概要
積雪の多い地区で、道路や鉄道線路の除雪を行う車両。雪を掻き分けたり飛ばしたりする。あるいは建設用機械(ホイールローダーやパワーショベルなど)を利用する場合もある。
小型の家庭用のものもあり、ホームセンターや降雪地のバイク屋で販売されている(メーカーが同じためと、冬はバイクが売れないため)。
鉄道ではかつては貨車の一部として分類されていたが、その後除雪能力を持ったディーゼル機関車が製造されたためそちらに役目を譲り、さらに現在は車籍のないモーターカーを使用するようになっている。
種類
ラッセル車
車両に備え付けたブレードで雪を左右、あるいは片側に掻き分けていく方式。
道路ではブルドーザーに取り付けたものやトラックを改造したものが高速道路や国道などで使われる。
鉄道では両側に掻き分ける単線用と左側に掻き分ける複線用と用途が分かれていたが、現在は翼を自在に動かすことで両方の機能を持つ(マルチプロウと呼ばれる)ものが主流。
ジョルダン車(広幅雪かき車)
車両前面に除雪用の翼を装備し、これを左右に広げることでラッセル車よりも広い範囲を除雪可能な車両。駅や操車場のほか、本線の除雪にも使われたことがある。ただし、開いた翼は雪の抵抗を受けやすいため、あまり深い雪には使えないという欠点がある。
国鉄ではキ700という車両が該当するが、翼の展開方式が2種類あり、当初は空気圧式で、後に近代化改造で油圧に改造された車両は750番台に改番された。
マックレー式
後述するロータリー車が除雪しやすいよう、左右の雪の壁を取り崩して線路上に並べ直す車両。
というのもラッセル車で除雪しているうちにラッセル車では除雪しきれない量の雪になってくると、ロータリー車で除雪しようにも左右に一度押しのけられた雪が壁になり、直接ロータリー車で除雪するのが困難になるためこのような車両が用いられた。
その役割上、除雪用の装置は後部に設置されている。
ロータリー式
車両の前部に設けられた羽を回転させて雪を掻き込み、吹き飛ばす方式。
鉄道のものは両側に翼を設けて、線路周辺の雪を切り崩し、上記のマックレー車の能力も持つようになった。現在はモーターカーが主流になっている。
ローダー式
羽で雪を掻き込むところまではロータリー式と同じだが、その雪を後ろまでコンベアで運び、ダンプなどに積み込む方式。
北海道の国道の排雪作業などで見られる。
掃雪車(スノースイーパー)
車両の前方にブラシをつけ、それを回転させて雪を取り除く方式。路面に追従するので表面を傷つけずに除雪できるのが利点。
積もり始めの雪や空港の滑走路などでほかの除雪車両で取り損ねた雪を取り除く際などに使われる。
あまり深い積雪の場合は目詰まりを起こすので使えない(せいぜい15センチ程度)。
ジェットエンジン式
ジェットエンジンの高温、高圧の排気を利用した方式。海外では実用例がある。日本では苗穂工場で航空自衛隊千歳基地から借りたジェットエンジンを搭載したものが試作されたが、いろいろと問題があったため程なく開発は中止されたという。
ササラ電車
北海道の路面電車で使用されている車両。竹を裂いて束ねた「ササラ」を回転させて雪を跳ね飛ばす。上記のスノースイーパの一種ともいえる。詳細は該当項目を参照。
その他
雪を飛ばすというわけではないが、凍結を防止するための凍結防止剤を散布する車両もここに含まれる場合がある。