概要
千葉県成田市の東成田駅と、山武郡芝山町の芝山千代田駅を結ぶ第三セクター鉄道会社で、成田空港(成田国際空港、当時は新東京国際空港)建設による地元への見返りとして建設された。
京成電鉄に関わりのあるの第三セクター鉄道会社には北総鉄道もあるが、あちらの株主は京成なのに対し、こちらの筆頭株主は成田国際空港株式会社。そのため京成グループではない。
路線長は僅か2.2kmで、開業に際し和歌山県の紀州鉄道(2.7km)を抜き「日本一短い旅客鉄道会社」となった(ただし自前の路線を保有し自ら運送を行う普通鉄道の事業者として。後述の「余談」節も参照)。
なおこの2.2kmという路線長、成田国際空港A滑走路の長さの約半分しかない。
将来は芝山町中心部を通り九十九里海岸方面への延伸構想がある。
歴史
- 1981年5月1日:会社設立。
- 1988年6月24日:路線事業免許取得(芝鉄成田空港(仮称)【京成成田空港(初代)隣接】~整備場前(仮称))。
- 1990年12月25日:工事施行認可。
- 1996年12月27日:京成電鉄線との直通運転に運転計画変更(当初は小型電車による線内往復運行を計画したが、地元の要請により変更となった)。
- 2000年6月20日:一部区間ルート変更認可(未買収地を迂回するため)。
- 2001年4月26日:「(仮称)整備場前」駅が「芝山千代田」駅に正式決定。
- 2002年10月27日:東成田~芝山千代田間開業。
車両
開業時より、車両は全て京成電鉄からのリース(貸し出し)を受け、整備も京成電鉄に一任されている。
ただし自社線内の運用はたまにあるくらいで、前者は京成線および都営浅草線での運用(先頭車が電動車ではないため、京急線には乗り入れなかった)、後者は京成本線や京成金町線などの各駅停車での運用が主体となっている(自社線を主に走る京成車との車両使用料相殺が目的)。京成車と共通運用。
京成カラーの青帯を緑帯に替えた上、側面の「Keisei」プレートの上から「芝山鉄道」ロゴを貼り付け、先頭車正面に「SR(Shibayama Railway)」のロゴが貼り付けられている。
運行形態
全列車が京成東成田線へ直通し、京成成田~芝山千代田間の普通列車の運行が主体となっている。日中は6両もしくは4両編成の電車が40分間隔で運転されているが、朝と夜の時間帯に京成本線方面への直通列車が設定されている(普通、快速、通勤特急、特急、快速特急)。この時間帯は最短でも20分間隔。
駅一覧
※全列車が各駅に停車。ここでは京成東成田線の区間も掲載。
余談
- 路線のほとんどが成田国際空港の地下を通るが、土地の未買収区間を迂回するため急カーブ区間がある。その区間では制限35km/hで運転される。
- 空港敷地内を通る影響で、テロ防止のため、当路線内で運行中の列車には必ず警察官が添乗する。
- 京成名物だった行商人専用車を設ける列車は芝山千代田始発だった。
- PASMO加入事業者でないため、suica・PASMOを利用して当路線を利用する際は自動券売機で乗車券を購入する必要がある(もし誤ってsuica・PASMOを入場駅で自動改札機にタッチして乗車した場合、芝山千代田駅で現金精算および乗車証明を取った上、後日最寄り駅で入場取消手続きを行う必要がある)。
- 路線開業前には、駅弁を作って京王百貨店の駅弁大会に出展したり、成田空港内で手荷物預かり所を運営したことがある。
芝山鉄道以外の「日本一短い鉄道会社(事業者)」
前述の通り、芝山鉄道は自前の路線を保有し自ら旅客運送を行う普通鉄道の事業者として日本一短い鉄道会社である。しかしこの前提条件から外れる鉄道事業者としては、芝山鉄道以外の事業者が「日本一短い鉄道会社(事業者)」となりうる(もちろん、青い森鉄道や四日市あすなろう鉄道といった上下分離方式の第三セクター鉄道のように、鉄道車両の運行だけ行って路線自体は全く保有しない事業者は除く)。以下はそのような事業者の一例である。
- 和歌山県:南海和歌山港線の和歌山港駅側2.0kmを保有。実際に路線運営を行っているかどうかに関わらず普通鉄道の路線を保有し旅客輸送に携わる事業者としては日本一短い鉄道事業者。
- 西濃鉄道:JR東海東海道本線(美濃赤坂支線)の美濃赤坂駅から延びる貨物路線を保有する事業者。2022年9月以降の保有路線は美濃赤坂~乙女坂間1.3kmのみで、貨物専業事業者を含む普通鉄道を保有・運営している事業者としては日本一短い鉄道事業者。
- 鞍馬寺:全長191mのケーブルカーを保有。普通鉄道ではないものの、鉄道事業法による許可を正式に受けた鉄道路線を保有・運営している事業者としては日本一短い鉄道事業者。
- 紀州鉄道:先述の通り自前の路線を保有し自ら運送を行う普通鉄道の事業者。芝山鉄道開通によって日本一の座を明け渡したものの、公営鉄道や第三セクター、宗教法人などを除く民間企業の鉄道事業者として、及び自社が保有する路線のみで自己完結している普通鉄道の事業者としては、現在でも紀州鉄道が日本一短い。
関連タグ
- 北神急行電鉄:かつて存在した、芝山鉄道同様に自社線内に中間駅が一切無かった鉄道会社。