概要
世田谷区を縦断する東急電鉄の路面電車で、東急に現存する唯一の軌道線でもある。
かつては下高井戸線と称し、1969年5月11日に東急玉川線(玉電)が廃止になった際に世田谷線へ改称した。下高井戸線時代には、玉電大橋停留場(現在の池尻大橋駅)併設の大橋検車区を共用していたが、玉電廃止に先んじて、雪が谷検車区上町班を上町停留場の隣に新設する対応を取った。
発足経緯から路面電車であるにもかかわらず、ほぼ全線が専用軌道であり、併用軌道区間は若林停留場付近の環状七号線(環七)を横切る「若林踏切」の部分に限られる。
同区の北部・中心部・南部をそれぞれ走行する京王電鉄・小田急電鉄・東急電鉄の線路を繋ぐ唯一の線である。
路線データ
路線距離(営業キロ) | 5.0km |
---|---|
軌間 | 1372mm |
複線区間 | 全線 |
電化区間 | 全線(直流600V) |
閉塞方式 | 軌道法によるため閉塞装置なし(軌道信号機が転てつ器のある箇所に建植されているほか、運転間隔を確保するため建植されている箇所がある) |
保安装置 | 軌道信号に連動した車内警報装置 |
最高速度 | 40km/h |
駅一覧
停留場名 | 停留場番号 | 読み | 接続路線 | その他情報 |
---|---|---|---|---|
三軒茶屋 | SG01 | さんげんぢゃや | 田園都市線(DT03) | 田園都市線の改札口とは地下道経由でつながっているが、世田谷線改札口はキャロットタワー1Fにあるためかなり離れている |
西太子堂 | SG02 | にしたいしどう | ||
若林 | SG03 | わかばやし | 環七通りとの交点(若林踏切)は唯一の併用軌道区間 | |
松陰神社前 | SG04 | しょういんじんじゃまえ | 松陰神社は名の通り、吉田松陰の墓がある。国士舘大学最寄り駅 | |
世田谷 | SG05 | せたがや | 世田谷区役所最寄り駅 | |
上町 | SG06 | かみまち | 上町車庫(雪が谷検車区上町班)が隣接している | |
宮の坂 | SG07 | みやのさか | もと江ノ電600形601号が保存。もともとは東急玉川線デハ87(2代)だったもの。また、豪徳寺は次の山下駅ではなくこの駅が近い。 | |
山下 | SG08 | やました | 小田急小田原線豪徳寺駅(OH10) | なお世田谷線にもかつてこの駅の南側に「豪徳寺前」という駅があった |
松原 | SG09 | まつばら | ||
下高井戸 | SG10 | しもたかいど | 京王線(KO07) | ちなみに京王線の軌間は世田谷線と同じ1372mmである |
停留場間距離はすべて1km未満である。
隣の停留場に停まっている電車が見えることも……
車両
現在世田谷線唯一の車両。当該系列へ統一された際に、すべての停留場でホームの嵩上げを実施した。同様のバリアフリー化を実施した都電荒川線と同じく、超低床車両が存在しないのはこのためである。
過去には玉電引き継ぎのデハ70形、デハ80形、デハ150形が使用されていた。
余談
全区間均一の運賃を導入しており、PASMOやSuicaなどの交通系ICカードで支払った場合の履歴は「バス等」となる。そのため、かつては同じ月に7回乗車するとバス特チケットが付与された。
1月と12月に開催される「世田谷ボロ市」の日は平日の日中でも利用客でごった返す。期間中は4、5分ヘッドでの臨時ダイヤで運行するほか、多くの乗客を捌くために会場の最寄り停留場の一つである世田谷停留場に臨時駅員が配置され、ホーム上での事前清算と乗降整理を行う。
かつて本路線の沿線住民の間では、「定期かざし」と呼ばれる一種の信用乗車が行われていた。これは朝ラッシュ時に電車へ乗車するときに、ホームへ入線する電車の運転士へ向かって定期券をかざして見せることで、有効な定期券を所持している旨のアピールを行い、停車次第、乗務員へ定期券を提示することなく、空いている乗車口からそのまま乗車を行うというものであった。当然ながら現在では、乗車時は乗務員に券面を必ず確認してもらうことが必要であるほか、交通系ICの定期券が普及したため、この文化は廃れている。
関連リンク
関連タグ
北大阪線···阪神電気鉄道がかつて運行していた路面電車で、国道線の一部。車両基地が国道本線の浜田車庫に一極集中していたことが災いして廃線となり、今では阪神バスによる代替バスも既に免許維持路線である。