もしかして
⇒伏線
解説
鉄道路線は基本的に上下双方向で運転している(一部の新交通システム、たとえばディズニーリゾートなどのように単線で環状線運転形式している場合は除く)ばあい、線路が一対しか無い単線の場合、信号場や交換可能駅など途中に行き違い設備を設置する、あるいは路線を分割しない限り、その路線では一本の編成しか運転できなくなる。
そこでこれらの線路を上りと下りの列車を分離するようにように複数の路線、すなわち複線とした場合、極端に細長い円の中を単線で列車が走っている状況となり、極論だが線路に配置できる、ほぼ車両分の本数を運転することが出来ることになる。
ただしこれにも限界があり、設備的な問題(運用する車両、信号などの設備、鉄道路線の保守整備)や、経費的な問題(列車運用には需要が必要であり、過剰に運用すると設備や人員などが必要となり赤字となる)、そのほか(たとえばひとつの車両に遅れが生じた場合全体が遅れたりすることになる)などのため単純に「複線=無限の本数が運転出来る」とはならず、おおむね単線の三倍程度の運用能力となるとされる。
一方で、単線が複線化によって所要時間は大幅に短縮化される事例が多く、最高速度引き上げと交換待ち解消による効果がかなり効く事例も。
2023年(令和5年)の川越線で起きたデッドロックでは単線による正面衝突未遂が起きた事例も多い為、主力幹線でも複線化を求める声が大きい。
他にも奈良線や東武野田線でも複線化によってダイヤや所要時間安定化に貢献した事例もある。
その他の方式
なお、類似した形式で単線並列という形式が存在する。これは複線が基本的に上り下りで分割されているのに対しこちらは単線路線が複数存在する状態であり、まったく異なる物と扱われる(こちらの場合純粋に単線の2倍の運用能力となる)。ただし、双単線と呼ばれる「通常は複線運用だが片方が事故等により停止した際片方の路線を単線として運用可能」という形式も存在する(この方式のデメリットは設備投資が増えること、列車本数が多くなると運用が難しくなることであるとされる)。この方式は日本においては同一の鉄道会社の中ではあまり用いられないが、別の鉄道となる場合に用いられる場合がある。
双単線・複線の例外運用
逆に2つの線路が別々の事業者に所属しながら1組の複線として運用されている名鉄名古屋本線・JR飯田線の豊橋~小坂井信号場、同一の会社内で用いられている双単線が、在来線の関門トンネルである。名古屋本線・飯田線はかつて飯田線も私鉄線だった名残、関門トンネルが双単線の理由はトンネル内の保線作業、万が一の水没の際のダメージとリスクの低減である。
実際、水害で水没したことはある。
単線トンネルなら複線のそれより断面積・容積が小さいので、仮に2本とも水没してもとりあえず被害の小さそうな方を優先して復旧という手段が取れる。複線ではトンネル全体から水が抜けないことにはどうにもならない。
また複線を2組配置した状態は複々線と呼ぶ。
通行の方向
なお日本においては複線として運用する場合基本的に向かって左側通行で運行されており、これは自動車などと同様である(路面電車の関係もあるとは思うが、外国においては異なる事例も存在する。外国において、自動車や路面電車が右側通行をしているのに鉄道が原則左側通行という国は、あとから道路の通行方向を変えたか、鉄道創業期にイギリスから技術を導入したか、である。
そうした国で2頭立て以上の馬車をイベントで走らせる時、御者が馬車側に乗っている場合は元々は道路も左側通行だったケース、フランスのように馬に乗る場合は鉄道資材を最初イギリスから買ったため鉄道だけ左側通行になったケースである)。