概要
テレビカーとはテレビ受信機とテレビモニターを設置した鉄道車両のことを指す。
この名称は京阪電気鉄道のものが多く知られているが、他社にも存在する。なお、日本で初めて導入されたテレビカーは京成電鉄である。
テレビカーの名称は京阪電気鉄道の登録商標となっているため、他社では許可無く使用することはできない。
京阪の「テレビカー」
京阪電気鉄道で初めてテレビカーを導入したのは1880系である。1800系の導入の翌年の1954年8月に白黒テレビの設置を開始し、車体側面上部に「テレビカー」と書かれた朱色の飾り文字が表示された。次代の1810系および1900系も白黒テレビが搭載された。
1971年7月に導入された3000系からはカラーテレビとなった。京阪特急車にテレビは1編成につき最低1両という原則から、深夜を除き3両ないし4両ユニットを連結して2編成にしているため、編成中に2両のテレビカーを持つ点があった。それは1900系も同じであった。
1989年10月に導入された8000系は7両固定編成のため、編成中に持つテレビカーは1両となった。「テレビカー」の文字はステンレスの切り抜き文字に変更された。大人気を誇ったことから翌年からは8000系に置き換えられ、3000系は1本を除き廃車・譲渡された。
2009年より8000系車両のリニューアル工事に伴い、8750形に搭載されたテレビは撤去されることになり、2012年までに全車リニューアル工事が行われ、8000系からテレビカーは消滅した。最後に2013年3月の3000系の引退で、京阪のテレビカーに終止符を打った。
テレビ設備の変遷
- 初期においては乗務員がアンテナの方向を操作していたが、のちにダイバーシティ方式に改められたため、操作が不要となった。
- アナログ放送を受信していた当時は、八幡市付近で映像が乱れることが多かった。また、地下区間はLCX方式での受信であった。
- 1992年からはBSアンテナを設置して衛星放送を受信していたが、電波が遮られるところでは映像が途切れていた。
- 2011年7月24日のアナログ放送終了に備えて、2006年までに地上デジタル放送に対応した受信設備に交換された。また、それに併せてブラウン管テレビから32型の液晶テレビに交換された。なお、地下では地上デジタル放送の電波を受信できないため、アナログ放送の映像に切り替えられた。アナログ放送が終了すると地下区間ではテレビの受信を取りやめたほか、中之島線においてはテレビの地上設備自体が設置されていない。
テレビのメーカーは、アナログ放送を受信していた時代は松下電器産業(現:パナソニック)製のものが使われていたが、液晶テレビへの交換時は京都産をアピールするためなのか三菱電機製のものが使われた。
京阪以外のテレビカー
初代の京阪3000系車両が富山地方鉄道に譲渡されて10030形となり、譲渡当時はテレビが交換された上で残っていたが、1996年のワンマン化改造に伴い、運賃表を取り付けたため撤去された。その後、2012年に10033-10034編成を京阪時代の塗装に復元され、連結面上にシャープ製の液晶テレビ「AQUOS」が設置された。2017年現在で残っているテレビカーは富山地方鉄道である。
その他、京成電鉄、近畿日本鉄道、筑豊電気鉄道、JR各社および小田急電鉄等にもかつてテレビが設置されていた。