52歳の公務員→悪役美少女!?
概要
2019年11月20日に上山道郎によってpixiv及びTwitterへとアップされた漫画作品。そして、この作品を第1作として作数を重ねた一連のシリーズ作。
作者の上山はコロコロやヤンキンにおいて、『機獣新世紀ZOIDS』や『ツマヌダ格闘街』等の発表で知られる少年並びに青年向けのベテラン漫画家である。
後に彼が連載枠を持つ月刊ヤングキングアワーズGHより商用化の運びとなり、同誌2020年5月号からリブート連載を開始した。既刊は7巻。
現実世界の人間が乙女ゲーの世界、それも悪役令嬢に転生するいわゆる悪役令嬢もの。
しかし、一般的な悪役令嬢もので転生するのは乙女ゲーをプレイするオタクの女性なのだが、本作は50代のおじさんが娘のプレイしているゲームの世界に転生するのが大きな特徴となっている。
それに加えて一般的な悪役令嬢ものにおいて、主人公の目的が「後に起こる自身の破滅の回避」が多い中、当作の主人公である憲三郎は積極的に悪役令嬢の役割を全うしようとするのだが、要所で他の登場人物に対して親目線で接したり、おじさんあるあるネタを披露した結果、周りの人々に慕われる展開が見所として挙げられる。
商業連載が始まる前にからネット上で話題になり、単行本1巻が発売される前に『次マン2020コミック部門4位』に至り、その1巻も予約段階で完売、すぐに重版が決まる程の話題作になっている。
2024年1月4日、TVアニメ化決定が報じられ、2024年8月1日にアニメ版公式サイトが開設された。
2025年1月からAT-XのほかBS日テレに加えて毎日放送やTBS、さらにはCBCなどにて放送されるとの事。
なお、上山のオリジナル作品では初のアニメ化となる。
連載開始までの経緯
上述したように、上山道郎と言えば長年において少年及び、青年漫画を主な活動のフィールドとしてきたベテラン漫画家である。
そんな彼が何故、通常においては女性向けジャンルであるとされる、悪役令嬢ものの漫画を描く流れになったか、その経緯は単行本1巻の後書きに書かれている。
それによると、近年連載していた作品が立て続けに打ち切りになり、若者の間で流行しているジャンルを研究しようと異世界ものに手を出したところ、悪役令嬢ものに大いにハマってしまう。
そこで「自分が読みたい悪役令嬢もの」を漫画にしてTwitterとpixivにアップロードしたところ、これがバズる。
そうしたらあれよこれよと商業連載が決まったのだった。
あらすじ
52歳の真面目な公務員・屯田林憲三郎は交通事故に遭う。
気が付いたらそこは学園舞台の乙女ゲームのような世界……しかも校内一高飛車なオーヴェルヌ公爵家の令嬢グレイスに転生してしまい!?
次マン2020コミック部門4位の期待の新作!
(公式より引用)
登場人物
現実世界
CV:井上和彦
本作の主人公。メガネを着けた禿頭の52歳。昭和時代を生きたオタクなおじさん。公務員。
詳細は個別ページにて。
屯田林日菜子
CV:黒沢ともよ
憲三郎の娘。20歳。
オタクの両親の下で育った結果、乙女ゲーを嗜む立派なオタクに成長した。
『マジビー』は何度もプレイし、縛りプレイにも挑んでいる程お気に入りのゲーム。
父の意識が『マジビー』に取り込まれている事実に気づき、父を見守っていた。
グレイスのビースト召喚時にはじめて選択肢を提示され、その後の召喚に際して(文字通りテレビに手を突っ込んで魔力を混ぜる)手を貸して以降、主にオリオン(グレイスのビースト)を通じて自身の干渉を憲三郎に伝えようとしている。
アドリアンの研究室からグレイス(=憲三郎)が繋がってくる事が判明したことで、現実世界の憲三郎や自分たちの状況を手紙で伝えることに成功している。
屯田林美津子
CV:本田貴子
憲三郎の妻。
彼女自身もオタクで、ゲームに憲三郎の意識が入っている事実を日菜子から聞いた際、すぐに納得していた(曰く “中学生の頃に読んだ「はてしない物語」から数え切れない程、異世界ものを見てきた” )。
若い頃は憲三郎の同人イベントで、コスプレをして売り子を担当するなどしていた様子。
乙女ゲー世界
学園
グレイス・オーヴェルヌ
CV:M・A・O
本作の主人公であり、『マジカル学園ラブ&ビースト』の悪役令嬢。誕生日は10月10日。
オーヴェルヌ公爵家は王家に次ぐ権力を持つと称され、グレイスは入学初日のアンナに身分の違いについて説教をする等キツい性格。
憲三郎に憑依されてからは本人の意識は消えており、知識と記憶が憲三郎に引き継がれている。
また、憲三郎の言動はおじさんのそれから、淑女としてその場にふさわしいものに変換されるようになっており、憲三郎はそれを「優雅変換(エレガントチート)」と呼んでいる(但し、一部オヤジギャグやオタク用語=ツンデレ、フラグ等には適用されない様子。一方で対応する所作はすべて変換されるため、演劇など意図的に言葉遣いや所作を変えられない欠点もある)。
元々のグレイスは自他共にキツい性格ではあったものの、回想シーンを見る限りでは言い方こそキツいものの割と真っ当な教え諭しをしており、悪役らしいイビりや罵り言葉を発する姿がない為、多くの読者からは「あまり悪役っぽくはない」と評される(但し、こうした「言動は真っ当だが当たりがキツいために、これをイビりや罵倒と勘違いされて、周囲に悪人と誤解されて疎まれている」部分は、悪役令嬢ジャンル作品のテンプレパターンあるいは様式美の1つでもある)。ちなみに幼少からの付き合いであるマチルド曰く「厳しい人であるが、意味もなく怒る人ではない」との弁。
一方で彼女の記憶によれば、幼少期はヴァルツの工房や庭師の仕事(上記のマチルドのアイロン仕事も)などを眺めるのが好きな子供であったが、淑女としての教育を受ける内に悪役令嬢としての性格が形成されていった。
また同時に使用人の仕事を眺める行為も「淑女らしくない」として、徐々に足が遠退いていった。
尚、ゲームにおける彼女の末路については不明であり、破滅の運命が待っていたかどうかはわからない。日菜子によれば王子ルート内で「悪霊に取り憑かれ、アンナと戦う」分岐があるらしい。
髪型は所謂縦ロール。
生まれた時に「髪は魔力の源なので、後ろ髪を切ってはならない」と占われた為、幼少期は伸びっぱなしでまとまりがない髪になっていた。
それを見かねたマチルダの提案と彼女の手仕事により、まとめられた髪がグレイスに好評であった為、以降現在に至るまで同じ髪型となっている。
ビーストは火属性と水属性を併せ持つ古代龍(エンシェントドラゴン)で、日菜子のある意図(後述を参照)により「オリオン」と名付けられている。
召喚時、最初に何故か小型のグレイスと憲三郎が召喚され、どこからか現れた手により混ぜられた末に召喚された。
また、属性変更はグレイス(=憲三郎)から干渉ができない様子。
実際のところは最初に召喚されたグレイスと憲三郎は、各人の魔力の象徴で(文字通り)日菜子の手で魔力が混ぜられ生まれている。また、属性の変更は日菜子の操作が必要となる。その他、日菜子の干渉はこのオリオンを通じて行われている可能性がある。
名付けも日菜子が行っており、自身の干渉を憲三郎に伝えようとしたが叶わなかった(日菜子によれば、幼い頃に憲三郎と一緒に見ていたアニメ「機械獣士ワイバーン」の恐竜型キャラの名前。憲三郎自身はそのアニメネタであるのは気付いたものの、日菜子の意図までは読み取れなかった)。
単行本3巻にて、憲三郎の介入によって生じたイレギュラールートの序章(?)にて、遂に夢の中で憲三郎とグレイスが邂逅する……のだが、その時のグレイスは牢獄を思わせる鳥籠に小さく縮こまっている状態だった。
アンナ・ドール
CV:関根明良
本作のヒロインであり、『マジカル学園ラブ&ビースト』の主人公。誕生日は10月10日。
平民ではあるが魔法の才能があり、熱心に勉強して魔法学園に首席で合格した。
また魔法学園への入学は両親の苦労の賜物でもあり、自身の為に力を尽くしてくれた両親を感謝、尊敬している。
入学早々、自身に優しく接するのみならず、そんな両親まで褒めてくれたグレイスを慕うようになる。グレイスと行動を共にする内に彼女の言動を自身のステータス上昇に繋げたり、彼女の導きにより攻略対象達とのフラグを順当に立てていく(もっとも、彼女自身にはグレイスへのフラグが立っているようだが)。
入学早々すっ転ぶドジな面や、グレイスの言葉に思わず涙する面から「欠点のある、完璧ではない人間」として描かれている。
その一方で、(第一印象が超好印象だったり、憲三郎自身が悪役としての言動が不得手であるのもあるが)グレイスの叱咤、説教を『厳しくも優しい指導』と捉えて吸収しようとする前向きさと素直さや、本来の『マジビー』ではグレイスから身分の違いについて説教される際に両親を貶され、悔し涙を流し※つつも奮起する様子や、自身をよく思っていないモブ令嬢3人娘に対して「仮にグレイスから迷惑に思われているならば、二度とグレイスの目の前に姿を表さない」「けれど、グレイスに対する尊敬と感謝は忘れない」と言い放って見せるなどの芯の強さも併せ持っている。
※本作で両親を褒められた際も嬉し涙を流しており、結果として「グレイスの台詞で涙を流す」流れは変わらなかった。
これらの事実から、憲三郎からは「ユーザーに共感される主人公」「つらく当たるのが心苦しいほどに素直な子」と評され、日菜子もアンナの悪い噂に対して「そんな子じゃない!」と怒ったり、モブ令嬢3人娘に対しての啖呵にグレイス(憲三郎)共々涙を流す等、思い入れは深い様子。
ビーストは風属性のペガサスで名前は「シリウス」。ヴィルジール曰く「性格が素直で主人の能力を反映しやすい」。
旋風の魔法をよく利用している他、空気砲のような風を作り出す「突風」や「空気の道を作って離れたところに自分の声を伝える」魔法も習得している。
学習能力も非常に高く(日菜子曰く主人公補正)、生徒会の面々から魔法や武術を教わったことで体力と魔法力が大きく成長したり、オーヴェルニュ家に泊まり込みに来た際は淑女としてのマナー、基礎教養を数日で一通りマスターした。またパズルもそれなりに得意で、試練の迷宮の構造を把握し、もう1つのクリア条件の達成に成功した。
ヴィルジール・ヴィエルジ
CV:石川界人
主人公達がいる国の第一王子にして王太子。2年生で生徒会長も務める。グレイスの婚約者。
出会う人間すべてを「国家にとって有用か否か」で値踏みする癖がある。
日菜子によれば「この癖もあって最も攻略難易度が高い」。憲三郎は「(恋愛についてもそういう視点で人を見るのであれば)主人公=アンナだけでなく彼自身も大変そうだ」との感想を抱いている。
上記の通りグレイスとは婚約関係にあるものの、言動や性格からあまり関心がなかったが、憲三郎が入って以降は彼女の実務能力の高さと謙虚さにときめいている。
ビーストは風属性のグリフォン。「空気の道を作って遠くの音を聞き取る」等の高度な魔法も使いこなせる。
オーギュスト・リオン
CV:鈴木崚汰
2年生。生徒会の保安部長を務める。野生的なイケメン。
肉体を強化する魔法が得意な「守護騎士」。
ヴィルジールとはかなり懇意な仲である様子。またグレイスとも入学以前からの知り合いで、憲三郎に憑依されるまでの彼女について「悪いやつではないが性格がきつい」と評しており、平民であるアンナと上手くやれるか心配していた。
硬骨漢に見えて虫は苦手で、偶然背中に止まったミヤマクワガタを見て「気持ち悪い」と発言している(一方でそれを取ったグレイス=憲三郎はテンションが上っていた)
極一部から「髪型が彼のように見える」と称されているとか。
ビーストは火属性のガルーダで、名前は「レグルス」。グレイス(憲三郎)の咄嗟の発想から盾への変形が可能になっている。
リシャール・ヴェルソー
CV:梅原裕一郎
2年生。生徒会副会長をしている長髪の無口イケメン。
攻撃重視の魔法を得意とする「剣聖」。
実はむしろ多弁であるが、口を開く度にしょうもないオヤジギャグを口にする為、周りから口を開かないよう釘を刺されているのが実態。
それ故、グレイス=憲三郎のオヤジギャグを「本物」と察するや否や、膝を曲げて完敗宣言をした。
単行本3巻にて(武門の家の事情もあって)音痴だと発覚する。
ビーストは水属性のシーサーペントで、名前は「サダルメリク」。グレイス(憲三郎)の咄嗟の発想から剣への変形が可能になっている。
ピエール・ジェモー
CV:永塚拓馬
2年生。生徒会書記。黒髪真面目イケメン。
幼少からヴィルジールに付き従う従者。真面目が過ぎて融通が利かないところがあり、憲三郎からも度々「堅苦しい」と思われている。
単行本3巻にて高所恐怖症だと判明する。
ビーストは水属性のガーゴイル。「ポルックス」と名付けている。
リュカ・ヴィエルジ
CV:古賀葵
ヴィルジールの弟。第二王子。元気で明るい性格。1年生。
ふわふわした雰囲気だが、勘や読みが鋭く油断ならない。
憲三郎が評して曰く「捉えどころがなく、攻略難易度はおそらく高い」
単行本5巻の時点で彼をメインにしたエピソードがなく、代わりに登場したエピソードの展開を予見させる言動を見せる、イベント発生の為のトラブルメーカーを演じる、シリアスなパートの場合はヴィルジールと共演する等々と、現状は狂言回しに終始している。
また、単行本3巻では今までの言動が祟り、憲三郎から「正直言って正体不明タイプはアンナの将来の婿候補にしたくない(要約)」、アンナからも特別な感情を抱かれていない等々、(『ヴィルジールの弟』にして『第二王子』の立場であるにもかかわらず)どちらからも心象が薄く空気に近い。
単行本6巻にて漸くリュカ単独の見せ場が出た……のだが、アンナが母からの「友達と高価な物を遣り取りしてはならない」「そのせいで必ず立場の上下が出来てしまうから」の言葉に、リュカが感銘し自身の振る舞いを正す と、他のキャラクターと比べるとやや締まらない扱いになったが、リュカの王族の生まれでありながら自身の誤りを素直に認め、襟を正した姿を見た憲三郎は彼を再評価した(と同時に憲三郎自身も、リュカと同様の行いをし掛けた不手際に気付いた)。
ランベール・バランス
CV:山下誠一郎
1年生。眼鏡をかけたツンデレイケメン。
頭脳明晰、成績優秀な人で生徒会の仕事もすぐに覚えた。
しかし、入試の際にはアンナに負けて首席の座を取られて以降、敵視しキツい言動を採っている。
これはランベール家は元々辺境の没落貴族の三男坊……実質平民だったのだが、優秀な頭脳と魔法の才能から名門・バランス家の養子となり、魔法学園にも入学できた。
つまりアンナと似た境遇だった為、彼女を一方的にライバル視しているのである。
また本人曰く「両親は自身を含む兄弟の教育への投資を惜しまなかった」との弁で、幼少期には『魔法陣入門』なる本を贈られており、今も大切にしている。
それもあってか、憲三郎からは「攻略難易度はイージー」「すでにフラグは立っている」「ツンデレは大抵ちょろい」との評価をされている。
その後、アンナからそろばんを教わる等の紆余曲折あり、互いに実力を認め合う健全なライバル関係となっている。
初めて成功した魔法が「弱った樹に花を咲かせる」魔法であったり、ビースト初登場時に「薔薇吹雪」の魔法を使ったりと、花に関する魔法に縁がある。
グレイスが使っている魔法杖扇(マジックファンド)を気に入っており、グレイスを通じてヴァルツに魔杖本(ワンドブック)を制作してもらっている。ちなみにこの時改造元となった本は、先述した魔法陣入門である様子。
ビーストは土属性のスフィンクス。「ズベン・エル・ゲヌビ」と名付けている。岩石や土を自在に操る他、先述した通り花に関する魔法も扱える。
ちなみに試練の迷宮で出題された「朝は4本脚、昼は2本脚、夜は3本脚の生き物を示す」問題(所謂〈スフィンクスの謎かけ〉)が解けず、憲三郎からは残念がられた。
ヴィオレ・コルボー、ジョーヌ・モワノー、マロン・シュエット
モブ令嬢3人娘。本来のシナリオではグレイスの取り巻きをしている。
初登場時は配膳を嫌がって学生食堂の管理人に詰め寄っており、憲三郎からは「令嬢としてあのような反応もありうるか」と、一定の理解されつつも「しかしあれだとただの駄々っ子だ」と評された。
アンナを快く思っておらず(本来のシナリオ同様か)、グレイスに対して悪い噂を流そうとするも意に介されず、アンナに告げ口で詰め寄るも突っぱねられている。
フランセット・メルキュール
CV:桑原由気
演劇部に所属する1年生。
本来の「マジビー」においては入学後すぐにアンナと友人になり、色々な情報をくれる「友人枠」のキャラであった。
学園祭において生徒会で演劇を行う際、演劇部に応援を要請したところ紹介された。部長であるアラン曰く「演劇に関する知識量は部内でも随一」で、演劇部が公演した劇の脚本を全て読破している。
生徒会を「箱推し」している発言や、「マジビー」世界にも存在するカメラを持ち歩いていたり、衣装合わせにしたヴィルジールやピエールの女装姿に興奮し、思わずどこかに課金しようとしたりするなど、かなり(にして世界観を壊し兼ねないぐらい)のオタク思考(=嗜好)の持ち主。グレイス=憲三郎からもオタク嗜好を感じ取っている為か、妙な親近感を感じている。
演劇終了後に登場した際、フランセット自身「顔がない(=著名人が登場しない理系)学科が苦手」と吐露すると、グレイス=憲三郎から「擬人化すれば良い(超要約)」の助言で急激な学力向上に成功、以前の演劇の功績も合わさりグレイス=憲三郎とアンナの推挙により、晴れて生徒会書記として参加する。
尚、後述されるアドリアンとのイベントにて、フランセットの父親が登場した。
ラピ・ラズリ先生
〈星誕の儀〉の第1関門の試験官を勤めるレッサーパンダ種の獣人で、普段はグレイス達のクラスの服担任を勤める。
専攻は『魔法物理学(※断じてコレではない)』。
極めて理知的な人物であるが人語に慣れていないのか、カタコト口調になっている。
オパール先生
〈星誕の儀〉の第2関門の試験官を勤める、仮面を被る男性教師(尚、素顔は目頭近辺の彫りが深いイケメン)。
専攻は『魔法幾何学』で「良い魔方陣はこの世界の法則を表しています……そして正しい法則を表した図形は常に美しいのですぅ」をモットウにしている。
上記のセリフの通り、語尾を伸ばして喋る奇癖の持ち主。
アンバー先生
〈星誕の儀〉の第3関門の試験官を勤める、チョイ悪な空気を醸す男性教師。
専攻は『魔法心理学』だが、相当数の生徒から自身の学科を軽んじられた過去を持つためか、生徒の目の前でヤニを吸うなどの問題行為が散見される。
一方で、アンバーが自身の専攻学科を嘲った際に、アンナの「(中略)人の心が大切でないなんてことがあるでしょうか?」発言を聞いて、大粒の感涙を流し(最終的にはグレイス=憲三郎と共に骨の髄まで浄化され)つつ自省する姿から、根底の人間性は極めて真っ当。
オーヴェルヌ家
ジョゼット
CV:篠原侑
オーヴェルヌ家のメイド見習い。11歳の獣人。
グレイスの身の回りの世話をしているが憲三郎が入り、突然優しくなったグレイスに戸惑っている。
ヴァルツ
オーヴェルヌ家お抱えのドワーフの職人。100歳。※ドワーフの中では中年に相当。
グレイスに依頼され算盤や伊達眼鏡、魔法杖扇(マジックファンド)等の様々なものを作っている。
本人曰く「子供の頃から鍛冶や大工仕事が好きで、続けている内にここまで来た」と答えており、同じく好きなもの(ガンプラ、テレビゲーム、ライダーごっこ等々)を大切にし続けてきた憲三郎自身にも共感するところがあった様子。
レオポルド・オーヴェルヌ
CV:大塚明夫
グレイスの父である公爵。45歳(憲三郎より年下)。
国の財務大臣を務めており、作中では2ヶ月ぶりの帰宅でグレイス=憲三郎と顔合わせとなった。
グレイスの記憶によれば「貴族としては優秀だが父親としてはポンコツ」。しかし、飽くまでも考えが至らないだけで家族を深く愛し、仕事も使命も常に全うする姿勢に憲三郎は敬意を示している。
実は公爵家の血統は彼の妻ジャクリーヌの方であり、彼自身は能力を買われて婿入りした田舎貴族の次男坊で、そこにコンプレックスを抱いていた(ある意味、アンナやランベールと似た境遇か)。
帰ってくるとヴァルツの許を訪れ、彼と共にコマ回しに興じるのが彼の息抜きらしい。
ジャクリーヌ・オーヴェルヌ
グレイスの母。
体調を崩しており、グレイスの入学1年ほど前から別荘で療養している。本来の「マジビー」には登場しない人物であるため、日菜子も見たことがない。
単行本4巻の後半、学園祭のエピローグ直前で姿を見せた。
30年ほど前に学園の生徒会長をしており、「生徒会が学園祭で出し物を行う際は縛りを設けること」の伝統を作った人物でもある(ちなみに、学園祭において男女逆転での配役のもと演劇を行う下り自体は『マジビー』本編でも同様)。
これについて日菜子と美津子は「仮に直接会えたら礼を言いたい」と発言している。
体調が安定してきた為、学園祭を訪れ夫とともにグレイス達の演劇を観覧したが「急用がある」として、グレイスとの再会は果たせなかった(その為、憲三郎自身も対面できておらず、日菜子達も姿を確認できなかった)
30年前に彼女自身が書いた脚本がグレイスたち生徒会とぴったりの配役となっていたり、グレイスが『優雅変換(エレガントチート)』によって演技に支障をきたしていた実態を把握し、リュカへのアドリブを指示したりするなど、謎の多い人物。
マチルド
グレイス専属メイドの1人。18歳の獣人。ジョゼットと故郷が違うのか、喋り方に訛りが目立つ。
主にグレイスの髪結いを担当している。つまりあの縦ロールは彼女の手によって作られている。
「手に持ったものを熱くする(お湯を沸かす程度、着火はできない)」生得魔法を持っており、幼少期から路上で「アイロン屋」として活動し、自身の弟妹たちの生活を支えていた。
その腕をジャグリーヌに認められ、オーヴェルヌ家で働くようになる。
当初アイロン係として働いていたが、グレイスの髪を自身の手で整えるのを提案し、実際にやってみせるとグレイスから好評であったので、以降から彼女専属の髪結い担当となり、作中時点まで継続している。
アドリアン・トロー・オーヴェルヌ
グレイスの兄。グレイスの2学年上(3年生)あり、ヴィルジールの先代の生徒会長。
ゲームとしての「マジビー」の攻略対象であるものの、DLCによる追加攻略対象であり、現実世界ではまだ未公開情報である。
魔法に関しては天才的な腕前を持ち、現在は隣国の魔法大学に留学して魔法を学んでいる(専門は土属性魔法)。作中では自身の土魔法と他者の水、火、風魔法を用いて木にかぼちゃ(ジャック・オ・ランタン)を生やしたり、亜空間に自身の研究室を作って、また他の場所との行き来に利用したりするなどの芸当を見せている。
その一方で魔法以外の事柄については「残念」とまで断言されており、作中のグレイスの誕生日パーティに1日遅れて(「あと少しで魔法が完成するから……」と何時までも研究室から出てこなかった)参加できなかったことも合わせ、アンナから「去年の生徒会は色々と大変だったのでは」と察された上に、ヴィルジールからも肯定されたりしている。
ビーストは土属性のミノタウロス(?)。「アルデバラン」と名付けている。
普段はアドリアン自身のマントとマスクとして着用しており、対象者の解析機能や、周囲からの魔力を収集して4つの胃で配合する能力を持つ。
パスカル・プワソン
アドリアンの従者を務める少年で、彼と同じ3年生である。
耳殻が尖り気味、グレイスの「100歳を超えている」との発言から、エルフと推測される(日菜子は「毒舌系褐色ショタエルフ」と呼んでいる)。
従者の立場からピエール同様に真面目だが、アドリアンの言動を熟知しているからか、彼が明らかなミスをした時は呆れた態度を隠さない。
キュッヒェ
ヴァルツの奥さんであるドワーフの女性。
不言実行を地で行く寡黙な夫と違い、お喋りで豪快かつ大雑把な言動を見せる、典型的な肝っ玉母ちゃん。
その他
アンナの両親
単行本3巻まで姿を見せておらず、その人となりはアンナ自身が語っていた。
アンナに魔法の資質が有ると判明した後、懸命に働いて学園への入学を支援している。
パン屋を営んでおり、他の人との交流は多い。その経験から、アンナに「自身に悪口を言う人物がいた、と告げ口してくる人物とは距離を取れ」の教えを与えており、アンナの行動規範の1つになっている。
ちなみにこれは本作におけるグレイスの初対面時の言動=アンナに対してその場にいない(アンナが尊敬する)人物を讃えたシーンと対になっている。
憲三郎は「見識あるご両親」と認めており、同じ親として尊敬の念を抱いている。
- アンナの母
単行本3巻にて登場。
気さくでおおらか、それでいて貴族相手でも物怖じしないと、典型的な肝っ玉母ちゃん。
ただし、相手の着衣や些細な所作で相手が「貴族であるか否か」が分かる観察眼、魔法が使えない一般市民にしては魔法に関する造詣が深い等々の不可解な点から、グレイス=憲三郎からは「もともと貴族と深く関わる生まれ」「ただの町民ではない 何か秘密がある」(何れも要約)と、睨まれている。
尚、憲三郎から前述の指摘された際はすっとぼけていたものの、バレバレで「正直さも母娘でよく似ている」と評されている。
レオポルドが偶然出会った際は彼の方が驚いており、本来の素性が気になる人物である。
- アンナの父
アンナの母と同じく単行本3巻にて登場。
実直で熟練したパン職人。
ただし、妻と違ってセリフはなく、それどころか背景同然の扱いだった。
謎の光
ジャクリーヌが馬車の中で話していた相手で、単行本4巻の時点では光の玉のような姿で描写されている。
ジャクリーヌと協力して暗躍している様子だが……?
用語
マジカル学園ラブ&ビースト
憲三郎が転生した先となる乙女ゲー。略称は『マジビー』。細かな設定は不明だがよくある魔法世界の学園もののようだ。
タイトルのラブは恋愛要素、ビーストは舞台となる学園の生徒がパートナーにする召喚獣が由来。
DLCによる攻略対象の追加なども行われている様子。
魔法
『マジカル学園ラブ&ビースト』における魔法は空中に文字を書き、文字に命令して行使する方式になっている。
しかし、本作での魔法は何世代にも渡って使用された文字に含まれる「言霊」の力が必要である、また魔力を持たない人間に術式の文字を読まれてしまうと彼らの思念が混ざり、空中で文字が霧散し、魔法が失敗してしまう等の理由から、魔法を行使する際には「かつて長い期間使われていた」かつ「今は使われていない(=一般人が読めない)」古代文字を使う必要がある。
憲三郎は「長期間使われており、こちらの世界で使われていない」条件を満たす『日本語の漢字』を用いて、古代文字を使わずに魔法を行使している。
また、魔法は「火」「水」「風」「土」の属性に分類され(所謂「四元素」の概念)、対立・あるいは補強の関係にある。これらの属性は行使者のビーストに影響される。
生得魔法
魔法の中でも、マチルドなどの一部の獣人が生まれつき行使できる魔法を指す(ジョゼットなど使えない獣人もいる)
幼少期から行使できる反面、他人への伝授もできず、自身も他の魔法を行使できない、またできる異能もかなり限定的である。
ビースト
使い魔となる召喚獣。従魔とも。
魔法学校に入学すると卵を貰い、その後1ヶ月の期間を経て召喚の儀式を行って孵化する。
また、先述した魔法の属性を原則1つだけ保持している。
本来のゲームではプレイヤーは関与できない完全なる運ゲーで、主人公のアンナが召喚するビーストによって、シナリオも攻略も大きく変わってしまう(ちなみに日菜子はリセマラはしない派らしい)。
作中ではグレイスのビースト召喚時、(文字通りの意味で)日菜子の手が召喚に干渉している。
種族とは別に呼び名が付けられており、共通項として星座のα星の名前が使われている。
試練の迷宮
学園の宝物庫に納められていた魔道具。見た目と物理的な仕組みは所謂「キューブパズル」。
起動すると周囲の人物6名を魔道具内に閉じ込めた上、周囲を複数の小部屋からなる異空間に変容させる。小部屋では試練(魔法を用いて回答する謎解き)が出題される。
魔道具の面を揃えると対応する人物が解放されるが、小部屋を出た時点で再度魔道具に戻され、面が自動的にシャッフルされる。
試練を12問正解するか、魔道具の面を6面全て揃えて閉じ込められた人物を一斉に解放すればクリアとなり、元の空間に戻れる。
ちなみに物理的に分解、組み直すのもできるが、それで面を揃えてもクリアにはならず、再度自動的にシャッフルされる。
『マジビー』本編においてはランダムに親密度を上げるためのミニゲームであるが、ゲーム画面内のキューブパズルを解く煩雑さから(実物で6面揃えられる)日菜子を含み「プレイする人はほとんど居ない」とされる。
作中では夏休みに生徒会総出で魔術結界の点検を行う際、リュカが迂闊に触れて起動させてしまう定時発生イベントとして登場。クリア後には攻略に多大な貢献を果たし(てしまっ)たグレイス=憲三郎には、学園全体が光り輝くほどの大きな好感度アップが発生した。
王子と平民
『マジビー』世界における童話。
同じ日に生まれたある国の王子と平民の少年は、とあるキッカケで知り合い、王宮の中で語り合うことになる。その時突如いたずら好きの妖精が現れ、魔法で2人の姿を入れ替えてしまう。少年の姿となった王子は王宮を追い出されてしまい、更に間が悪く近々王子が王位を継承する事になってしまい……とする内容。
作中では学園祭における生徒会の出し物(演劇)の演目として選ばれた。本来全編で2時間ほどの演目であるが、学園祭向けに30分程度になるように編集された脚本が存在する(脚本家は当時の学園の生徒会長であったジャクリーヌ)。
尚、この脚本には30年前に書かれたにもかかわらず、グレイスたちの入学まで上演されていなかった、グレイスやアンナが加入した生徒会で演じる為に書かれたように見えるほど、配役やセリフがぴったりであるなどと、謎が多い。
また、後にグレイスとアンナ自身も誕生日が一緒(同年のため必然的に同日生まれ)である事実が判明する。
学園ダンジョン
学園の敷地内にあるダンジョン。『マジビー』本編では攻略対象と一緒に探索すると好感度が上がるが、全滅させられると逆に下がってしまうやりこみ要素の1つ。最初は地下10階までしか行けないが、一度ゲームをクリアした状態だと最深部の地下99階まで探索できる。
学園に作られた練習用のダンジョンとされていたが、実際は順序が逆であり、遥か昔から存在するダンジョンが先にあり、これを監視するために学園が作られた経緯が真実の模様(この事実は王家や一部の学園関係者しか知らず、グレイスですら知らなかった)。最深部には眠れる古龍(スリーピングドラゴン)と呼ばれる存在(ヴィルジール曰く「モンスターと言うより古い神の眷属に近い」存在で、王家とは太古から契約を結んでいる様子)が居り、このダンジョンを支配している。
関連動画
『Renta!』によるCM
「MBSアニメ&ドラマ」YouTubeアカウントにおけるTVアニメ版予告動画
TVアニメ『悪役令嬢転生おじさん』ティザーPV|2025年1月より全国同時放送
TVアニメ『悪役令嬢転生おじさん』第1弾PV|2025年1月全国同時放送
TVアニメ『悪役令嬢転生おじさん』番宣CM|2025年1月9日(木)全国同時放送!
シリーズ一覧
関連タグ
グレイス憲三郎:本作品(Web版)の通称、あるいは本作本編のグレイスを指す通称(ある意味では表記揺れ)。ただし憲三郎とグレイスの両名を示すコンビタグでもある。
ツマヌダ格闘街:作者が2016年8月まで連載していた漫画。現実世界の憲三郎の職場が「妻沼田市役所」であったり、入院している病院が「妻沼田総合病院」になっている小ネタがある。