概要
アストンマーチンとレッドブル・レーシングによる『究極のロードカー』を生み出す共同プロジェクトとして、AM-RB 001のコードネームにて開発されたのが本車である。
『空力の鬼才』の異名を持つエイドリアン・ニューウェイがアストンマーチン側のマレック・ライヒマンと共に開発指揮を採っている(特にニューウェイにとってロードカーの設計は「長年の夢」とするほどの意欲作だったことがうかがえる)。
総生産数は150台、そのうち日本には11台が納入されたそうな。
車両設計
パワーユニットはコスワース製V型12気筒自然吸気エンジンと162馬力・280 Nmを発生するモーターユニットを繋げたKRES(エネルギー回生システム)によって構成されており、システム出力は1176馬力/900Nmを発揮する。
グランツーリスモにも収録されたレッドブル・X2010の車体デザインを応用して造られたボディはフロントバンパー下部のフロントウイングやボディ下面の造形と後端部のディフューザーによって強烈なダウンフォースを生み出す。
また本車のドアは(教義の意味での)ガルウィングドアを採用しているが、後述のオープンモデルではランボルギーニ・カウンタックでおなじみの「シザースドア」を採用している。
派生車種
- ヴァルキリー スパイダー
150台生産されたヴァルキリーとは別に85台が限定生産されたオープンカーモデル。
ルーフを取り外してもパフォーマンスを維持するべく、アクティブエアロシステムとアクティブシャシーシステムに調整が加えられている。
- ヴァルキリー AMR Pro
ヴァルキリーのサーキット走行専用仕様。
元々本車はル・マン24時間レースを擁する世界耐久選手権のトップカテゴリがLMP1からLMH規定に移行することを主眼に開発が進められていたが、ローレンス・ストロールが共同出資者としてアストンマーチンを買収したことからレッドブルとの提携が終了。
それに伴ってハイパーカー計画が凍結したことで「レギュレーションに縛られない究極のパフォーマンスを発揮するマシン」に変化した経歴を持つ。
40台が生産され、「FIA公認サーキットでアストンマーティン主催のサーキット・デイに参加する権利」が購入特典として付与される。
- ヴァルキリー AMR-LMH
紆余曲折あって凍結されたLMH計画だったが、2023年に突如として「2025年シーズンにハイパーカークラスへの参戦」を発表。後に北米スポーツカー選手権である『IMSA』にも参戦を発表し、ハイパーカー規定でWEC/IMSAの両選手権へ参戦する初のマシンとなる。
車両はAMR Proをベースとしつつ量産車と同じコスワース製V型12気筒は変わらないものの、ハイブリッドユニットはオミットする仕様となる。
ハイパーカー規定は本来「量産ハイパーカーによる参戦」を主眼としたレギュレーションだが、同時に量産車をベースとする際に発生する様々な制約(年間生産数・搭載エンジンなど)が撤廃されるプロトタイプカーでの参戦が認められていることもあり、レギュレーション制定時から量産車での参戦がなかった。
そういった歴史から、ヴァルキリーはハイパーカー規定で初となる量産ハイパーカーでの参戦ということもあり、今後も注目される存在となっている。
関連タグ
アストンマーチン レッドブル ハイパーカー ハイブリッドカー
・LMH規定のライバル
SCG007 ヴァンダーベル680 …ノンハイブリッドで強豪に挑んだライバル
ティーボ6 LMH-C …上記ヴァンダーヴァル680同様、ロードカー開発も計画されたプロトタイプ(ただしヴァルキリーとは開発順序が逆)