黒部峡谷鉄道
くろべきょうこくてつどう
富山県の中小私鉄で、関西電力の完全子会社である。もともとは黒部川電源開発(発電所の建設)のための資材運搬用鉄道として開業したのが始まり。しかしながら登山客や一般観光客からの乗車希望が絶えなかったので、1941年から便乗扱い(生命の保証をしないですよという名目のもと)で乗客を乗せるようになり、1953年に地方鉄道法による免許を得てから正式に宇奈月〜欅平にて旅客営業を始めた。旅客列車はトロッコ客車を使用。
欅平以遠の関西電力黒部専用鉄道に関しては「黒部宇奈月キャニオンルート」として旅行商品という形で営業する予定である。ただし2024年は1月1日の能登半島地震での被害から復旧に時間がかかるため行われない。
今でも軽便鉄道の頃の名残で連結器はいわゆる「朝顔形ピンリンク式(ジョンストン・カプラー)」が用いられているが、客車の緩衝器は通常規格の鉄道と同様の容量の大きなものを使い自動ブレーキも完備、機関車にはATSが装備され安全性では1067mm以上の軌間の鉄道と差はない。観光客が多いため、軽便鉄道らしからぬ長編成を牽いて走っている。
冬期の積雪が多く、雪崩による被害の危険性が高いことから冬期(12月から4月半ばまで)は運休する。さらに一部区間では線路や鉄橋が撤去され、トンネルの中にそれらを保管する。その間は関電の職員は並行している冬季用の通路を通ることになっている。
日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」の企画「DASH島」にてトロッコ線路設置の技術指導を当鉄道の保線スタッフが行ったのは、ここがほぼ新線建設レベルの作業を毎年の恒例行事として行っているため。
また、当路線の線路幅は日本でも数少ないナローゲージの762mm軌間となっている。日本ではここのほかに三岐鉄道北勢線と四日市あすなろう鉄道内部・八王子線が該当。