概要
1997年10月1日にJR東日本長野新幹線(北陸新幹線)の開業と同時に、その並行在来線として経営分離された信越本線の軽井沢駅(長野県北佐久郡軽井沢町)~篠ノ井駅(長野県長野市)間を継承した第三セクター鉄道会社。2015年3月14日の北陸新幹線の金沢延伸時には、長野駅~妙高高原(新潟県妙高市)間も継承した。
台湾との交流
しなの鉄道と台湾鉄路管理局に「田中駅」があったことがきっかけとなり、2018年3月26日に台湾鉄路管理局と「友好協定」を結んだ。
相互に使用済みの乗車券と企画乗車券の無償交換を行う「乗車券交流」、相互の車両デザイン交換を実施している。
営業路線
篠ノ井駅~長野駅の間はJR信越本線へ乗り入れる。
車両
所有する車両は、かつて赤とガンメタリックを配したオリジナルカラー(しなの鉄道色)を纏っていたが、現在は、ガンメタリックの部分がダークグレーに変更されている。この塗装は将来的にステンレス製車両を導入しても、引き続き使用できるものとして採用された。
JRからの移行に際し、塗装変更が間に合った115系S3編成と169系全車以外は、しばらく新長野色のまま運行していた。のちに2013年と2015年に転入した115系も当初は新長野色で営業運転を行い、検査時期に合わせて工場へ入場した際に、しなの鉄道色へ塗り直していた。ただしS15編成だけは廃車時までずっと新長野色を纏っていたため、一度もしなの鉄道色へ塗り替えられていない。
2014年に115系S8編成を改造して観光列車「ろくもん」が登場。ドーンデザイン研究所を率いる水戸岡鋭治氏がデザインし、車内は食事を提供できるよう改装されたほか、トイレの設備も使用できるよう復元させている。
2020年7月からはE129系をベースにした新型車両SR1系が運行を開始しており、老朽化した115系の置き換えが進んでいる。
また、かつては営団地下鉄から東西線で使われていた5000系を購入する計画もあったが、経営陣交代にともないお流れとなってしまった。
115系
開業時に導入された車両。
開業時に転入したS1〜S11編成の11本は松本運転所(現、松本車両センター)所属のもので、保安装置の都合からしな鉄譲渡にあたっては長野運転所所属の車両と一旦トレードしたうえで移籍している。
先述のとおり、S3編成以外は開業までに塗装変更が間に合わず、しばらくは新長野色のまま営業運転を行い、その後徐々に塗り替えを行った。1998年からはモケットの張り替え、2000年からはS5編成を除いて車内や補助電源等の更新が行われた。同年からはワンマン運転への対応も行われており、車外スピーカーなどが設置された。このグループのうちS8編成は、バイオトイレの試験車であったもので、先述のとおり2014年に「ろくもん」へ改造されている。
続いて2013年には169系の置き換え用として2連を組成するS21〜S27編成の7本が転入し、同年3月のダイヤ改正から運用入りしていた。これらにはJR時代にリニューアルが施工されたものとされていないものが存在していた。
さらに2015年には北しなの線開業に合わせてS12〜S16編成の5本が転入した。いずれもJR時代にリニューアルが施工されており、このうちS15編成は先述のとおり廃車までずっと新長野色から塗り替えられることなく活躍した。
塗装
2017年4月より、信州ディスティネーションキャンペーンと開業20周年を記念し、所有する115系の一部をかつての旧塗装へ塗り替えている。4月の初代長野色(S7編成)を皮切りに、5月湘南色(S3編成)、7月横須賀色(S15編成)がデビューし、更に約30年前に走っていたコカ・コーラ仕様もデビューした(なお当時ラッピングされていた車両がS11編成そのものであったため、今回のも同じ編成が使われた)。そのための資金はクラウドファンディングによって集められたのだが、わずか5日で目標金額に到達したそう。ただし、今回のラッピングは当時のものを再現したわけではない。
おまけに平成30年1月には台湾鉄路管理局との交流事業として「台鉄自強号色」(S9編成)もデビュー。
最盛期にはしなの鉄道色・新長野色・初代長野色・湘南色・横須賀色・コカ・コーラ色・台鉄自強号色・ろくもんと計8色の115系が運行していた。その後コカコーラ色は契約期間の終了により消滅し、横須賀色は塗られていた2編成がともに廃車となったために消滅した。しかし2024年より始まった企画「プロジェクト115」にて、横須賀色をS9編成に復刻させることが発表されたため、これで2回目の復活となった。
3両編成(S1-S16編成)16本(48両)
編成番号 | クモハ115 | モハ114 | クハ115 | ATS | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
S1 | 1004 | 1007 | 1004 | P-Ps | |
S2 | 1012 | 1017 | 1011 | P-Ps | |
S3 | 1013 | 1018 | 1012 | P-Ps | 湘南色 |
S4 | 1066 | 1160 | 1209 | P-Ps | |
S5 | 1069 | 1166 | 1212 | Sn | 2013年7月に廃車 |
S6 | 1002 | 1003 | 1002 | P-Ps | |
S7 | 1018 | 1023 | 1017 | P-Ps | 初代長野色 |
S8 | 1529 | 1052 | 1021 | P-Ps | ろくもん |
S9 | 1527 | 1048 | 1223 | P-Ps | 台鉄自強号色→横須賀色 |
S10 | 1067 | 1162 | 1210 | P-Ps | |
S11 | 1020 | 1027 | 1019 | P-Ps | コカ・コーララッピング |
S12 | 1036 | 1047 | 1037 | P-Ps | |
S13 | 1070 | 1167 | 1213 | P-Ps | |
S14 | 1010 | 1015 | 1010 | P-Ps | |
S15 | 1015 | 1020 | 1014 | P-Ps | 新長野色 |
S16 | 1072 | 1170 | 1215 | P-Ps | 横須賀色 |
S2編成は2012年~2013年にアニメ「あの夏で待ってる」のラッピングをしていた。
S5編成は2013年に廃車となった。
S8編成は2014年に観光列車「ろくもん」へ改造。
S9編成は台湾自強号色終了後、一旦しなの鉄道色へ戻されてから再度横須賀色へ変更された。
2両編成(S21-S27編成)7本(14両)
編成番号 | クモハ115 | クモハ114 | ATS | 備考 |
---|---|---|---|---|
S21 | 1011 | 1507 | P-Ps | |
S22 | 1528 | 1508 | P-Ps | |
S23 | 1037 | 1509 | P-Ps | |
S24 | 1005 | 1510 | P-Ps | |
S25 | 1075 | 1511 | P-Ps | 湘南色 |
S26 | 1076 | 1512 | P-Ps | 横須賀色 |
S27 | 1040 | 1514 | P-Ps |
S23編成は2013年~2014年にサッカーJ3のクラブチーム「長野パルセイロ」のラッピングをしていた。
SR1系
2024年7月現在、100番代3本(S101-S103)、200番代4本(S201-S204)、300番代9本(S301-S309)の計16編成が在籍中。
100番代はライナー専用車であるため、車内にはロングシートとクロスシートを転換できるデュアルシートを備える(ただし検査などの場合は一般仕様車が代走する)。
200番代と300番代は一般仕様であるが、200番代には冬季に用いる霜取りパンタグラフを備える。
2027年までに最大23本を導入し、115系を置き換える予定(当初は2026年までに最大26本導入する計画だったが、情勢変化により計画が変更された)。
編成番号 | クモハSR112 | クモハSR111 | 備考 |
---|---|---|---|
S101 | 101 | 101 | ライナー兼用 |
S102 | 102 | 102 | ライナー兼用 |
S103 | 103 | 103 | ライナー兼用 |
S201 | 201 | 201 | 霜取りパンタ |
S202 | 202 | 202 | 霜取りパンタ |
S203 | 203 | 203 | 霜取りパンタ |
S204 | 204 | 204 | 霜取りパンタ |
S301 | 301 | 301 | |
S302 | 302 | 302 | |
S303 | 303 | 303 | |
S304 | 304 | 304 | |
S305 | 305 | 305 | |
S306 | 306 | 306 | |
S307 | 307 | 307 | |
S308 | 308 | 308 | |
S309 | 309 | 309 |
S202編成は2023年に生じた上田駅構内の電留線における脱線事故の影響で運用離脱中。
過去の車両
169系
3両編成4本(S51-S54)が在籍していた。2013年4月29日に全車両が引退。このうちS51編成〜S53編成は開業時に入線し、S54編成は快速の増発用として1998年に部品取り車と共に入線している。車内は国鉄時代に急行かもしか用として0系新幹線の廃車発生品を用いたリクライニングシートへ交換されていた、いわゆるアコモ改良車であった。
主に快速やライナー等で使用されていたが、2011年の省令改正の影響でJR線への乗り入れができなくなったため、以降はしなの鉄道線内のみの運用とされていた。
S52編成はこれまでに2回湘南色へ復元されていたほか、S51編成は引退前に湘南色へ復元された。
引退後はS51編成は坂城駅、S52編成のクモハ169-6号車は軽井沢駅に保存されたが、後者は2021年に軽井沢駅の構内を改装する際に撤去され、そのまま解体された。
編成番号 | クモハ169 | モハ168 | クハ169 | 備考 |
---|---|---|---|---|
S51 | 1 | 1 | 27 | 湘南色 |
S52 | 6 | 6 | 19 | 湘南色 |
S53 | 23 | 23 | 20 | |
S54 | 13 | 13 | 13 |