車・モーターを活用。モーターの出力を元に形式を「10030形」とした(営団3000系のモーターの出力は75kW、75kW≒100馬力)。1990年~1993年にかけて2両編成8本が竣工した(2013年には中間車1両を追加、後述)。
デビュー以降の変更点
台車交換
初期に入線した編成は、元々装着していた台車がボルスタアンカーを備えたダイレクトマウント式の枕バネを採用した台車であったため、営団3000系由来でも元々のものに類似する構造のFS336形を流用した。しかし、この台車ではヨーイングが生じて乗り心地に悪影響が出たらしく、すべての台車をFS510形へと交換している(ただし、FS510形でも乗り心地はさほど変わらないのは公然の秘密)。
塗装変更
譲渡当時の第1編成と第2編成は京阪時代の塗装を維持していたが、1999年に黄色と緑のツートンカラーに変更されている。また、当初からツートンで登場した編成のうち、一部は塗装の境に赤帯が塗られていたが、現在のように省略された塗装に統一されている。
なお、第2編成はのちに京阪特急色へと復刻されている。
ワンマン化
扉の位置がワンマン運転に適しているため、上記塗装変更と並行してワンマン化改造が行われた。改造内容は以下の通り。
- 補助席を使用停止のうえ、その位置に整理券発行機を設置
- テレビカーのテレビを撤去
- 連結器を密着連結器に換装
- スカートを取り外し
また、側面に存在した種別表示器も後に埋められている。
編成高出力化
1996年以降は485系や([583系]]→)419系の廃車発生品により、第1編成と第4編成を除く6編成が主電動機をMT54に、台車をDT32形に換装した。
主電動機出力が120kWとなったが、出力向上(120kW≒160馬力)に伴う形式変更は行われなかった。
第2編成にサハ31を増結
北陸新幹線の開業による乗客増加・観光需要を見据え、ダブルデッカー車の京阪3000系3805号車改め京阪8000系30番台8831号車を2013年に譲受した。
台車は419系の発生品であるTR69形に交換され、2012年に京阪特急復刻塗装となっていた第2編成にサハ31号車として組み込まれた。また上市・立山寄りのモハ10034には液晶テレビが設置され、テレビカーが復活した。
この第2編成は「ダブルデッカーエキスプレス」として同年8月から運用を開始している。
2020年以降はコロナ禍の影響もあり、サハ31を抜いた2両編成に戻されて走ることも多い。