概要
国鉄の新性能電車には当初MT46形モーターが使われていたが、全電動車編成を組むことが前提のモーターだったため、熱容量が小さく、頻繁に行われる加減速に対応できない、急行型では登坂性能が悪いという問題点があがった。そのため、通勤型の103系にはMT55が用いられることになったが、113系や165系、183系などで使われたのがMT54である。
このモーターは直流モーターで、制御にはもっぱら抵抗制御が使われたが、交流車では一部のみサイリスタ位相制御が使われている。
高速域になると凄まじい爆音を出すので音鉄に人気。
性能
MT46との比較点も挙げる。
出力
端子電圧375Vのとき、出力120kW。MT46より20%増加した。
回転数
定格回転数は1630rpm、許容回転数は4320rpm。MT46よりやや低回転である。
この結果、113系、115系では定格速度84km/hを実現している。
採用事例
国鉄末期まで採用され、JRになってからも採用事例はそこそこあった。太字は現役。斜体は残存するが定期運用はない。
また、西武鉄道でもほぼ同設計の電動機が使われたが、採用例が多すぎるので割愛する。
国鉄直流近郊型
国鉄直流急行型
このグループは全廃された。
国鉄直流特急型
国鉄交直流近郊型
- 403系
- 413系:471系、473系からの改造車だが、旧471系は改造と同時もしくは後にMT46から換装。
- 415系:一部は113系からの改造車。
- 417系
- 419系:581系・583系からの改造車。
- 423系
国鉄交直流急行型
国鉄交直流特急型
国鉄交流型
このグループは全廃された。
- 711系:近郊型ではこの系列のみサイリスタ位相制御であった。
- 715系:581系・583系からの改造車。
- 717系:交直流急行型からの改造車。旧451系はMT46から改造と同時に換装。
- 781系:特急型ではこの系列のみサイリスタ位相制御であった。
国鉄事業用車
JR東日本
JR東海
JR西日本
JR四国
- 113系:JR東日本からの譲渡車を改造したもの。JR四国からは全廃。
しなの鉄道
秩父鉄道
- 3000系:元JR東日本165系。
富士急行
- 2000系:元JR東日本165系。国鉄急行型直流電車最後の活躍の場であった。
北陸鉄道
富山地方鉄道
えちぜん鉄道
- MC6001形・MC6101形:主電動機をMT46から換装。愛知環状鉄道からの譲渡車。