概要
帝都高速度交通営団(⇒東京メトロ)半蔵門線が押上駅まで延伸、東武伊勢崎線へ相互直通運転を開始することとなり、これに備えて1996年から2003年にかけて6両固定編成・4両固定編成各15本ずつ、合計150両が製造された、東武鉄道の通勤型車両。
車体は軽量ステンレス製。10000系・10030系・20000系に続いて臙脂(えんじ)色の帯を巻いている。ただ本系列は、アルナ工機(現アルナ車両)および富士重工業(現SUBARU)が製造した最後の通勤形車両であり、本系列の製造を最後に東武鉄道はステンレス車の導入をやめ、アルミ車体へ切り替えた。
運転機器類は地下鉄半蔵門線・東急田園都市線への乗り入れに備え東急型のATCを搭載、またワンハンドルマスコンも東武では初めてT字形を採用した。制御方式はIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御。地下鉄直通運用に合わせ最高速度は120km/h、加速度は3.3km/h/sとされた。
直通運転開始までに時間を要したため、登場当初は暫定的に地上線(伊勢崎・日光線系統)の運用に投入され、直通開始時に10両編成に組成された。分割併合が可能なため、地上線は本線系統から支線まで、そして地下鉄直通運用に対応したフレキシブルな運転形態を可能とした。10000系・10030系との連結運転も可能である。このスタイルは最終編成まで変更されることはなかった。
なお半蔵門線・田園都市線が10両貫通なのに対し分割併合スタイルで製造されたのは旧型車の置き換えも兼ねていたことのほかに、伊勢崎線には10両編成が入線できない区間があることや、当時伊勢崎線の車両検修を行っていた西新井工場や杉戸工場では8両が限界という東武側の設備面の事情がある。車両検修の問題は、後に南栗橋工場が10両対応で完成したことで解消されたが、伊勢崎線の10両入線不可区間の問題は現在も解消されていない。
地下鉄直通運用から地上線運用へ
2003年、地下鉄半蔵門線・東急田園都市線との相互直通運転(伊勢崎・日光線内は「区間準急」「通勤準急」)が開始され10両編成運用に入るようになった本系列であるが、田園都市線は(通勤時間帯における)都内有数の最混雑路線であり、中間に挟まれる先頭車の4号車・5号車が最混雑位置と重なったことから、10両編成・地下鉄直通運用を50000系の派生系列である50050系(10両固定編成)へ代替することを決定。
2006年3月18日の地下鉄直通運用増発(種別も「急行」「準急」に改称)に合わせて、10両固定編成が入線できない区間への直通臨時列車運用を行う2編成(31606+31406、31609+31409編成)を除いて地上線の運用へ転用することになった。地上線専用となったグループは東急型ATC機器を50050系へ転用している。
東上線へ転属・集結
東武東上線で一部区間で東武型のATCを導入することになり、車両改修の効率化を目的として(東急型ATC機器を取り外していた)当系列を東上線系統へ転属させることを決定。2011年から2015年にかけて上記2編成(31606+31406、31609+31409編成)を除いた130両に対し転属改造を行った。東上線では常時10両編成での運転が行われる(支線運用は行わない)ことから、中間にくる運転台・運転機器類は撤去された。ただし(京王8000系や小田急1000形のような)大がかりな改造は行われなかったので、運転台跡はデッドスペースになっている。
東上線系統への転属は10000系・10030系とのトレードの形で行われていた。
さらには上記の直通臨時列車運用が設定されなくなったことから、本線系統に残存していた31606+31406編成も2020年に、31609+31409編成も2021年にそれぞれ東上線へ転属し、30000系は全ての編成が東上線へ集結。
こちらは地下鉄半蔵門線・東急田園都市線直通運用編成を補充するため、東上線で使用されていた50000系のうちの2編成とトレードしている。
編成表
- 全編成が東上線・森林公園検修区所属。
- VVVF=制御装置、CP=コンプレッサー、SIV=補助電源装置
←池袋 | 小川町 | 越生→ | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
形式 | 31600 | 32600 | 33600 | 34600 | 35600 | 36600 | 31400 | 32400 | 33400 | 34400 |
車種 | Tc1 | M1 | M2 | T1 | M3 | T2 | T3 | M1 | M2 | Tc2 |
号車 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
機器 | VVVF・CP | VVVF・SIV | SIV | VVVF・CP | VVVF・CP | VVVF・SIV | ||||
31601 | 32601 | 33601 | 34601 | 35601 | 36601 | 31401 | 32401 | 33401 | 34401 | |
31602 | 32602 | 33602 | 34602 | 35602 | 36602 | 31402 | 32402 | 33402 | 34402 | |
31603 | 32603 | 33603 | 34603 | 35603 | 36603 | 31403 | 32403 | 33403 | 34403 | |
31604 | 32604 | 33604 | 34604 | 35604 | 36604 | 31404 | 32404 | 33404 | 34404 | |
31605 | 32605 | 33605 | 34605 | 35605 | 36605 | 31405 | 32405 | 33405 | 34405 | |
31606 | 32606 | 33606 | 34606 | 35606 | 36606 | 31406 | 32406 | 33605 | 34406 | |
31607 | 32607 | 33607 | 34607 | 35607 | 36607 | 31407 | 32407 | 33407 | 34407 | |
31608 | 32608 | 33608 | 34608 | 35608 | 36608 | 31408 | 32408 | 33408 | 34408 | |
31609 | 32609 | 33609 | 34609 | 35609 | 36609 | 31409 | 32409 | 33409 | 34409 | |
31610 | 32610 | 33610 | 34610 | 35610 | 36610 | 31410 | 32410 | 33410 | 34410 | |
31611 | 32611 | 33611 | 34611 | 35611 | 36611 | 31411 | 32411 | 33411 | 34411 | |
31612 | 32612 | 33612 | 34612 | 35612 | 36612 | 31412 | 32412 | 33412 | 34412 | |
31613 | 32613 | 33613 | 34613 | 35613 | 36613 | 31413 | 32413 | 33413 | 34413 | |
31614 | 32614 | 33614 | 34614 | 35614 | 36614 | 31414 | 32414 | 33414 | 34414 | |
31615 | 32615 | 33615 | 34615 | 35615 | 36615 | 31415 | 32415 | 33415 | 34415 |