概要
オートバイ、鉄道車両、重機や農機の一部などにも該当するが、一般的には四輪の自動車を指す事が多い。
日本での中古自動車事情
日本で中古自動車の売買業を営むには古物商の許可が必要となる。
市場は専門の販売店(ディーラー)が主流で、新車売買の際に乗り換えの中古車の下取り取引が行われる場合も多い(※実際に中古車の売買を検討する場合の手続・注意事項等は、専門店・専門サイトなどをよく参照して頂きたい)。
流通している中古車の一部には展示用などで登録のみされて事実上未使用の状態で売却される物もあり、多くの場合「新古車」として扱われている。
状態の悪い車両は部品取りにもなりやすいが、人気車などは専門業者の手によってレストア(大がかりな復元修理)がされる場合もある。
タクシーやバス、トラックなどの商用車の中古市場も発達しており、地方の中小企業が大手や大都市の企業で使われていた車両を購入するのも一般的である。
基本的に塗装やシール、社名表示灯(行灯)等以外で、大幅な改修が行われない場合が多い。
オートバイについては主に個人ユーザー向けの市場が形成。
特に趣味性の高いスポーツタイプや人気の高い旧型車などが多く売買される。
日本では欧米の先進諸国等と比較すると、愛好者などを除いて一人あたりの一台の保有年数が全体的に短い。
そのため日本で生産・使用されてきた中古車は基本的に状態良好・高品質とされており、海外での人気が高い。
その中には、右ハンドルが原則規制されているため輸入の際に左ハンドルへ付け替える国や地域も多いとされる。
オセアニアのサモア独立国では、地理上日本、豪州、ニュージーランドからの中古車を仕入れやすいという理由で、2009年に左通行・右ハンドルに切り替えたとされている(外務省海外安全情)。
近年日本国内では、電気自動車の一定の普及に伴いそれらの中古車も流通している。
ただしエンジン車と比較してより劣化がしやすく交換コストも大きいバッテリー関連のトラブルが少なくはないため、購入を検討するに当たって登録年数・走行距離・バッテリーの状態等の確認が重要となる。
レーシングカーの中古車
最新鋭の技術を駆使してコンマ001秒を争う世界で活躍するレーシングカーだが、意外とトップチームから払い下げられた中古車での参戦は多い。
基本的には資金・技術・人材・設備・時間などのリソースが不足しているが参戦はしたい新規参入チームや弱小チーム、アマチュアの個人参加者(プライベーター)が中古のレーシングカーを購入する。
売る側は置き場所や固定資産税について問題のある、古くなったマシンを処分した上で最新のマシンを開発するための資金に充てることができ、買う側もマシンを安く入手できるため、お互いにメリットがある取引となる。
さらにプライベーターへの販売が前提となるGT3などの規定においては、メーカー側も商売としてメンテナンスパックやアップデートキットといった乗用車さながらのサービスを用意しているケースが多い。
こうしたメリットを勘案して、型落ちマシンだけを用いることを定めているアマチュア向けカテゴリもある(例:WECのLM-GTEアマ)。
レーシングカーは時速200〜300kmという凄まじいスピードで走り回る分車体への負担は想像できないほど甚大だが、ものによってはメンテナンスされながら10年近くもの間トップカテゴリで活躍する中古車もある。
ただしF1のように、自チームでのシャシー製造が義務付けられている場合は他チームから中古車を購入することはできない。
また自チーム内で使い回す場合も、毎年のレギュレーションに合致しない場合はアップデートや新規開発が要求されることになる。
ワンメイクレースが廃止となった後、余った中古の量産マシンが時を経て別のワンメイクレースに流用されることもある(例:A1グランプリ→Auto GP/FA1チャンピオンシップ)。
ヴィンテージ物として愛好家により購入され、クラシックカーイベントに登場する場合もある。レーシングカーの多くはワンオフ品である上に古いマシンは予備となる部品は基本的にほぼ無く、エンジンの始動を始めとするそのマシン独自の扱い方や機械技術の継承も難しいため、動態保存するには極めて高度な技術・人脈と潤沢な資金を必要とする。
市販車をベースとする規定の競技では、安全や排ガスの規制が緩かった古い車の方が軽量・小型で、かつ現代よりローテクな分メンテナンスもしやすいために、絶版となった車の中古が採用されることは多い。
競技専用設計車のレースでも、中古車を流用して好成績を残す場合がある。一例を挙げると1996・1997年のル・マン24時間を連覇した、オープン型プロトタイプのTWRポルシェWSC95は、グループC時代に世界タイトルを獲得したジャガー・XJR-14の屋根を切り取ってモノコックを改良し、同じくグループCで無双していたポルシェ・962Cのエンジンとトランスミッションを搭載したものであった。
日本の中古鉄道車両
地方の中小私鉄や外国(主に東南アジア)が、国鉄・JR、大手私鉄が使用してきた状態の良い車両を買い取って自社(自国)の路線に転用するケースが一般的となっている。
ステンレス製車体は腐食しづらい(さびにくい)ため、部分的な再塗装や板金等も含めて製造から50年以上も継続使用されているものもある(例:東急7000系→養老鉄道7700系)。
番外・中古航空機
航空機は日本の法令上「車両」として扱われないが、参考として掲載。
一般的なジェット旅客機の寿命は20年から25年くらいとされているが、固定資産税の削減などを目的に機齢15年ほどの機体を売却するケースも多いとされる。
中古機を購入する場合、当該機体が過去にどのような整備が行われたのかを事前に詳しく調査する必要性があり、この調査に1年掛かる場合がある。
このため中古機購入のためにコストをかけるより、新造機を購入する方が得策だと考える航空会社も少なくないとされる。