概要
かつて日本各地に中小の電力会社が設立されたが、大正末期になると統廃合が進み東京電燈,東邦電力,大同電力,宇治川電力,日本電力の5社に集約されていった。しかし、第二次世界大戦に入ると国家総動員法により日本発送電と9つの配電会社(北海道,東北,関東,中部,北陸,関西,中国,四国,九州)に統合された。戦後になるとGHQの占領政策の一環として日本発送電は9つの電力会社に再編された。現在ある電力会社10社のうち、日本発送電が前身となっているのは沖縄電力を除く9社である。
発送電分離
日本の電力会社は発電から送電までを一貫して同じ電力会社が行っているが、欧米では発電事業と送電事業を分離する発送電分離が1990年代半ばから主流になっている。発送電分離のメリットは、新規事業者の参入が増えることで競争力が増し、電気料金が安くなると言われているが、デメリットとして事業者が効率を追求するあまり、電力供給が不安定になると言われている。日本国内でも発送電分離の議論が2000年前半に自民党政権下であったが、電力会社の猛反発を受け頓挫した。しかし東日本大震災以降、既存の電力会社(業界)の諸問題を受け、発送電分離を求める声が高まっており、国会でも議論になっている。
日本国内の電力会社
会社名 | 通称・愛称 | 供給エリア |
---|---|---|
北海道電力 | 「北電(ほくでん)」 | 北海道 |
東北電力 | 「東北電」 | 宮城県,岩手県,秋田県,山形県,福島県,青森県,新潟県 |
東京電力 | 「TEPCO(テプコ)、東電」 | 東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県,群馬県,栃木県,茨城県,山梨県,静岡県(富士川以東) |
中部電力 | 「中部電」 | 愛知県,岐阜県,三重県,静岡県(富士川以西),長野県 |
北陸電力 | 「陸電(りくでん)」 | 富山県,石川県,福井県(嶺北,敦賀市),岐阜県の一部 |
関西電力 | 「関電」 | 大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,滋賀県,和歌山県,福井県(敦賀市を除く嶺南) |
中国電力 | 「Energia(エネルギア)」 | 広島県,岡山県,島根県,鳥取県,山口県,香川県小豆島,愛媛県の一部 |
四国電力 | 「四電」 | 香川県,愛媛県,高知県,徳島県 |
九州電力 | 「九電」 | 福岡県,佐賀県,長崎県,大分県,熊本県,宮崎県,鹿児島県 |
沖縄電力 | 「沖電」 | 沖縄県 |
東日本大震災直後時点までは、厳然とエリア別に契約できる電力会社が決められており、東京電力の輪番停電の際には、山梨県北杜市の長野県境地域で大問題になった。
というのも、同じ谷に属する長野県側の集落との境は昔の村の字境ていどの間隔しかなく(当然ながらここは長野県の諏訪地方の生活圏でもある)、数百メートル先まで長野県を管轄する中部電力の60Hzの電力網が来ている。小さな集落なので、その地区を配線を付け替えてまるごと移管したとしても長野側の既存供給力で十分まかなえるのであるが、「山梨だから東電以外と契約できない」で押し切られ、輪番停電に翻弄されることに。
現在の電力自由化は、今の所周波数まで違う電力会社の電気をそのまま受電できるという枠組みではない。