概要
日本の鉄道の「特急」に相当する列車種別である(運転開始当初は特快車(特急)の愛称という扱いを受ける場合もあり、「自強特快」との表現も見られた)。
「自強」は中華民国が国連を脱退した際に用いられたスローガン「莊敬自強,處變不驚」に由来するもので、公募された案の中から政府により決定された。
縦貫線をはじめとする幹線の電化とともに勢力を拡大し、現在では台鉄の都市間列車の主力となっている。
沿革
1961年より運転され、車両の老朽化によって廃止された客車列車「観光号」の後継として、1978年に縦貫線台北~台中(海線経由)に設定されたのが始まりである。翌年、縦貫線全線電化により高雄まで延長された。
当初は新型のEMU100型電車のみが使用されていたが、台東線改軌が完成した1982年からはDR2800型気動車を用いて東海岸にも設定されるようになる。その後はEMU200・EMU300型電車、DR2900・DR3000・DR3100型気動車の導入による増強が図られ、1996年のE1000型電車の大量導入により大増発された。
その後は電化の進展・日本製の車体傾斜式車両TEMU1000型・TEMU2000型による「太魯閣自強号」、「普悠瑪自強号」の運転開始によりさらなるスピードアップが図られる一方で、多客期の輸送力確保が新たな課題として浮上してきた。そのため2021年から2024年にかけてEMU3000型電車が大量導入され、旧型電車を一掃するとともに輸送力強化が図られる見込みである。
なお、台北~高雄間では台湾高速鉄道と競合するが、速達性に優れる高鉄と運賃が安い自強号という形で棲み分けている。
使用車両
電車
TEMU2000型「普悠瑪」
日本車両製。
2014年の台東線電化・複線化に合わせて営業開始。車体傾斜機能を活かして台北~台東間を3時間30分で結び、東海岸方面への輸送力強化に貢献している。また、台北~高雄間にも足を延ばし、同区間の最速列車にも用いられている。
TEMU1000型「太魯閣」
日立製作所製。
北宜高速道路(国道5号線)開通に対抗するため、2007年に導入された車体傾斜式電車。台北~花蓮間を中心に運用され、現在は台東まで足を延ばす。
E1000型
ヒュンダイ製。
前後の機関車で無動力の客車を挟むプッシュプル方式をとる。
1996年から400両以上導入され、自強号の近代化に貢献した。
2005年頃から電装品の故障が相次ぎ、韓国メーカーの入札禁止という事態に発展したことは有名。
現在も縦貫線の自強号の主力として活躍している。
EMU300型
イタリア・ソシミ社製。
自強号増発用として1989年に登場。自強号初の130km/h運転を行い、台北~高雄間を最速3時間47分で走破した。この記録は普悠瑪登場まで破られることがなかった。
しかし台車に亀裂が生じるなど足回りに問題を抱えており、主に彰化以北の区間列車に用いられた。故障の増加により2021年4月限りで定期列車から引退した。今後は多客期の臨時列車用となる見込み。
EMU200/EMU1200型
南アフリカ・UCW社製。
自強号増発用として1987年登場。3両1編成として柔軟な編成が組めるよう配慮された。
2003年には非貫通化・9両固定編成化・出入口の自動ドア化などの改造を受け、EMU1200型となる。
現在も彰化以南を走る自強号に用いられているが、EMU3000型の導入とともに引退する見込み。
EMU100型
イギリス・ゼネラルエレクトリックカンパニー製。鉄道ファンには「英国少女」または(故障が多かったことから)「英国婆」(イギリスレディ)の愛称で親しまれた。
1978年の自強号運転開始当初からの車両で、動力車1両と付随車4両からなる5両を1編成とした。
一時期商務車(ビジネスクラス、日本のグリーン車相当)を試験的に設定したことがあるが、定着せず廃止となった。
老朽化に伴い2009年限りで定期運用を終了したが、現在も3編成が走行可能な状態にあり、時折イベント列車として走る。
ディーゼル車
DR3100型
日本車両製。
東海岸へ向かう自強号の増強を目的に1998年登場。台東線電化と普悠瑪登場により、現在は南廻線を
中心に活躍している。
DR3000型
日立製作所製。
DR2900型の増備車として、南廻線開通に先立つ1990年登場。
DR2900型
日立製作所製。
DR2800型の増備車として1986年登場。DR2800型と異なり裾絞りがない車体形状が特徴。
DR2800型
東急車両製。
1982年、台東線改軌に合わせて登場。光華号に用いられたDR2700型と同等の設計であるが、自強号用ということで冷房を搭載している。