CV:岸尾大輔
概要
辺境の村である「ウィンドコロニー」に住む少年。性格は明るく天真爛漫で好奇心旺盛な熱血少年。
両親はすでに亡くなっており、面倒見のよい姉のマリア・フライハイトとの二人暮らしである。亡き父親のダン・フライハイトのようなゾイド乗りになることを夢見ている。
ガーディアンフォース編以降は、銃を使う場面もあるが、もっぱら名称不明の特殊な装備(ロープにもメリケンサックの様な打撃武器にもなる)を使っている。
年齢
少年編ではレオン神父の発言から14歳である事が明言されている。
GF編の開始時は、ガイガロスでのデスザウラーの撃破から2年後を舞台にしている事から、おそらく16歳である。
第35話から、ウルトラザウルスの登場に当たる第60話までの間に、劇中ではおよそ1年が経過しているらしいニュアンスの発言がクルーガー大佐の口から語られている事から、最終決戦時点におけるバンの年齢は17歳だと思われる。
人物
裏表の無い性格だが悪く言えば口下手でどんなに目上の人間に対しても敬語を一切使わないせいで、時折無礼者扱いされる事もある。
ただ礼儀作法を除くと最低限の常識はあるようで、フィーネの天然な言動には戸惑っているところもある。
一度言い出すとなかなか引き下がらない頑固な所がある半面、自分に非がある場合にはなんだかんだきちんと謝る素直さも併せ持っており、根は他人を思いやる事の出来る心優しい性格である。
しかし、その優しさからトラブルに巻き込まれる場合もあり、アーバイン達からは「お人好し」とも呼ばれている。イセリナ山のホワイトコロニーでは、ヴィオーラの妹のローザの、姉への憧れを守るためにわざと悪人を演じたが、そのことでムンベイから叱られている。
女性への免疫は決して強くなく、フィーネが全裸で纏わりついてきた際には取り乱し、ローザにも顔を何度も赤らめていた。
ガーディアンフォース編では、性格は以前に比べ冷静かつ思慮深くなり、険しい表情を見せることが多くなったが、トーマやアーバインをからかったりする事もあり、茶目っ気や陽気なところは健在である。
規律の厳しい軍の生活に若干辟易していた様子だが、お陰で上司などには敬語を使えるようになった。
少年編の頃から身体能力はずば抜けていたが、軍できちんとした訓練を受けた事で更に磨きが掛かっており、GF編では白兵戦や隠密行動の腕前を披露する機会が増えている。なお、マリアの趣向なのか、常に腹筋を披露しているが、とくにお腹を壊す場面もない。
共和国軍で訓練を受けたため、ゾイドの操縦技術も格段に向上しており、ジークの補助なしでもブレードライガーの性能を完全に引き出し、一時はブレードライガーのポテンシャルを上回って操縦に対応しきれなくなっていた。
最終的には本調子ではなかったとはいえあのデススティンガーをジークとの合体無しで圧倒するまでになり、ヒルツを戦慄させている。
基本的には仲間と共に戦う事を選ぶが、戦況が悪化して来た場合は、仲間を守る為に「悪いが足手まといだ。撤退してくれ。」と、あえて突き放す素振りをしている場面も何度かあり、人間として成長した半面、自己犠牲的な描写や汚れ役が増えた。
トーマには、年齢が近いこともあってかライバル視されており、また、恋敵としても認識されていた。
趣向
ホバーボードを愛用し、咄嗟の際にゴジュラスの残骸を昇ってガイサックから逃れるなど、腕前はかなりの物である。
パパオという果物が大好物で、レモン水も好きらしいが、シールドライガーの飲料水タンクにレモンエキスをたっぷり入れていた所、何も知らないフィーネに「水が酸っぱいから傷んでいる」と勘違いされ水を全部捨てられてしまった事がある。
コーヒーの味付けはミルクと砂糖派であり、(ドクター・ディの影響からか)塩コーヒーに目覚めてしまったフィーネとは真逆である。
- ただし、フィーネが塩コーヒーを好むのは、古代ゾイド人ゆえに大量の塩分を必要とするという設定があると、後年にニコニコ会議で判明した。
また、「ウィンドコロニー」を思わせるため、風車のある風景を好む。
愛機
アニメ
最初の搭乗ゾイドは、ジークの力によって復活したシールドライガー。この個体は20年前にヘリック共和国軍から登録が抹消されていた事が劇中で明らかになったものの、前の搭乗者について語られる事はなかった。
ただし最初のうちは動かすのがやっとの有様で、戦闘行為はほぼジークに任せっきりであった。
レイヴンのジェノザウラーによる荷電粒子砲を受け、ゾイドコアを破壊され死んでしまうが、ジークとフィーネの作り出した「エヴォリューション・コクーン」の力によってブレードライガーに進化し、以降はブレードライガーを愛機としている。
なお、バンのライガーは、後年のビット・クラウドのライガーゼロやレオン・トロスのブレードライガーと比較すると「自我」を見せる場面に乏しい。この理由は不明だが、ジークが最初に復活させた時点で仮死に近い状態であり、また、ジェノザウラーとの戦闘でも再度「死亡」したこととの関係性を指摘する声もある。
ただし皆無というわけではなく、トーマのディバイソンに敵機諸共ロックオンされた際には顎が外れて唖然としたり、バン達があずかり知らぬうちに戦闘が終了した際には尻尾を振って寂しそうに遠吠えをあげるなど、特に第2部以降はジーク共々比較的表情豊かである。
その他、プテラスやレブラプターなどにも搭乗しており、特にレブラプターは(ブレードライガーに通じる機体コンセプトを持つためか)気に入っていた。
漫画
当初は、オーガノイドのジークと直接合体して、ジークごと戦闘を行っていた。
そして、父親の愛機であったコマンドウルフで、オーガノイドのジークの名前の由来でもある「ジーク」を、レイヴンに対抗するために一度だけ操縦した。
その後は、後述の通りムンベイの亡き兄の愛機であるシールドライガーの「シーザー」にパイロットとして認められ、正式な愛機となった。シールドライガーの時点で、至近距離からレッドホーンのレールガンを回避するという猛者である。
後にシーザーはブレードライガーに進化したが、デススティンガーとの戦闘で戦闘の継続が不能になり、ライガーゼロにゾイドコアとデータを移植した。
- アニメにおけるアーバインのコマンドウルフとライトニングサイクスの関係に類似している。
その後、ワンオフ機として「シーザー・ザ・キング」が開発された。
ストーリー
ゾイド-ZOIDS-
遊びに出た先で盗賊団に追われ、逃げ延びた砂漠の遺跡でオーガノイドのジークと、同じ型のカプセルから出てきた記憶喪失の古代ゾイド人のフィーネ・エレシーヌ・リネと出会い、彼女の過去と「ゾイドイヴ」を探るため旅に出ることになった。
レイヴンとの三度目の対決でジェノザウラーを撃破する際、ブレードライガーのブレードが荷電粒子を切り裂ける事に気付き、その後のデスザウラー戦でも荷電粒子砲を防ぐことに成功している。
荷電粒子砲に対抗出来るバンのブレードライガーによって、父親の仇であるプロイツェンの野望はデスザウラーごと打ち砕かれた。
その後にルドルフ・ゲアハルト・ツェッペリンIII世が皇帝となった式典には「俺には勲章なんて似合わない」と言って出席しておらず、フィーネとジークを連れ再びゾイドイヴを探す旅に出た。
ガーディアンフォース編
第35話では立派なゾイド乗りの青年に成長。
クルーガー大佐の下で1年ほど訓練を受けていた。共和国軍内での階級は少尉。
フィーネと再会し、再びゾイドイヴを探す旅に出ることを決意するも、同時にヒルツや「ダークカイザー」と化したプロイツェンの一味が暗躍し始めた事により、クルーガー大佐の推薦でガーディアンフォースとして任命される。ガーディアンフォース内での階級は少佐。
イヴポリス(レアヘルツの谷)での最終決戦はレイヴンと仲間達との協力で、復活したオリジナルのデスザウラー(破滅の魔獣)を撃破し、ヒルツの野望を阻止した。
ゾイド新世紀/ZERO
『ゾイド-ZOIDS-』の次作である当作の最終話にて、直接の登場はないがデスザウラーとの決戦に使用されたウルトラザウルスがゾイドバトル・ロイヤルカップ大会のゴール地点に設定されており、コックピットに残された優勝者へのメッセージの中で彼と思わしき人物が「伝説のゾイド乗り」として読み上げられている(メッセージの語り手はハーマン)。
本作は『ゾイド-ZOIDS-』の数百〜数千年後が舞台であるため、主題歌の歌詞を借りれば「遥かなる歴史(とき)に名を馳せた誇り高き英雄」として「今来る時代(とき)に語り継がれた」ということである。
機獣新世紀ZOIDS
こちらでは、最初に彼を襲ったのは野良ゾイドになっており、ジークと出会った後に合体能力を使って二人だけで撃退し、シールドライガーは登場しない。後に、ムンベイの兄が乗っていた「シーザー」を譲り受ける。
フィーネとは初対面でキスをすることになった。
また、漫画版では物語がレイヴンを説得・和解したタイミングで終わった為、彼やフィーネは少年期・少女期のままである。
外伝では、ルージ・ファミロンと時空を超えた出会いを果たしており、正体不明の超大型ゾイドを容易く撃破してルージを驚愕させた。そして、ルージがシーザーを「シーザー・ザ・キング」と命名した。
バトルストーリー
設定のみ存在し、本編には登場しない人物であり、具体的にどのような活躍をしていたのかは不明である。
第二次大陸間戦争時代、シールドライガーは野生体の個体数減少のため大量生産ができない状態になっていた。
そんな中、バン・フライハイトの駆るシールドライガーの活躍は目覚ましく、既に旧式化しつつあったシールドライガーの量産計画を共和国に決定させるほどであった。
そして計画は、野生体を必要としない人工ゾイドコアを使用した当時の先端技術ゾイドブロックスが用いられるものへとシフトし、「シールドライガーブロックス」の開発が進められた。最終的には、どうしてもコストが見合わずに計画は頓挫してしまうが、この計画で得たノウハウがレオブレイズの開発へと繋がり、レオストライカーやレオゲーターなどの後のライオン型ブロックスゾイドを発展させていくことになる。
余談
- 名前の由来は「野蛮」であるが、実際には、直情的な部分こそあれど、心優しく野蛮とは言えない性格である。
- 漫画版では一度も射撃攻撃を行ったことはないため、RDよりも編重した戦闘スタイルである。シーザー・ザ・キングに火器が装備されていないのもそのためである。
- 岸尾大輔は、後の作品ではドク(ゾイドフューザーズ)とリュック(ゾイドワイルドZERO)を演じている。リュックは、バンとは性格とポジションは真逆であり、外見や所属や愛機はトーマに近い設定がされている。
- スーパーロボット大戦OEに出演した時は岸尾氏の声質の変化でアニメ放映時の演技ができなくなったらしく、幾分雰囲気が変わっている。