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ある日、少女が空から降ってきた・・・


解説編集

1986年(昭和61年)8月2日に公開されたスタジオジブリ作品として制作された初の作品で、当時隆盛を極めていたロボットSFアニメに対するアンチテーゼとして「子供向けのマンガ映画の復活」を掲げて企画された。宮崎駿らしい爽快な空中描写やスチームパンク的な世界観が高い評価を誇り、前期宮崎駿の集大成的作品となっている。


しかしアニメブーム全盛の1980年代中期においては、単なる「古臭いアニメ」と思われ、興行時はあまり良い成績ではなかったらしい。ちなみに当時は映画用に再編集されたテレビアニメ名探偵ホームズ」が同時上映されていた。

宮崎が国民的映像作家の地位を固め、レトロフューチャー世界観がブームになるのは1980年代末のことであり、本作が大衆に受け止められるのは公開後約3年を要した。


プロデューサーは高畑勲、音楽は久石譲金田伊功近藤勝也名倉靖博らが原画として参加している。


ストーリー編集

空賊に襲撃された飛行船から一人の少女が落ちた。あわや墜落するかに思われたが、気を失った少女の胸に掛かるペンダントの石が蒼い光を放ち、体が宙に浮いたことで少女は九死に一生を得る。


炭鉱で働く少年パズーは、ひょんなことから空から降りてきた少女シータを助け出す。パズーの家に匿われた彼女は、北の山深い地で暮らしていたが、軍属と思しき黒ずくめの男達によって連れ去られてきたとパズーに語った。

パズーの父は冒険家でラピュタの目撃者だったが、誰にも信じてもらえず失意のうちに生涯を終えていた。パズーは父の無念を晴らすため、彼が見たという伝説の浮遊島ラピュタを自分も見つけることを夢見ていた。シータと出会ったことでラピュタの存在が真実味を増し、パズーは冒険の予感に胸を躍らせる。

しかしシータを狙う輩は多く、空賊・ドーラ一家や軍隊、そして軍に所属する特務機関の大佐ムスカが現れ、二人の行く手を阻む。

シータの命を救い、彼女が祖先から受け継いだ家宝の飛行石はラピュタの秘密に通じており、シータ自身もまたラピュタの真実の鍵を握る人物だったのだ。

パズーとシータは自分達でラピュタの実態を確かめるべく、ドーラ一家とともにラピュタへ向け旅立つことになる…。


登場人物編集

主要人物編集

CV:田中真弓

本作の主人公。スラッグ渓谷で鉱夫兼機械工見習いとして働く少年。父は嘗てラピュタを目撃した冒険家だったが、詐欺師扱いされた挙句に亡くなってしまう。母も亡くなり天涯孤独の身だが、当人は逞しく日々を生きており、死んだ父の名誉のため、いつかラピュタを見つけ出すことを夢見ている。ある夜、空から落ちてきた少女シータを助けたことから、パズーの運命は大きく動き始める。


CV:よこざわけい子(当時は横沢啓子名義)

本作のヒロイン。ゴンドアという北方の渓谷でヤクを飼って暮らす村娘だったが、ラピュタに繋がる秘密の結晶・飛行石を持っていたため、軍に身柄を拘束されてしまう。ドーラ一家の襲撃に便乗して逃げようともがくうちに上空の飛行船から落下し、石の力とパズーのおかげで一命を取り留める。実はラピュタの王族直系の末裔にあたり、その血は物語を激動の渦へ巻き込んでいく。清楚且つお淑やかな美少女でドーラ一家の男連中が夢中になっていたが、時に大胆な所を見せ周囲を驚かせる事も。



ドーラ一家編集

飛行船タイガーモス号に乗って世界各地で活動する空中海賊。当初は飛行石を狙ってシータを執拗に追いかけていたが、後に軍に捕まったシータを救出しようとするパズーに協力する。

CV:初井言榮

タイガーモス号船長にして一家の首領格にあたる女傑。男顔負けの胆力と明晰な頭脳、優れたリーダーシップと戦闘能力で組織をまとめ上げている。当初は希少価値の高い飛行石の奪取を目的にしていたが、パズー達からの証言と軍の動向からラピュタの実在を確信し、城に蓄えられているという財宝の山を狙う方向に転換。ラピュタへの旅を目指すパズーとシータを一家に迎え入れる。


CV:神山卓三安原義人亀山助清

ドーラの息子たちで、シャルルが30歳、ルイが25歳、アンリが20歳。三人とも良い歳のはずだが母親には頭が上がらず、“ママ”と呼ぶ若干マザコンな一面も。むさくるしい空賊の中に突然やって来た可憐なシータに鼻の下を伸ばし、ドーラにどやされることも。


CV:槐柳二

タイガーモス号の専属技師。ドーラの父の代からいる古参メンバーで怒らせるとドーラ以上に怖いらしい。


ドーラ一家の団員であるモブ海賊達5人。世界各国から腕利きが集められているという背景があり、多様な面々が揃う。




政府・軍の関係者編集

本編の暫く前に空からラピュタのロボット兵が墜落してきた事件があり、調査でそれが現代科学のどの技術にも相当しない未知の製法で造られた物であることが判明。長らく伝説とされてきたラピュタの実在が確実視されたことで、国を挙げての探索行が始まることになった。尚、本作はパズーとシータの視点で物語が進んでおり、劇中では悪役的なポジションとして描かれているため少々わかりづらいが、本作の世界観での一般人からすれば海賊であるドーラ一家が悪側、軍隊が善側として認識されていることは留意されたし。


CV:寺田農

軍の特務機関に所属する謎の男。若くして大佐の地位にまで登り詰めたエリートで、表向きは慇懃な紳士だが、本性は奸智に長けた冷酷な人物。実はシータと血を分けたラピュタ王家の傍系にあたり、初めは大人しく軍のラピュタ捜索に協力・同行していたものの、次第に酷薄な素顔を顕にしていき、最終的に世界の支配を目論む壮大な野望を暴露。パズーとシータに立ちはだかる最大の敵となる。悪役らしい悪役が登場しないことが多いジブリ作品としては珍しくストレートでわかりやすい悪役でもある。


CV:永井一郎

陸軍の重鎮でムスカの上役。あまり賢くなく権威を傘に着て威張る卑小な人物だが、何処となく憎めない性格をしており、自ら率先して事に当ろうとする姿勢もみせる。しかし、ムスカに主導権を奪われた挙げ句、最終的に裏切られ、部下達共々始末されてしまう等、何かと不憫なお人でもある。


  • 黒眼鏡の男

CV:大塚芳忠菅原正志

ムスカの忠実な部下の特務機関員で常に2〜3人ほどがムスカと同行するが、ラピュタまで同行した2人は最終的に用済みとしてムスカに見捨てられる。ムスカの本意については聞かされていなかった模様。





スラッグ渓谷関係者編集

CV:糸博

スラッグ渓谷の鉱夫の重役でベテラン機械工。パズーにとっては孤児である自分を雇い面倒を見てくれたという育ての親同然の恩人で、ダッフィーも働き者で素直なパズーを可愛がっている。シータの騒動に乗じてシャルルたち海賊と殴り合いをして大いに暴れ回るお茶目な一面も。妻であるおかみさんには頭が上がらない。


  • おかみさん

CV:鷲尾真知子

ダッフィーの妻。肝のすわった性格。夫がシャルルとケンカしている最中にドーラ一家の追っ手から逃げるパズーとシータを匿い、パズーにシータを守ってあげるようにと諭す。


CV:TARAKO

ダッフィーの娘。幼子らしく好奇心旺盛で腕白。


  • 機関士

CV:西村知道

軽便鉄道(鉱山鉄道)の運転士を務める老機関士。運転している機関車も相当の老朽車輌。ドーラ一家の追っ手から逃げるパズーとシータを助ける。


  • ポムじいさん

CV:常田富士男

パズーとシータがスラッグ渓谷の地下の洞窟で出会った謎の老人。彼らに飛行石の秘密を教える。飛行石について妙に詳しいことから彼もまたラピュタ人の末裔ではないかという説もあるが真偽は不明。



その他編集

  • シータの祖母

CV:鈴木れい子

故人。すすり泣く幼いシータに、おまじないとしてラピュタにまつわる様々な呪文を教えた。この時に教えたおまじないが、ラピュタへの道筋を照らす。


  • パズーの両親

共に故人。父は冒険飛行家で、かつて探検中に低気圧の塊「竜の巣」の雲の切れ間から、伝説の「天空の城ラピュタ」を発見し、ラピュタの一部を自ら写真に収めるも、世間の誰も信じず詐欺師の汚名を着せられたまま亡くなる。母親に関しては遺影が映るのみで詳細不明。


  • パズーの父の協力者

パズーの父がラピュタを目撃した際に乗っていた飛行船の同乗者。パズーの父親が詐欺師扱いされたとき含め、その後の動向は不明である。


  • その他名称

タイガーモス号

フラップター

ゴリアテ

ラピュタ

飛行石

ロボット兵

キツネリス





人気の変遷編集

ムスカを筆頭に個性的なキャラクターや特徴的な台詞が多く、ネット上を中心にカルト的な人気を誇っている。「好きなジブリ作品は?」というアンケートでも上位に食い込むことが多く、テレビ放送時の視聴率も高い。

殊更インターネットの実況行為においては、各々の掲示板やSNS(2ちゃんねるTwitterなど)での書き込み数が毎度かなりの規模となる。

特に終盤の台詞(主にムスカのもの)や決定打となる呪文のシーンなど瞬間書き込み数が爆発的に上昇し、それがニュース化することもあった。人によっては、ムスカの台詞をタイミング含め全暗記していたり、冒頭のシーンから終盤の著名なシーンに至るまで、果ては挿入CMの予想タイミングまでピタリと予測するとんでもない人もいる。何がそこまで引き付けるんだ


しかし、公開された当時の興行成績は観客動員数77万人、配給収入5.8億円と、ジブリ作品の中ではワースト記録である。

また、1988年4月2日に金曜ロードショーにて初の地上波放送された際の視聴率も12.2%と、当時の人気アニメが当たり前のように視聴率20%以上を記録していたことを考慮すれば、これもあまりいい記録とはいえなかった。

もっとも、スタジオジブリ自身、本作を「まずまずの成功を修めた」と評価しており、トトロをはじめとする後続作品の制作を決めるには十分な成績であったとされる。


配給した東映による観客満足度調査は97.7%と非常に高く、少年少女から高齢層にまで支持を受けていた点は、当時のアニメとしては他に例をみないものだった。ジブリの「万人向け」路線はこの『ラピュタ』で既に定まっていたと言えよう(宮崎の前作品『風の谷のナウシカ』の支持者は青年層が中心だった)。


ちなみに…編集

「ラピュタのエンディング映像には続きがある」という噂があり、シータの故郷(ゴンドア)に降り立った二人が握手をして別れるという内容というもの。


ビデオ・DVDには一切収録されておらず、TVの初回放送と劇場版・LDのみの映像とも言われているが、後にジブリの関係者から正式に否定されている。しかし、実際に見たという人もあり、アニメの都市伝説と化している。


仮説としては、TV放映時に(恐らく)一度だけ「本来のものではない別のエンディングが流れた」事があり、その内容は「作品中のカット(あるいはスタジオジブリ作品関連資料集の一枚。この1枚がパズーがシータを迎えに行く絵)にスタッフロールを重ねる」というものであった為、それを年月の経過で誤解してしまったものと考えられる(証拠付きでまとめているサイトもいくつかあり、間違いのない情報と思われる)。


ちなみに、設定資料集には上記の噂の内容に類似したイラスト(本編未使用)が掲載されており、恐らくはこの絵を見た人が本編の絵と勘違いしたからではないかと言われている。


徳間書店から出た小説版では、映画で描かれなかった部分が書かれている。飛行船襲撃前の、シータがムスカ達に連れ去られる場面と、シータとパズーが各々の故郷に戻ったエピローグ部分である。そのエピローグでシータがパズーからの手紙を読むシーンがあり、ゴリアテは事故で大破して修復中とし、ラピュタについては全く触れられずに軍から公式発表されている。


余談編集

海外販売の際のタイトルは意訳である「Castle in the Sky」。これは原作(ガリバー旅行記)で意味するところのLa putaがスペイン語で「売春婦」であり、圧政と荒廃の象徴であるため。


尚、本作は舞台が北半球で、秋分を過ぎた秋季に起きた出来事であるのが飛行石の指した光の方角について説明するシータのシーンから窺え(今は最後の草刈りの時期で、日の出は真東より少し南にずれている等)、小説版では実際に秋であるのが明記されている。


当時新人声優だった林原めぐみ氏、関俊彦氏、大塚芳忠氏らが端役として出演している。



pixivにおいて編集

ポムじいさん、モウロ将軍、ドーラを首領とする空中海賊といった個性的な面々が多く登場するが、pixivにおいては本作の悪役ムスカ大佐への歪んだ一途な愛情を垣間見ることができる。

主人公であるパズーやシータの活躍と同時に脇役たちの印象も強く残る作品であり、

「親方ッ!空から女の子が!」(パズー

「40秒で支度しな!」「竜の巣だぁ」(ドーラ

などの台詞はpixivでも様々なネタに活用されている。


関連イラスト編集

天空の城の英雄ショートカットシータ

シータとフラップターと…ゴリアテ


関連タグ編集

スタジオジブリ 宮崎駿 ラピュタ

天空城 浮遊島 空中島 ガリバー旅行記


関連・類似作品

登場人物の作画がジブリに似ており、それどころかストーリーが本作を彷彿させるアドベンチャーであり、劇中で同作のムスカに似たモブキャラが登場する。それらの要素のおかげで視聴者からは「エロラピュタ」と呼ばれている。


本作は元々NHKに提出した『未来少年コナン2』とでもいうべき没企画を母体に作られたとされており、初期設定ではムスカが同作の悪役レプカの祖先として設定されていた等の繋がりがある。


その『コナン2』の企画をもとに製作されたNHKのテレビアニメ。同一の企画をベースとしているため、設定やストーリー展開が類似している。


フジテレビ世界名作劇場内で放送されたテレビアニメ。こちらもナディアと同様『コナン2』の企画をベースとして製作されているため、設定やストーリー展開が似ている。


台詞タグ

親方!空から女の子が! 人がゴミのようだ 次は耳だ 3分間待ってやる バルス 誰がそのシャツを縫うんだい? 目がぁぁぁぁあっ

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