概要
鉄道における線路( レール )の幅の事であり、この広さが車両限界や輸送力、安定性や乗り心地にも影響し、基本的に鉄道車両はレール幅が異なる路線には入線不能となっている。
選定
この軌間の決定には輸送需要や地形等に影響される線形、建設費や車両の入手などの予算に関係することは元より国防、政治的事情、他国との関係など諸事情が絡む為、どの地にどの軌間が最適かを述べるのは困難である。
標準軌
1435mmを標準軌と呼び、それより広い軌間を広軌、逆に狭い軌間を狭軌と言う。スペイン、ロシアおよびインドなどでは広軌が採用されている。高速鉄道に関してはスペイン・インドとも実績の観点から標準軌を採用する。
日本
新幹線や軌道から始まった私鉄が標準軌を採用しており、また馬車軌道から発達した一部私鉄では1372mmを採用しているところが存在している一方、通常の鉄道では1067mm、いわゆる三六軌間が多く、これ未満を特殊狭軌線と呼ぶことがある。
かつての日本における「標準軌」
国鉄の大多数の在来線および乗り入れする貨物列車等を扱っていた私鉄の多くでは3フィート6インチ( 1067mm )を採用しており、この軌間は法律で定められていた時期が存在している。
異なる路線への乗り入れ
レール幅の異なる路線に乗り入れするにはいくつかの方法が存在し、それぞれの軌間に対応する台車を用意して振り替える、それぞれの幅に対応した線路を敷く三線軌条または四線軌条、車両側で対応するフリーゲージトレインなどが存在する。
台車の振り替え
台車の振り替えは近鉄の南大阪線系統車両などの車両検査時や、オリエントエクスプレス'88の運航などに用いられたが、車両に応じて多くの台車が必要になる事や台車振り替え作業に時間を取られるなどの理由のため、定期営業列車には余り用いられない。
ただし、旧ソ連を挟んだ地域・仏西国境(在来線・タルゴ開発前)では日常の手法であり、台車を標準化するなどで作業を合理化している。
三線軌条
三線軌条の対応例は小田急電鉄乗り入れのために行われた箱根登山鉄道や、山形新幹線の利用による奥羽本線や北海道新幹線開通に伴う青函トンネルに見られ、海外では四線軌条にして各軌間の列車の中心線を揃える事もある。
ただし軌間の差が小さすぎると三線軌条も中心線を揃えた四線軌条も不可能で、標準軌/ロシア広軌の場合(85~89mm差)では仮に4つのレールにA~Dの記号を振るとAとCで標準軌、BとDで広軌という形を取るほかない。
台車交換場のレールは似た外観だがAとDで広軌になっており、一見走行レールに見えるBとCは標準軌のバックゲージを支え脱線防止ガードとして機能する(日本でも60年前の京成電鉄の改軌の際、軌間が異なるものの同一構造のものが一時的に見られた)。
フリーゲージトレイン
軌間可変電車は、現状では標準軌/広軌はタルゴのように海外では実用化できているものの、標準軌/狭軌は日本で新幹線用としては手詰まりとなり、近鉄などが直通用に開発に乗り出しているという話がある。
駆動軸のない客車用であれば、標準軌↔米軌も既に完成しており、スイスの狭軌観光私鉄が他社標準軌ターミナル駅直通に使っている。
タルゴにしても機関車はフリーゲージ車両では無く、駆動機構と軌間可変機構を併置する事の難しさが窺われる。
主な軌間の一覧と主な採用地域
レール幅 | 名称 | 主な採用地 |
---|---|---|
1676mm | インディアンゲージ | インドの多くの路線、バングラデシュ |
1668mm | イベリアンゲージ | ポルトガル、スペイン |
1600mm | アイリッシュゲージ | アイルランド全土、オーストラリアとブラジルの一部路線など |
1520mm | ルシアンゲージ | ロシア、その周辺諸国など旧ソ連構成国及び衛星国 |
1435mm | 標準軌 | アメリカ合衆国、フランス、中国など多くの国々。新幹線、京浜急行、京成電鉄、関西の大手私鉄4社 |
1372mm | スコッチゲージ、馬車軌間、東京ゲージとも | 関東地方の一部私鉄、昔のスコットランド |
1067mm | ケープ軌間 | 日本の大半の鉄道、台湾の在来線、インドネシア、南アフリカなど多数 |
1000mm | メーターゲージ、インドシナ標準軌 | 東南アジア諸国、主にインドシナ半島の路線の多くなど。 |
914mm | アメリカンナロー | アメリカ合衆国が関連する鉄道や路面電車、日本では九州北部の軌道線などで見られた |
762mm | ナローゲージ | 軽便鉄道に多用された。日本でも近鉄湯の山線・天理線、松浦鉄道西九州線、太多線および名鉄広見線の一部区間のように軽便鉄道線由来の路線の多くはこの軌間だった時代を持っている |
関連タグ
タルゴ( 後付けだが軌間可変機能を持つ )