概要
東武鉄道の通勤形車両。主に東上本線・伊勢崎線・日光線・野田線などで運用中。
地上線専用のダイヤが比較的多い東上線においては優等列車・普通列車で頻繁に使用されている。伊勢崎線でもかつてはよく優等列車に使用されていたが、日比谷線・半蔵門線直通専用車両による運用が増え、現在は朝と夜を除き一部区間の普通列車としての運用がメインである。
東武10030型
10000型のマイナーチェンジ版として1988年に登場。8000系修繕車等に似たデザインで、側面は10000型コルゲート車体からビードプレス車体に変わった。また、灯具のデザインが変更され、ヘッドライトが外側でテールライトが内側(後述のリニューアル工事によりライトの位置が反転している)の配列となっている。増備が進むにつれ、客用ドアの材質変更やつり革の形状変更(丸型→三角形)などの小改良が行われた。
4両固定編成18本・6両固定編成14本・10両固定編成(東上本線限定運用)2本の計176両が製造。
10030型50番台(10050型)
1992年度以降に製造された車両は50番台または10050型に区分される。客室内では車椅子スペースや補助送風機(ラインデリア)新設。外観では冷房装置カバーが通風器と一体の連続式となる等の変更点がある。こちらも30番台同様、雪害対策として強制パンタグラフ上昇装置の追加や屋根上の吸出式通風装置の廃止などの小改良が続けられた。
2両固定編成18本・4両固定編成11本・6両固定編成18本の188両が製造。
10080型
10030型と同時に登場したGTO素子のVVVF制御車。試作車の位置づけで、4両固定編成1本のみ製造された。当初は故障も多かったが、2005年になって当時最新鋭であった50000型同様IGBT素子を用いたVVVF制御に変更されている。また、2015年にはリニューアル工事も施工された。
2023年12月21日付で廃車・解体された。
近況
製造後20年以上が経過したため、2011年より初期編成からリニューアル工事を実施している。種別・行先表示をフルカラーLED化し、前照灯をHID化した上、ライト位置を反転(2016年度以降の施工車は前照灯を角形LED、尾灯をクリアテールに変更、2023年度以降のワンマン施工車では前照灯・尾灯共に丸型LEDに変更)。車内は座席をバケットシート化、座席端部に大型の袖仕切りを設置(2017年度施工車まで)、モケットを青系キュービック柄(50000型後期車以降と同じ柄)のものに交換している。また、ドア上にはLEDによるスクロール案内表示器(2012 - 2017年度までの施行車は横長の小型液晶ディスプレイ「パッとビジョン」)を千鳥配置で設置。2014年度から2017年までの施行車では優先席部分へのスタンションポールの設置や床材の色分け、電子警笛の追設がメニューに加えられた。
東上本線所属編成には、6+4分割組成を10両固定に改める改造も同時に行われた。また、東上線所属編成のうち、2013年には11032、翌2014年には11639+11443Fが予備部品確保を目的に制御装置をIGBT素子を用いたVVVFインバータに更新している(10080型が機器更新後に搭載したものとは違い、60000系と同様の部品)。
予備車削減や運用再編・閑散区間への20400型投入に伴う余剰車が発生したことから、2013 - 2019年にかけて6両固定編成(50番台含む)の一部を対象に東武野田線への転属が行われた。
青(フューチャーブルー)と緑(ブライトグリーン)の帯に塗装変更、翌年同線に「東武アーバンパークライン」の愛称が導入されたのに伴い、先頭車前側面に虹をモチーフとしたマークを追加している。
なお、本線系統に所属していた4両編成11460Fが2022年4月に廃車されたのを皮切りに、リニューアル工事未施行車廃車が進んでいる。