WEC
うぇっく
6時間以上の長時間にわたってサーキットを周回する耐久レースを世界各国で行い、年間の成績でドライバー・メーカー・チームの世界チャンピオンを決める国際シリーズ。
レース専用に設計されたプロトタイプカーと、市販されているスーパーカーをレース用に改造したGTカーという異なる規格のマシンが混走し、ドライバーも複数人で交代しながら戦うのが特徴である。そのため、ドライバー個人というよりはメーカーやチームの戦いという色が強い。
またマシンの規格に合わせてクラスが分かれており、「クラス優勝」という概念が存在するのも大きな特徴である。中にはプライベーター(個人または自動車以外を扱うメーカーのチーム)やアマチュアドライバー向けと公言されるクラスも設定されており、門戸は非常に広く開かれている(後述)。
タイヤはミシュランまたはグッドイヤーのワンメイクで、どちらのメーカーのタイヤを使うかはカテゴリーによって異なる。またレースで使用できるタイヤの本数がカテゴリーやレース時間ごとに違ったり、予選で使用したタイヤを必ず決勝スタート時に使用しなければならなかったりするなど、使用に関して細かいルールが設定されている。
WECの前身にあたるプロトタイプカーの選手権は1953年には生まれており、その意味ではF1並の歴史があるのだが、様々な理由により滅んでは生まれ、生まれては滅んでを繰り返していた。
そのためWECそのものの歴史は浅く、初開催は2012年である(1992年に終了したスポーツカー世界選手権以来、20年ぶりの復活となる)。この初開催以降も、自動車メーカーやプライベーターチームによるWECカテゴリーへの参戦・撤退はひっきりなしに繰り返されてきた。
WECの開催初年度の2012年からずっと参戦を続けているチームといえば、TOYOTA GAZOO Racingやシグナテック、AFコルセ(フェラーリのセミワークス)くらいである。
2014〜2016年のLMP1規定全盛期には出力でF1カーを上回るマシンが登場し、トップカテゴリーにトヨタ、アウディ、ポルシェという名だたる3社が参戦して鎬を削っていた。しかし、マシン開発コストの高騰やフォルクスワーゲングループによる、アメリカ合衆国の自動車排ガス規制(マスキー法)に対して同社が行った一連の不正行為(ディーゼルゲート)に端を発するヨーロッパ圏でのEVへのシフトにより、アウディおよびポルシェがWECから撤退。一時期はトップカテゴリーにフル参戦する自動車会社チーム(ワークスチーム)がトヨタしかいなくなってしまった。
再度メーカーを招致するために2020年まででLMP1は廃止され、性能調整を前提とした低コストなル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に改訂された。そして2021年シーズンからはスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスが、2022年シーズン(の後半戦)からはプジョーがそれぞれ参戦。
2023年シーズンからは後述のル・マン・デイトナ・h(LMDh)カテゴリーの創設により、フェラーリ含む数多の自動車メーカーがトップカテゴリー(ハイパーカー)に参戦した。
一方のLM-GTEクラスでは、全盛期にはポルシェ、フェラーリ、アストンマーチン、シボレー、フォード、BMWが参戦していたが、フォード、BMW、アストンマーチンの撤退によりワークスチームが減った事から2022年にGTE-Proクラスが、翌2023年にGTE-Amクラスが消滅した。
2024年からはLMP-GT3クラスとして、1メーカーあたり2台限りという条件の下にFIA-GT3が使用される。
プライベーター向けのプロトタイプカーカテゴリだったLMP2はハイパーカークラスの台数増加に伴い、2023年を最後に消滅した。各カテゴリーの詳細は後述。
先述の通り、WECは参加するマシンの規格に合わせてクラスが分かれており、「総合優勝」と「クラス優勝」という2つの概念が存在する。日本で言えばSUPERGTのような「複数カテゴリーが存在し、クラスごとに賞典が設けられる」シリーズのファンには馴染みがあるだろうが、F1やNASCARなどといった「全車が同じ土俵で争い、唯一の勝者を決める」シリーズのファンにとっては、その仕組みを理解するのに少し時間がかかるかもしれない。
マシンの大枠においてはプロトタイプカーとGTカーの2クラスに分類される。かつて、細分化された4つのカテゴリーから構成されていたが、カテゴリー分布の変容やワークスチームの度重なる参戦と撤退が繰り返された結果、現在の形に落ち着くこととなった。
プロトタイプカー部門
・ハイパーカー
2021年から現在までのWECのトップカテゴリー。
性能調整(Balance of Power, BoP)を用いる2つの規定が混在しているのが最大の特徴で、低コストなマシン製造が可能な反面、性能調整のバランスを巡って議論を呼ぶことがある(ちなみに2024年以降、参加者側が性能調整に批判的な発言をした場合、罰金が課される)。
・ル・マン・ハイパーカー(LMH)
自動車メーカーが莫大な資金と技術の粋を投入して製造したプロトタイプマシンを、プロ中のプロのドライバーが駆る。もう一つのハイパーカー規定であるル・マン・デイトナh(LMDh)に比べると、四輪駆動化を含めた自由度の高い設計が可能なのがメリットとなる。
前述の通り、かつてはLMP1という名称でマシンの規格も異なっていたが、2021年からはこの規格に移行している(2022年までは特例としてLMP1マシンも出場可能だった。この規定を利用してアルピーヌがレベリオン・R13に自社のバッジネームを付けて参戦している)。TOYOTA GAZOO Racing、プジョー、フェラーリのようなワークスチームのみならず、ヴァンウォール、イソッタ・フラスキーニなどのような新興のプライベーターも参戦している。2025年シーズンからは、アストンマーティンが市販ハイパーカーであるヴァルキリーの耐久仕様での参戦を予定している。
その一方で、グリッケンハウスは2023年を最後にWECから撤退した事により、2021年にWECのトップカテゴリーがハイパーカークラスになってからは初めて撤退したチームとなった。また、ヴァンウォールも2024年シーズン参戦をACOから却下されてしまい、イソッタ・フラスキーニもフル参戦初年度となる2024年に、第6戦ローンスター・ル・マンを最後に突如シーズン途中での即時撤退(残りのレースにも出場しない)を発表した。このように新興プライベーターにとっては少々鬼門となってしまっている。
・ル・マン・デイトナ・h(LMDh)
IMSA(国際モータースポーツ協会)とACOが共同で生み出した新カテゴリー。先述のル・マン・ハイパーカーとの共通化が図られ、これによりWECをメインとするル・マン・ハイパーカーがIMSAのレースに、IMSAをメインとするル・マン・デイトナ・hがWEC(ル・マン24時間含む)に出場できるようになる。公認された4社の独立系コンストラクターが製造する既存のシャシーベースに改造を施し、共通のハイブリッドシステムを搭載する。設計の自由度はかなり低いが、より低コストな製造が可能なのがメリットで、ル・マン・ハイパーカーよりも多数のエントリーを集めている。
また低コストゆえにプライベーターからの人気も高く、特にポルシェは往年のグループCを彷彿とさせるプライベーターへの横展開を行っている。
2023年シーズンから自動車メーカー系チームの参戦が急増した最大の理由はこのカテゴリーの創設にある。
かつてLMP1-Hクラスにフル参戦していたポルシェやキャデラックが2023年シーズンから参戦。2024年シーズンからはBMWやランボルギーニ、アルピーヌがLMDh規定のマシンでWECに参戦。更にはWRCでもトヨタと鎬を削るヒョンデが高級ブランドである『ジェネシス』名義で2026年を目処に参戦を発表しており、先述のル・マン・ハイパーカー規定と合わせて、WECのトップカテゴリーはまさしく戦国時代真っ只中となっている。
なお、この規格に沿ったマシンを開発しIMSAに出場しているACURAはWECには出場していない。北米ブランドとはいえ元は日本の自動車メーカーのホンダということもあり、WECへの参戦によるトヨタとの熾烈な一騎打ちを期待する声も大きい。
・水素プロトタイプカー(仮称)
2023年スーパー耐久第2戦・富士24時間レースに先駆けて来日した、ACOのピエール・フィヨン会長から発表された新規定。
2026年に最高峰クラス(=ル・マン・ハイパーカー)に「燃料電池車と水素燃料エンジン車」の参戦を認める事を発表したが、以前から毎年のように参戦開始年が繰り下げされており、実質的には施行は未定となっている状態でもある。
・LMP1(消滅)
かつてWECで採用されていたプロトタイプカー規定のトップカテゴリー。ノンハイブリッド・プライベーター限定の「LMP1」と、ハイブリッド・ワークスチーム限定の「LMP1-H」に大別され、特にLMP1-Hは四輪駆動+高出力モーターの1000馬力級のモンスターマシン揃いであった(同一サーキットであれば世界最高峰と謳われるF1マシンのコンマ1秒程度の速度で走破できる性能を有していた)。
当時エコ技術とされていたディーゼルエンジンの採用も可能で、WECの前身にあたるル・マンシリーズ時代からアウディがこれで猛威を振るっていた。
しかし、上述の通りフォルクスワーゲングループの不祥事(ディーゼルゲート事件)の煽りを受ける形でアウディ・ポルシェが相次いで撤退したことで、WECにフル参戦しているワークスチームがトヨタのみとなる事態になった。そして後継規定のハイパーカークラスにトップカテゴリを引き渡す形で2020年をもって廃止された。
日産もエンジン駆動においてはFF方式(フロントエンジン・フロントドライブ)を採用するという珍プロトタイプで2015年からフル参戦の予定であったが、ル・マンの一戦のみで撤退している。
プライベーターはレベリオンを筆頭に、バイコレス(かつてはロータス名義でも参戦)、ストラッカ/童夢、BR1エンジニアリングなどが参戦した。
・LMP2(消滅)
プロトタイプカテゴリーの中でもプライベーター向けのもの。チームが車体とエンジンを購入する形式を採るが、マシンの製造会社や使用するエンジンが運営により指定されており、基本的にはドライバーの腕やチームの戦略で争うことになる。
かつては低コストに参戦できることや北米IMSAでも2014年からメインカテゴリ化されたことから、LMP1を凌ぐ人気があり、2016年まではオレカ、オンローク、モーガン、ギブソン(旧ザイテック)、アキュラなどが参戦した。
しかしこれはコスト高騰を招いてカテゴリの趣旨から外れてしまうことから、2017年から選択できるシャシーコンストラクター(オレカ・オンローク・ダラーラ・ライレー/マルチマティック)は公認の4社に限定された。しかしこれ以降、品質とコスパに優れるオレカのワンメイク状態となっていた。
また2016年までの覇権エンジンは日産製V8だったが、2017年からギブソン製V8にワンメイク化されていた。
ちなみにこの流れの中で、LMP2には残っていたオープントップ型のプロトタイプカーも廃止されている。
2023年限りでWECシリーズにおいて廃止された。今後はIMSAやELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に参戦しているチームの中から出場権を得たチームのみ、ル・マン24時間でLMP2クラスでの参戦が可能となる。この動きを受けてか、過去にLMP2クラスに参戦していた参戦チームの中には、このLMP2をベースとするLMDh規定で開発されたマシンを購入して、カスタマーチームとしてハイパーカークラスに参戦しているチームも存在している。
GTカー部門
・LM-GT3
2024年シーズンから新設されたGTカーカテゴリー。
世界的な人気を誇るFIA-GT3車両を使用し、ハイパーカークラスで採用されているトルクメーターの搭載が義務付けられる。
理論上、メーカー各社が開発するGT3マシンであれば誰でもル・マンの門戸を叩くことが出来るが、FIAとACOが「ハイパーカークラスに参戦しているメーカーのGT3車両を、1メーカーにつき2台優先させる」という条件を付けたため、GTカーで参戦しているがハイパーカーを持たないアストンマーチン(2025年からハイパーカークラスにフル参戦予定)や、そもそもWECにワークス参戦していないメルセデスAMG・フォードなどでは選考委員会から出場枠を確保しなければならなくなっている。
ちなみに、2024年度に出場枠を確保できたのはレクサス(トヨタ)、アストンマーチン、マクラーレン、フォード、コルベットの5メーカーである。
・LM-GTE Pro(消滅)
数あるGTカーカテゴリーの中でも、過去に一定の戦績をもつプロのドライバーが参戦する部門。GT3との最大の違いは電子制御によるドライバー支援(ABSなど)が少ない点で、「ドライバーの腕で純粋に勝負できる」とこちらを好む腕利きのドライバーは多かった。
かつてはフェラーリ、ポルシェ、シボレー、アストンマーチンがワークス参戦していた他、BMWやフォードといった名だたるメーカーも参戦していたが、同時にワークス参戦から撤退する例も著しく多かった。
2020年にアストンマーチンがワークスチームとしてのWEC参戦を終了し、2022年にはフェラーリ、ポルシェが前述のハイパーカー参戦のために撤退を発表。シボレーもGTE Amへのカテゴリー移行を表明し、2022年シーズンをもってこのカテゴリーは廃止された。
・LM-GTE Am(消滅)
FIAの規定で「シルバー」または「ブロンズ」に格付けされる、主にアマチュアドライバーが参戦するカテゴリー。こちらもLMP2と同様のプライベーター向けのカテゴリーであるが、LMP2よりアマチュアドライバーの比率が高い。また、女性のドライバー3人とスタッフで構成されたチーム「アイアン・デイムス」は2023年にクラス優勝を飾る快挙を達成している。
アマチュアといってもそこは世界選手権、実力は相当なものが要求される。しかもプロとしての実績こそないがカートから経験を積み重ねてきたプロの卵たる若手や、かつてF1はじめとするビッグカテゴリで好成績を残したが引退して久しいレジェンドも「シルバー」や「ブロンズ」に格付けされるため、最低でもセミプロと呼べるレベルにある選手でないと優勝は狙えない。
先述した通り、2023年シーズンにはLM-GTE Proに参戦していたコルベットがこのカテゴリーに移行した。しかし、2023年シーズンをもってこのカテゴリーも廃止が決定し、2024年シーズン以降は下記で説明しているように、LM-GT3のみに一本化された。
メーカー\カテゴリー | ハイパーカー | LMGT3 |
---|---|---|
トヨタ | 〇 | △※1 |
ポルシェ | ⚫ | △ |
BMW | ⚫ | △ |
フェラーリ | 〇 | △ |
ランボルギーニ | ⚫ | △ |
イソッタ・フラスキーニ | ✕ | |
プジョー | 〇 | |
アルピーヌ | ⚫ | |
アストンマーチン | ▲ | △ |
マクラーレン | □ | △ |
ゼネラルモーターズ | ⚫※2 | △※3 |
フォード | △ | |
ヒョンデ | ▲※4 | |
グリッケンハウス | ✕ | |
ヴァンウォール | ✕ |
記法一覧
〇:ル・マン・ハイパーカー規格で参戦
⚫:ル・マン・デイトナ・h規格で参戦
△:カスタマーのみ参戦
▲:参戦予定
□:去就未定
✕:撤退済
無印:参戦無し
※1:レクサス名義
※2:キャデラック名義
※3:シボレー・コルベット名義
※4ジェネシス名義
F1と同様、世界中のサーキットでレースが開催されるが、F1の1シーズンが全20戦強で構成されるのに対しWECのそれは(毎年6月のル・マン24時間を含めて)6〜8戦に留まる。しかし国際規格を満たすサーキットは少ないため、スパ・フランコルシャン(ベルギー)やシルバーストン(イギリス)、インテルラゴス(ブラジル)、バーレーン、上海、サーキット・オブ・ジ・アメリカズなど、F1と被るコースが多い。
F1にないコースとしては、飛行場転用で継ぎ接ぎだらけのコンクリート&アメリカ式ピットボックスが特徴で、伝統の12時間レースで知られるセブリング、日本のモータースポーツファンには馴染み深い富士スピードウェイなどが選ばれている。
コロナ禍が続いていた2021年には富士6時間レースが開催中止になったため、1週間のインターバルを設けてバーレーンで2連戦、という異例の日程が組まれた。
ル・マン式スタート
かつてのル・マン24時間レースでは、「ホームストレート上のピット側にマシンを斜めに並べ、反対側にドライバーが並び、スタートの合図と同時にドライバーがダッシュでマシンに乗り込み、エンジンを掛けてスタートしていく」という方式が用いられ、俗に言う「ル・マン式スタート」と呼ばれていた。1971年に安全上の理由でル・マン式スタートは廃止されたが、近年のWECではこれを模して、レース開始前にダミーグリッドへ整列する代わりにル・マン式スタートと同じ位置にマシンを配列している。レース開始時はしっかりとドアを閉め、ドライバーもシートベルトをした状態で配列順でマシンを出発させ、順番を乱さないようにサーキットを1周走り(フォーメーションラップ、という)、その上でスタートする、という方式を採用している。
F1におけるF1パドッククラブにあたる、VIP向けのサービス。その豪華な特典の数々たるやここにはとても列挙しきれないので個別記事に譲る。
クラブと称してはいるものの会員制でも通年利用でもなく、1レースごとにクラブパスを購入し、購入したレースに限って利用できる仕組みとなっている。料金も通常の観戦席とは比べものにならないくらい高いが、お金があれば一般人でもクラブパスを購入できる(少なくとも金銭的ハードルはF1パドックパスよりもかなり低い)。モータースポーツをこよなく愛する人ならば是非、この素晴らしい体験の数々をその身をもって味わって欲しい。
WECの主催元であるACOおよびFIA監修のもと、PC用ソフトウェア『rFactor2』上で実施される、いわばeスポーツ版WEC。eスポーツではあるが、レギュレーションの関係からeスポーツプレイヤーだけでチームを組むことができない。出走にあたってはシムドライバーのみならず、実際にFIA発行のモータースポーツライセンスを取得しているドライバーを2人チームに加える必要がある(このシリーズの1チームあたりの人数は4人または5人)。
これにより、選りすぐりのeスポーツドライバーと、リアル世界のレースでも活躍しているドライバーの両方が加わって激戦を繰り広げることとなっている。出場経験のあるドライバーのなかには、
・F1チャンピオン ジェンソン・バトン、マックス・フェルスタッペン
・フォーミュラEチャンピオン ストフェル・バンドーン
・インディーカーチャンピオン アレックス・パロウ
などの錚々たるメンバーもいる。
また、こうしたドライバーチームについても、eスポーツを本業とするチームや、自動車メーカーが組織したチームなど様々。中には現にF1に出走しているメルセデス、ウィリアムズや、リアルWECに出走しているポルシェ、プジョー、D'stationが結成したチームも存在している。
シリーズは全5戦で構成され、そのうちル・マン24時間はシリーズ最終戦に組み込まれている。シーズン中にはリアルWECでは存在しないニュルブルクリンクでのレースもあり、リアルWECとはまた違った面白さがある。
また、このシリーズについても複数カテゴリーが混走する形式を採っているが、クラスはLMP(リアルWECのLMP2に該当)とGTE(リアルWECのLM-GTE Proに該当)の2つしかない。うち前者は全チームが同じ車両(Oreca LMP2)を使用し、後者はポルシェ、フェラーリ、アストンマーチン、コルベットの4社のLM-GTEマシンのうちからチームが任意のマシンを使用して出走する。
また、公式戦とは別にリアルWECに導入する予定の新たな要素の実験台のような存在として、このプラットフォームが用いられることもある。2023年のリアルWEC ル・マン24時間レース開催に先立ち、ル・マンのみに用いられるセーフティーカーの新たな運用方法と、それに伴うマシンの動きについてのシミュレーションも行われ、ル・マン・バーチャルシリーズに参戦しているシムドライバーが参加してマシンやセーフティーカーの立ち回り等を確認した。
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