概要
正式名称は「Red Bull X2010」。
「もし地上最速のレーシングカーを・・・既存のルールやレギュレーション全てを投げ捨てたレーシングカーを作ったならば、それはどんな車になり、どんな性能を持ち、それを運転するのはどんな感じだろう?」 (発表時コメントより)
というコンセプトから、ゲーム『グランツーリスモ』の開発元・ポリフォニーデジタルがレッドブル・レーシングと共同で創り上げたクルマ。
その名前が示す通り、開発にはレッドブル・レーシング、つまり本物のF1レーシングチーム(それも当時のワールドチャンピオン、何なら2023年現在もバリバリの強豪だしチャンピオン取ってるトップチーム)が携わっている。
なお、登場当初は「X1」という名称だったが、「色々な物と被りすぎるから」という理由で、ゲームVer.1.05以降から現在の「X2010」に名称変更されている。
特徴
一言で言えば、「ぼくのかんがえたさいきょうのくるま」、これに尽きる。
まずはこの性能諸元を見てほしい。
全長 4.75m
全幅 2.18m
全高 0.98m
乾燥重量 545kg
走行重量 615kg
エンジン V型6気筒3.0Lツインターボ
最高出力 1458PS/15000rpm(1578馬力→X2011は1650ps・1657馬力以上)
最大トルク70kgfm/12000rpm
最高速度 450km/h以上
最大横加速度 8.25G
サスペンション形式 フルアクティブライド・サスペンション
ボディサイズや車重はおおむね2010年当時のF1のレギュレーションに則っているが、それ以降はどう見ても異様な数値が並んでいる。
以下を詳しく見ていこう。
ボディ
パッと見はフォーミュラマシンとプロトタイプレーシングカーの中間のような形。人によってはミニ四駆に見えなくもないだろう。
タイヤやドライバーがむき出しになっている普通のフォーミュラマシンと違い、タイヤとコックピットをカウルとスパッツ、キャノピーで完全に覆うことで空気抵抗を減らしている。
エンジン
3.0LのV型6気筒ツインターボエンジンをミッドシップに搭載。しかしレギュレーション無視とあって、最大出力は1500馬力以上(ゲーム内での実数値は1503馬力)に達する。
しかもこれでハイブリッドアシスト非搭載である。ガソリンエンジン単体でこれほどの馬力を出せている事例は、2020年代に入っても数えるほどしかない。
ファンシステム
ファンシステムとは、車体に設置したファンを回して車体下部の空気を吸い出す機構のこと。文字通り車体を路面に吸着させることで、速度に関係なく強力なダウンフォース、そして高いコーナリングスピードを得られるのだ。
過去のモータースポーツでも、シャパラル・2Jやブラバム・BT46Bといったマシンが採用したが、あまりの強さに(2Jは1年、BT46Bに至っては1戦で)出禁を食らった。それきり二度と公式に復活していない、まさに禁断の技術である。
当然というべきか、レギュレーション違反上等のX2010もファンシステムを搭載している(前述のタイヤを覆うスパッツはこのためだったりもする)。禁止されている物に惹かれるのも人の性というものか......。
ちなみに搭載を提案したのは、レッドブルのチーフテクニカルオフィサー(=マシン製作を統括する一番偉い人)、「空力の鬼才」エイドリアン・ニューウェイ氏。おいちょっと待て。
性能
このファンの装備、そしてもともとの性能の高さにより、最高速度450km/h以上、最大横加速度8.25Gという、とんでもない性能のクルマが生まれてしまった(F1で大体4~4.5G程度、一般車は大体0.5~1G程度。8Gは戦闘機の最大加速時とほぼ同じ)
しかも、戦闘機は足元の方向にGが掛かるが、X2010の場合は腕にかかる事になる
具体的な速さとして、F1ドライバーのセバスチャン・ベッテルがニュルブルクリンクGPコースのテスト走行でF1マシンのコースレコードをいきなり20秒以上も縮めてしまったり、最終的に1分4秒853というタイムを出してしまうほど。
また、結果的にグランツーリスモ5に登場する車の中では無敵になってしまった(続編ではX2010、X2011、X2014に続きビジョングランツーリスモからはSRT トマホーク Xもチートマシンと化している)なんつーバケモノだ!
主なバリエーション
S.ベッテル
レッドブルカラー。GT5でもレベルアップで入手可能。
また、2011年にベッテルのF1優勝を記念して配布もされた。
GT6ではいつでも購入できる。
ノーマル
文字通り普通のX2010。カラーも選べる。
GT6ではいつでも購入できる。
プロトタイプ
テストカー仕様に仕立てられたX2010。カーボン地の黒色がむき出しで、X2011に近いデザイン。
GT5ではセバスチャン・ベッテルXチャレンジをオールゴールドでクリアしないと入手できない(おまけにセバスチャン・ベッテルXチャレンジ自体難易度がかなり高い)レアなものだった。それゆえに高額なクルマのプレゼントが禁止される事態となった。
GT6では普通に登場するようになりいつでも購入できるようになった。
5G
eスポーツ大会の「レッドブル5G」用に調整されたX2010。大会用にいろいろと弱体化(馬力の下方修正、ファンカー機構オフなど)が実施された。オンライン予選参加者を対象にしたオンラインイベントで配布された
進化系
X2011
X2010の改良版。ファンの動翼・静翼からなる二重構造化などの最適化。フロントフェンダーの延長、リアウィングの拡幅等を施している。
GT5では有料DLCとして登場。現在は入手不可。
GT6ではいつでも購入できる。
X2014
グランツーリスモ6に登場するX2010の2014年モデル。フォーミュラカー初心者向けのX2014 ジュニア、究極のベンチュリーカーとして作られたX2014 スタンダード。X2011に引き続きファンが搭載されたX2014 ファン・カーの3種類が存在する。
X2014ファン・カー
現時点でグランツーリスモ6にしか収録されていない。エアロパーツを見直し、ダウンフォースを強化。
若干馬力は下がったが、前記のマシン達よりもコーナリング性能が上がっている。
(コーナリングスピードはX2011を上回るとか…)
X2014スタンダード
グランツーリスモSPORT、グランツーリスモ7に収録されているXシリーズの1台。
GTスポーツ、7ではXシリーズはスタンダードと後述のジュニアしか収録されていない。
この車はファンを持っておらず、整流板を取り付けて一般的なレースカーと同じ空力でダウンフォースを得る。エンジンも3Lから2Lに排気量を落として馬力も810馬力になっている。性能的にはF1に近いらしい。
あまりにもダウンフォースが強すぎるからか、高速域では火花が飛ぶ(サルトサーキットが一番見やすいかと)
X2014ジュニア
グランツーリスモSPORT、グランツーリスモ7に収録されているXシリーズの入門用車両。見た目こそ面影はあるが、パワーは250馬力と大幅に落とされている。性能としてはF3に近い。ファン構造も取り外されている。
しかし、550kgという軽自動車顔負けの車重とボディから発生する強力なダウンフォースで戦闘力は非常に高い1台である。
入手はブランドセントラル(ディーラー)でいつでも購入できる。
X2019コンペティション
グランツーリスモSPORT、グランツーリスモ7から新たに登場したeスポーツ仕様のX2014。X2014スタンダードがベースだがFIAと共同で開催する公式大会用に新たに作られた車両でエンジンも2Lターボから3LV12NAに変更、ホイールカバーもタイヤ交換を考慮して改良されるなど競技仕様に仕上がっている。
ブランドセントラルでいつでも購入できる。
尚、これらのマシンは実在はしないものの決して机上の空論ではなく全て既存の技術を用いているので採算を度外視すれば実現は可能である。
関連項目
車高が高い人……方向性は違えど、この手のネタが頻繁に登場する