「風の谷のナウシカの子 オーマ!! オーマは光輪を帯びし調停者にして戦士なり」
概要
巨神兵の末裔。
土鬼によって復活を遂げるも、制御に必要な「秘石」をナウシカが持っていた事から彼女の「息子」となる。
「死の光」を操る強大な戦闘力と、人の心を読むなどの超能力を有する。
工房都市ペジテで発見された卵から誕生した個体で、トルメキアがこれを奪取しようと画策するも、起動に必要な秘石が見つからず断念。後に土鬼に奪取され、聖都シュワで「墓所」の旧世界の力を用いて復活を果たす。
その後、トルメキアに侵攻すべく、ナムリスの元にサナギ(人工子宮)の状態で運ばれるが、ガンシップの砲撃に反応して孵化が始まり、目覚めてしまった。この時、秘石を持っていたのがナウシカであったため、ナウシカを母親と認識し「ママ」「母さん」と呼んで慕うようになる。
当初は幼児並みの知性しか持たなかったが、ナウシカにエフタル語で「無垢」を意味する「オーマ」という名を与えられると急激に精神的に成長、「裁定者」としての真の力を覚醒させる。
その後は、国家間の戦争の元凶である「シュワの墓所」に向かうべく、ナウシカと旅路を共にする。
性格
先述したとおり、最初の頃は赤ん坊と同じでかなり幼い。人間を遊び半分で殺す場面もある(人間の子供がアリを殺す感覚に近い)。
名前を与えられて以降は「裁定者」としての自負に目覚め、相手の表情や言動から心理や虚偽を見透かしたり、人間を品定めするかのような素振りをしたりと、厳格で尊大な一面を見せ、自らを人間よりも上位の存在として意識する。
また、終盤でシュワに侵入した際、パニックの余り攻撃してきたトルメキア軍を、「最後の警告」を無視したという理由でシュワの一部ごと焼き殺したり、ヴ王の言う和平を「終わりのない愚行」と一蹴し要求を無視する等、自らの力に物を言わせた強引な振る舞いが目立つようになった。
それでもナウシカに対してはとても従順で、トルメキアの醜悪な皇子たちを見て、「母さんと同じ種族だなんて嘘みたいだ」と驚愕している。
能力
「火の七日間」を引き起こした巨神の末裔だけに、超絶的な戦闘能力を有している。
背中に光輪を展開することで空間を歪めながら飛翔し、口や額からはプロトンビームを発射可能。映画での巨神兵を知る人ならば、その威力を想像するのは難くないであろう。
実際に、土鬼の追撃部隊をたった数撃で壊滅させたり、墓所の防衛システムと壮絶なプロトンビームの撃ち合いを演じた結果シュワが壊滅したりと、驚異的な威力を見せつけている。
さらに、超常の力を操る事もでき、遠方の風景をそのまま映像として念写する。人間とは念話を用いてコミュニケーションを成立させている。
ただ、プロトンビームや飛翔能力など、その能力のエネルギー源の関係上、常に全身から毒の光を周囲に放ち、多大な悪影響を及ぼす。この影響でナウシカは体調を著しく崩し、テトに至っては死亡してしまった。
またオーマ自身も、シュワの墓の技術を用いて不完全な復活を遂げたのが仇となり、これらの能力を行使すると肉体が急激に腐敗していく。
映画版との関係
映画版のものはオーマとは別個体であると考えた方がいいだろう。
その末路
途中、トルメキアの皇子たちの艦隊に付き添った後、ナウシカに旅の同行を願い出た皇子たちも連れてシュワを目指す。能力の使い過ぎがたたって発作を起こし、弱ったナウシカを庭の主の下に預けると、「母さんには休養が必要」と言い残し、彼らより先にシュワへと向かった。
シュワに到着すると、そこで勃発していた土鬼軍とトルメキア軍との戦闘に介入し、シュワの一部を消滅させる。
トルメキアの国王であるヴ王との謁見を要求し、謁見後に墓所の封印を宣言するも、墓所との壮絶なプロトンビームの撃ち合いとなり、シュワを壊滅させる。そして自身も、その戦闘で重傷を負い、墓所の堀へと転落して姿を消した。
一時はそのまま消滅したかと思われたが、ナウシカの呼びかけによって目を覚まし、プロトンビームで墓所を内側から破壊し、これにトドメを刺した。最期はナウシカに見守られながら、静かに息を引き取った。
彼の存在は、強すぎる力が何も生み出さない事、旧世界の遺物が人の心に悪影響を及ぼす事をナウシカに示し、同時にナウシカの中で芽吹いていた母性を大きく育てる結果となった。