ゾイドの未来はZEROから始まる。
概要
2019年7月から始まった『ゾイドワイルド』新シリーズのメディアミックスのひとつ。令和初のゾイドアニメとなる。
カントリーな世界観を舞台に展開されるスラップスティック調のストーリーを描いた異色の前作から一転、未来的な文明や進化ゾイド主体の共和国VS兵器ゾイド主体の帝国といった国家間での戦争を描いた従来シリーズのコンセプトに回帰したストーリーが展開される。
コミカルなキャラクターや随所に挿入されるギャグなどが際立った前作に比べ、視聴年齢層は一回り引き上げられており、雰囲気も1999年に放送された第1作目『ゾイド-ZOIDS-』と2001年に放送された第2作目『ゾイド新世紀/ゼロ』(OPやアイキャッチなどに同2作のオマージュが見られる)に近い作風となった。
本作の前日譚である公式外伝『ゾイドワイルドEX-ZERO』が月刊ホビージャパンで連載中。
本作の放送終了後はタカトミチャンネルにて続編に当たる短編映像作品の『ゾイドワイルド戦記』が一月一話のペースで配信されている。
制作スタッフ
監督は両作品の監督を務めた加戸誉夫氏が、キャラクターデザイン担当は両作品のデザインを担当した坂崎忠氏が務める事になる。
シリーズ構成は荒木憲一(第1作、第2作で脚本担当)、撮影クルーに広瀬勝利(第1作、第2作の撮影監督)など、スタッフも第1作と第2作のスタッフが再集結するが、アニメーション制作は『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』、前枠の『イナズマイレブンオリオンの刻印』を担当したOLMが『ゾイドワイルド』から続投している(※『ゾイド-ZOIDS-』の制作を担当したXEBECが既に吸収合併により消滅していた為。この辺りの詳細は該当リンク先にて)。
また、本作の傾向として帝国軍の主要軍人の多くには過去のアニメゾイドシリーズ出演経験者が起用されており、更にナレーターは『ゾイド-ZOIDS-』の『ギュンター・プロイツェン』役の大塚芳忠氏が担当している。
公式側は『ゾイドワイルドの時代から過去の物語』と公表しており、監督も『(前作ゾイドワイルドとの)関連がある』とも語っている。
『ゾイドワイルドZERO』というタイトルも『ゾイドワイルドの原点』という意味であり、作品の世界観としては(多少異なっているとはいえ)前作と繋がっている模様。その関係としては『ゾイド新世紀/ゼロ』が『ゾイド-ZOIDS-』の遥か未来の世界であった関係が逆転した感じと思われる。
ただし、後述するゾイドの設定自体も前作とは大きく異なっており(ゾイドの大きさやワイルドブラストの設定など)、この設定のズレは終ぞ補完される事は無かった。
1作目終了から少し間を置いた10月から放送開始(アニメサタデー630枠が『ゾイドワイルド』放送終了と同時に終了した事もあり、アニメ新シリーズの情報は放送終了間際になっても公表されずしばらく不明なままであった)。放送局は過去に『ゾイドフューザーズ』及び『ゾイドジェネシス』を放送していたテレビ東京系列へと変更される。
TBSからテレビ東京へと時間を置かず続編に近い形で引き継ぐのも、テレビ東京版の方が従来のゾイドに近いのも、90年代・00年代と逆転している。
ちなみにゾイドアニメでは初めて第1話ではOPアニメだけがカットされている(OP曲は挿入歌として初披露されている)。
尚新型コロナウイルス問題から安全面を優先する為、5月29日に放送予定であった第33話以降が6月12日まで放送延期となり、その間はセレクション放送を開始する事が公式ツィッターで公表されている。話数の短縮はされず、放送終了も9月末から10月中旬へとずれ込んでいる。
本作のゾイド
登場するゾイド達(ジャミンガを除く)は再登場する前作のゾイド達も含めてサイズがキットの設定よりも大型化しており、キットの設定では全高10m台のグラキオサウルスが高層ビルに匹敵する巨体で描かれた。過去のアニメにおいても一部のゾイド達はキットの設定やバトルストーリーの機体よりも巨体で登場した例はあるが、登場する殆どのゾイドにそれが当てはまるのは今作が初めてになる。
また、ゾイドの搭乗方式も操縦桿や座席すらなく文字通り跨るのみだった前作から打って変わって操縦桿を備えた全周囲型のスクリーンを備えたコックピットが描かれるようになったが、搭乗の際にコックピットブロックが実体化して搭乗者の周囲を覆う今までにないものとなっている。ただし、これはあくまでアニメ独自の描写であり、残念ながらキットでは再現されていない。
ワイルドブラストはエヴォブラスト(進化ゾイド)・マシンブラスト(兵器ゾイド)に名称変更(ただしワイルドブラストという単語自体は両者の総称として普通に使用されている)。発動プロセスは左右の操縦桿を引き出すことで行われ、耐Bスーツ(いわゆるパイロットスーツ)無しでの発動は危険という設定がある。ロボットアニメではロボットを操縦すする際によく見られるメジャーな服装だが、ゾイドアニメシリーズ全般においてパイロットスーツを着用する描写は珍しい。
ゾイドとの共存を理念に掲げ、負担を最小限に抑えた共和国側の「進化ゾイド」に対し、ゾイドの軍事利用を目論む帝国側の「兵器ゾイド」にはZ-O(ゾイドオペレート)バイザーと呼ばれるアイバイザー型の装置が付けられているのが特徴で、かつてのシリーズのように陣営によってデザインや運用体制が異なっている。
このような「原点回帰」と言える要素は旧来のゾイドファンからは「やっぱりゾイドはこうでないと」などと歓迎されている一方、キットとの齟齬を心配する声や、野生やゾイドの権利への描写を売りにした『ゾイドワイルド』本来の世界観を結局活かしきれずに捨ててしまったという意見も少なからずある。
あらすじ
ゾイドとは、銀河の彼方に生息する、戦う意思を持った金属生命体である。
惑星Ziが最期を迎え、人類は第二の故郷として地球を目指すが、叛乱者の造反と、Ziフォーミング用のゾイド因子の暴走が重なり、ワームホールの突入によるタイムワープで移民船は21世紀の地球に辿り着き、その影響でゾイドが大量に出現。
Ziフォーミングの失敗が原因により、ゾイドの凶暴化と大破壊から度重なる地殻変動で地球文明は一度滅び、ゾイドも環境に適さず眠りについた。
後に『ゾイドクライシス』と呼ばれる事件から100年もの時が経った新地球歴30年
レオは自ら発掘し、とある事件で変異したビーストライガーを相棒に、地球の未来を左右する少女サリーが身に付けたペンダントに導かれるまま冒険の旅へと出発した。
(※公式サイト+追記文)
登場人物およびゾイド
主人公サイド
レオ・コンラッド(CV:野上翔)&ビーストライガー(ZW25)・ライジングライガー(ZW36)
サリー・ランド(CV:千田葉月)
バズ・カニンガム(CV:保村真)
共和国軍
ジョー・アイセル(CV:日笠陽子)&ラプトリア(ZW27)
クライブ・ディアス(CV:三上哲)&トリケラドゴス改・ワイルドライガー
ジェイク・ラモン(CV:興津和幸)&クワガノス(ZW37)・ソニックバード(ZW39)
ギャレット(CV:土師孝也)
シェリー・ハント(CV:浅野まゆみ)
クレストウッド(CV:江原正士)
クラウド(CV:山本匠馬)
帝国軍
リュック(CV:岸尾だいすけ)&キャノンブル(ZW26)
シェル(CV:浜田賢二)&バズートル(ZW28)
クリストファー・ギレル(CV:増田俊樹)&スナイプテラ(ZW29)
ダグラス・アルドリッジ(CV:三木眞一郎)&スティレイザー(ZW32)・ジェノスピノ(ZW33)・ファングタイガー
ノックス(CV:三宅健太)&ナックルコング・スティレイザー
コリンズ(CV:速水奨)
フランク・ランド(CV:稲葉実)
レイモンド(CV:西村太佑)
ビクター・スピーゲル(CV:高橋広樹)&ドライパンサー(ZW35)・ハンターウルフ
ジョナサン・シーガル(CV:堀内賢雄)
フィオナ(CV:古賀葵)
ハンナ・メルビル(CV:内田真礼)&スナイプテラ・オメガレックス(ZW38)
ジーン・エレシーヌ・リネ(CV:大本眞基子)
その他
ウォルター・ボーマン(CV:安原義人)
バーン・ブラッド(CV:古川慎)&ガトリングフォックス(ZW34)
ジョシュア・コンラッド(CV:堀川仁)
エド・マイス(CV:高木渉)
イレクトラ・ゲイト(CV:朴璐美)
デニス・ニールソン(CV:浪川大輔)
アリア・ジュマ(CV:荒井麻珠)
ジャミンガ
アーマーが無いヴェロキラプトル種ゾイドかディロフォサウルス種ゾイドに似ているが、全身が錆びてボロボロになったような姿の野生とおぼしきゾイド(サイズは人間と比較してキット版やアニメ第1期版に近い)。その見た目と緩慢でぎこちない動きから視聴者にはゾンビゾイドと呼ばれることも。
通常ゾイドに比べれば人間用の火器を数発撃ち込むだけで倒される程遥かに弱いが、一般人からすれば十分に脅威。リュックからは「ゾイドのなり損ない」、バズからは「本来は存在するはずがない」と言われている。
主題歌
オープニングテーマ
『Blue Blue Blue』(2話から24話)
『Player』(25話から)
エンディングテーマ
『ヒカリ』(1話から12話)
『DOOR』(13話から24話)
『夢の轍』(25話から37話)
『名もなき旅』(38話から)
関連画像
関連動画
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ゾイド ゾイドワイルド
ゾイドワイルド2・・・同時期に『コロコロコミック』で連載された作品。本作とは異なる世界観となっている。
ゾイド-ZOIDS-
ゾイド新世紀/ゼロ
ゾイドフューザーズ
ゾイドワイルド(前作)
妖怪ウォッチ!:ゾイドの後時間帯に放送。制作会社繋がりでもある。
未来少年コナン:世界観や科学者の祖父を持つヒロインが主人公に助けられ旅をするなど共通点が多い。