概要
ナローゲージは、標準軌(標準的な軌間)より幅の狭い線路、またはその路線を指す。
日本語では「狭軌(きょうき)」と言われる。
世界的な標準軌はイングランドの鉱山鉄道発祥の1435mm(4ft8.5in)であり、これより広い軌間は広軌(Broad gauge)と呼ばれ、主としてロシア周辺およびインド周辺、イベリア半島(スペイン・ポルトガル)などで用いられている。
これらのゲージとしては、おもに以下のものが存在する。
- 1372mm(4ft6in)馬車軌間
- 1067mm(3ft6in)三六軌間、ケープゲージ(日本、台湾、インドネシア、アフリカ南部など)
- 1000mm(3ft3 3/8in) メーターゲージ(東南アジア、アフリカ東部、ブラジルなど)
- 914mm(3ft) American narrow
- 762mm(2ft6in)特殊狭軌(オーストリア周辺の760mm、旧ソ連圏の750mmもほぼ同等である)
- 610mm(2ft)
- 508mm(20in)
- 381mm(15in)
なお914mm以上は幹線にも使用されるためmedium gaugeと呼ばれることがある。この場合は914mm未満のものを狭い意味でのナローゲージと呼ぶ。3ft未満のナローゲージは事実上、軽便鉄道と同義である。
日本での状況
但し、日本においては1435mm軌間は新幹線の走行区間、一部の私鉄(特に関西方面)および一部市電等の路面電車および地下鉄、あるいは製鉄所などの所内鉄道などに存在するのみである。1372mm軌間は今は京王線(京王井の頭線を除く)・都営新宿線・都電荒川線・東急世田谷線・函館市電にしか存在しない。
JRの在来線を始めとする日本の鉄道の多くは1067mmの軌間が採用されており、日本においては1067mmが事実上の標準と言ってよく、実際に過去においてはそのように扱われている。
そのため、日本において「ナローゲージ」という表現が用いられる場合は、基本的に1067mmより狭い軌間を示す場合が多い。
日本に存在するナローゲージとしては、四日市あすなろう鉄道の内部・八王子線、三岐鉄道の北勢線、黒部峡谷鉄道のように、軌間762mmのものが代表的である(ほかに国土交通省の工事作業用路線である立山砂防工事専用軌道が610mmであり、ケーブルカーでは914mm、983mm、800mmといったものが存在している)。
それ以前には600mm、838mm、914mmのものが存在し、鉱山で使用された鉄道では610mmおよび508mmが用いられた。