概要
マザー・コンプレックスとは、子供の母親に対する強い愛情や執着を持つ状態。またはそんな人物を指す。あるいは、女性観や劣等感も母親の影響によるマザコンも含まれる。
心理学者のフロイトやユングによってこの心理状態が唱えられた。
日本では1980年代半ばからこの言葉が作られ、親離れできない、自己判断力が欠けた、甘えん坊のダメな子供(とくに男)に対するレッテルとして使われた。その人物の性別や年齢に基本際限はない。
長編古典『源氏物語』で光源氏は亡き実母の面影を持った義母の藤壺に恋心を抱き、ついには関係を持った。しかも、藤壺の生き写しの姪の若紫を育てて正妻に迎えており、その後も光源氏は藤壺の姿を追い求めるかのような女性遍歴を続けた。
しかし母親を慕う者の全てが母親に依存して甘えん坊という訳ではなく、自身の幼少期に母親を病気や事故で亡くしてしまっている過去などの辛い経験から、誰かの母親に対し普段とは打って変わって優しく接したり、母親を大事にしない子供に怒りを露わにするなど単なる親孝行者や母親思いの人達もいるので、むやみやたらにこの差別的な単語を使用する事はオススメしない。
海外はレディーファーストの文化から母親尊重の文化でありマザコンが多い。イタリアではマンモーネ(mammone)、アメリカではママボーイ(mama's boy、mommy's boy)と表現されている。ただし、現代日本(昔の日本では親の傍にいて仕えるのは美徳だった)ほどネガティブなイメージはなく、単に親孝行や母親思いという意味で使われることが多い。が、普通に「いい年して母親離れできない男」の意味で使わることも有る。
「マザーファッカー」という英語のフレーズが存在する通り、親不孝者の方がよっぽど非難される。
2000年代までは日本では主に男性に対して使われる事が多かった。
が、近年は女性のマザコンも増加傾向となっている。
代表例
- 須佐之男(古事記・日本書紀など)
- 光源氏(源氏物語)
- 徐庶(三国志演義)
- フグ田タラオ(サザエさん)こいつは子供なので仕方がない。
- トンガリ(キテレツ大百科)
- 母・貴子は夫(トンガリの父)のマザコンぶりに頭を悩ませ、何年もかけて母親に頼らないよう厳しく指導し、夫のマザコンを直した。しかし、息子の浩二(トンガリ)が生まれてからは彼を溺愛して育てた結果、トンガリは極度のマザコンになってしまった。トンガリのマザコンぶりや貴子の溺愛ぶりは友達や担任も呆れており、近所の小さな子供達からも「すぐに『ママー!!』と泣いてると、トンガリみたいな弱虫になるぞ」「大きくなったら、あんなのにはなりたくないね」と反面教師として見ている程であった。
- 骨川スネ夫(ドラえもん)
- ピンチの時や恐れた時に発する台詞「ママー!!」は有名。
- シャルル・コンティーニ(マッシュル-MASHLE-)
- 風間トオル、佐藤マサオ、桜田ネネ(クレヨンしんちゃん)
- ネネは母親が怒りの余り豹変すると「いつものママじゃなーい」と言って泣き出す。
- ただし、スネ夫~ネネで挙げられたキャラは未成年どころか小学生以下であり、親に依存しているのは決して不自然なことではない。
- ブラックジャック(ブラック・ジャック)
- 幼少期に爆発事故で母親を亡くしている経験から、母親の立場である人や母親を大切に想う人に対して優しく接したり面倒を見たりするポジティブな母親想い。それと同時に、母親を死に追いやった不発弾の責任者や事故後に愛人と逃げ母親を捨てた父親に恨みを抱いており、責任者に至っては探し当ててまで復讐を果たしている。「私なら母親の値段は100億円つけたって安いもんだがね」「私はおかあさんこそ世界一美しい人だったと信じていますのでね」という名言を残した。
- ネス(MOTHER2)
- セフィロス(ファイナルファンタジー7)
- アンナ・レスピーギ(バトルアスリーテス大運動会) ※テレビアニメ版
- ギイ・クリストフ・レッシュ(からくりサーカス)
- 何かあるとすぐ胸のロケットを持って「ママン」と言い、それを奪われると幼児退行する。
- レナード・テスタロッサ(フルメタル・パニック!)
- 伊達雪之丞(GS美神) ※漫画版
- キグナス氷河(聖闘士星矢)
- パッと見大人の男にも見えるが年齢的には中学生相当であり、スネ夫たち同様の理屈でまだまだ親離れできないのは不自然ではない。
- が、『Ω』で言い訳不能になってしまった。
- 塚原要(君と僕。)
- グレミー・トト(機動戦士ガンダムΖΖ)
- ケーン・ワカバ(機甲戦記ドラグナー)
- ジョナサン・グレーン(ブレンパワード)
- トッド・ギネス(聖戦士ダンバイン)
- 神隼人(ゲッターロボ)
- オーマ、巨神兵(風の谷のナウシカ) ※漫画版
- ジェイソン・ボーヒーズ(13日の金曜日)
- ウルトラマンタロウ(ウルトラシリーズ)
- 桂田冬彦(ずっとあなたが好きだった) ※出演:佐野史郎
- ペッシ(ジョジョの奇妙な冒険)
- 弱気な性格を「マンモーニ(上のマンモーネと同意)」と罵られているだけで、本当に母親に依存しているのかは不明。
- ハレ(ジャングルはいつもハレのちグゥ) ※グゥの発言より
- 西丈一郎(GANTZ)
- ヒルダ(クロスアンジュ)、ジュリオ・飛鳥・ミスルギ(クロスアンジュ天使と竜の輪舞)
- プリンス・ジョン(ロビンフッド) ※ディズニー映画
- 宗方仁(エースをねらえ!)
- シャア・アズナブル(機動戦士ガンダム~逆襲のシャア)
- スレッタ・マーキュリー(機動戦士ガンダム水星の魔女)
- 母親であるプロスペラの言う事は「全て正しい」と信じて疑わないなど妄信的で、「逃げたら一つ、進めば二つ」という祝福と呪いの二面を持った母からの言葉を信条としている。経緯がどうであれ、大切な人が守れれば人を殺し、「お母さんはいつも正しいんです」という道具のような花婿の姿を見た花嫁から「母親が夢を諦めろって言ったら、アンタは諦めるの?」と聞かれた際には「……はい。お母さんが言うなら」と笑顔で答えている。以上のことからプロスペラに対して、かなり依存している。
- ゾロリ(かいけつゾロリ)
- 幼少期に病気で母親を亡くしており、 毎度の様に天国の母親に語りかけている。ブラック・ジャック同様に母親の立場である人に対して優しく接する比較的ポジティブな母親想い。ほうれんそうマン時代には母親の『100歳になったら玉子を100個食べる事』という遺言のために玉子泥棒をするという迷惑をかけているが、『かいけつゾロリ』本編では道中出会った母親のために赤ん坊を命懸けで守ったり、最初こそ恐竜を捕まえて大儲けしようと奮闘していたがその恐竜が母親で子供の恐竜が金儲けのためにさらわれたと知るや否や激怒して恐竜の母親と共に恐竜の子供を助けに向かったりと結果的に善行を働いていることが多い。映画「まもるぜ!きょうりゅうのたまご」では前述の恐竜の母親の新しい卵を命懸けで守り、卵を破壊してしまったと勘違いした際は号泣しながら怪獣の母親に土下座して詫びていた。
- アンリ(天空の城ラピュタ) ※ドーラ家の三男
- 村井國男(GTO) ※鬼塚の教え子
- 九角天童(東京魔人學園) ※テレビアニメ版
- エーリク(トーマの心臓)
- 阿部晴明(俺の屍を越えてゆけ2)
- フリーセル(ファイ・ブレイン オルペウス・オーダー編)
- 東金朔夜(PSYCHO-PASS2)
- タチアナ・アレクサンドロヴナ・クロフスカヤ(スクールガールストライカーズ)
- ヌカ(ライオン・キング2 シンバズ・プライド)
- カイオウ(北斗の拳)
- 悪に目覚めたきっかけが母者の死。死に場所を母者の墓所に定め、ケンシロウとの決戦に敗れる寸前最後の力を欲し母者の墓前に縋った。
- 里中智(ドカベン)
- 矢澤にこ(ラブライブ!)
- 一条蛍(のんのんびより)
- 吉永恋(スローループ)
- ビオラ(でこぼこ魔女の親子事情)
- 生まれて間もなく捨てられていたところを拾われたため母親とは血の繋がりが無いが母を溺愛しており、初対面の相手だろうと母に好感を抱いたと感じれば鬼の形相でにらみつけ、母に片思いしているエルフに対しては容赦ない毒舌を浴びせるだけでなく、エルフの踊り食いが好きなウツボカズラ型モンスターに丸呑みさせる等明確な殺意を抱くことが多い。
- Dr.マシリト(Dr.スランプ) ※劇場版
- ただし原作でも初めてアラレに負けた時母親に泣きつくような捨て台詞を吐いているのでマザコンの可能性は否定しきれない。また、1997年のリメイク版では母親を病で亡くした過去が明かされている。
- ひびき洸(勇者ライディーン)
- 物心つく前に母親と生き別れ、母親の愛情を知らずに育った15歳の少年が普通の少年以上に母親を求めるのは不自然なことではない。
- 遥大地(魔動王グランゾート)
- ガルーダ(超電磁ロボコン・バトラーV)
- 三虎(トリコ)
- 戦争時代に生まれ、両親に捨てられ迫害を受けた末にフローゼに拾われ愛されたため。
- ゲン(モナ・リザの戯言)
- ヒイラギ・クロキ(エトラちゃんは見た!)
- 作品の性質上、役者に近い(彼らに限らず本チャンネルの登場人物全般は一周年記念動画にて役者であると明かされている)。悪役組に属するヒイラギはマザコンが原因で周りに迷惑をかけることが現在も多いがクロキも初期のころに妻より母親の言うことを信用し嫁いびりを放置していた事もわずかながらにあった。
- 森田・桃司(毎日ショコラ劇場)
- 作品の性質上、役者に近い。
- ダイスケ(アニポケ)※逃走時に叫んだセリフからマザコンであることをうかがわせる。
- しろく魔(妖怪ウォッチシリーズ)
- 渡辺修哉、下村直樹(告白)
- エミール・オークレール(復讐を希う最強勇者は、闇の力で殲滅無双する)
- となりの国の王子(リナトン)(Miitopia)
- サイショー編の終盤にて大魔王にビビった挙句婚約者であるサイショーのお姫様をほっぽり出して「ママー!」と叫んで逃走した結果、サイショーの王様によって婚約を破棄されるという結末を迎えた。
- 半田桃(吸血鬼すぐ死ぬ)
- 花村ひとし(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
- ルルーシュ・ランペルージ
- 境遇はシャアに近く、しかも皇族という生まれで母の身分を理由に皇妃達の嫌がらせを受けていたのも理由。しかし、その母が最悪中の最悪で最終的には脱却している。
- 東山浩太
- 大企業の会長の愛人を母に持ち、母が愛人を解任させられてからは苛めに加えて母からも罵倒され、愛に飢えた上に人間不信もこじらせ、幼児のように『いい子、いい子』とあやされただけで思考が止まってしまうほどに深刻な状態。恋人と母の両方の愛を与えてくれる女性と愛し合い、多少精神が安定する。
- 上司(テイコウペンギン)
史実におけるマザコン
実際のマザコンは実害がなかったのではないか…と思いきや、「史実は小説よりも奇なり」と言いたくなる面々が多い。
- ネロ・カエサル・アウグストゥス
- 鍾会
- 魏の武将。生涯独身を貫き、母の伝記を自ら書き記す程だった。
- ルイ9世
- 龍造寺隆信・鍋島直茂
- 1570年の今山の戦いは母(隆信の実母、直茂の継母)・慶誾尼の後押しによるものであったと伝わる。
- 豊臣秀吉
- 母である"なか"(大政所)に殆ど女手一つで育てられたことから親子の恩情と絆は極めて強かった。彼女が死去した時は死に目に会えなかったため、秀吉は倒れてしまったとも言われている。
- 徳川綱吉
- スターリン
- ダグラス・マッカーサー
- 山本太郎
- 自他共に認めるマザコンで、一時期は「母親以上の女性に会えないから結婚しない」とすら言っていたほど(その後一度結婚したが短期で離婚)。
- 山里亮太(南海キャンディーズ)
- 一人暮らしを始めてもなお、生活の大半を多々親に手伝ってもらっていることを公言。
- 野々村竜太郎
- 立候補の時から何かと母親が付き添っていたことで知られており、当選してからも議会の傍聴席や控え室に呼ぶほどだった。
- ハリー・フーディーニ
- 「脱出王」の異名を持つ米国のマジシャン。死んだ母と話をするため様々な霊媒と出会うが、天才的な奇術師である彼はその総てがインチキである事に気づいて暴き、やがて「サイキックハンター」としても有名となる。
- ロバート・E・ハワード
- 「英雄コナン」の作者として知られる作家。母の危篤を知ると、そのまま拳銃自殺してしまった。
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