あらすじ
西暦2087年、宇宙は熱い焔に包まれた……
月に樹立された統一国家「ギガノス帝国」が「地球連合」に対して独立を宣言、同時に宣戦布告を行った。その戦禍は地球にも広がり、マスドライバーやメタルアーマー等の兵器によって、
地球上の約7割はギガノス帝国の統治下となった。
そんな中、スペースコロニー「アルカード」の住人であるケーン・ワカバら3人の学生は、ギガノスの襲撃にあう。
避難している際に、瀕死の状態となっているギガノスの諜報員から3枚のディスクを渡され偶然発見した新型兵器「ドラグナー」のパイロットに登録されてしまう。
一応敵は撃破したものの、ドラグナーの登録は軍司令部に行かなければ解除できないという。
こうして、登録が解除されるまでの間、彼らは地球軍の軍人として輸送船「アイダホ」を守るため戦う羽目になってしまい……。
概要
『機動戦士ガンダムZZ』の後番組として1987年2月から1988年1月まで全48話が放送された作品。
サンライズ制作で、シティーハンターと共に放送途中で制作表記が日本サンライズ→サンライズ(20話~)と改称されている。
監督は神田武幸。
「ガンダムのリニューアル」をコンセプトに製作され、ここに神田の「ガンダムよりちょっと上の新兵のお話」という要素を追加し、制作が開始された(放送枠も同じ)。このため、初期の展開やキャラクターの設定などに共通点が多い。
しかし、1stガンダム放映から8年という年月が経った事で、当時よりリアリティかつ詳細化されたメカやSF設定はガンダムを意識しつつ、違うシリーズものとして始まる予定であった本作のひとつの特徴となっている。
(また他作品とは異なる設定ではあるが、ムーバブルフレーム等の既存の用語も登場している)
『ドラグナー』と『機動戦士ガンダム』との主な共通点は以下の通り。
- 主役チームが3機編成
- 主役側のヒロインがライバルキャラクターの妹
- 民間人が極秘機密のロボットを操縦し、そのまま軍属となる
- 主役メカは赤・青・白のトリコロールカラー
- 宇宙に存在する国家が、地球の政府に対して独立戦争を仕掛ける
- 序盤は宇宙国家側が技術、戦力ともに優勢で、地球側が後を追う展開
異なる部分は主に以下の部分。
- 主役メカのうち、1機がタンク型ではなく電子戦用になっている
- 作品を通しての共通の母艦が登場しない。
- 量産機はジムの様に単なるランクダウン機ではなく、性能面ではドラグナーを上回っている
- 主兵装はビーム兵器ではなく、レールガン(演出としてはマシンガンに近いか)等の実弾兵器
- 主要兵器(人型兵器)が、追加ユニットの装備で普通に大気圏内を飛行できる
- ガンダムとは異なり、全体的にライトな雰囲気で進められる(特に次回予告編において顕著)
- “ニュータイプ”のような、超人的な能力のキャラクターが登場しない(サイコミュに類似したコントロールシステムは登場するが、パイロットは常人)
…こういった設定を持ってスタートした本作であるが、残念ながらシリーズ化するほどの人気は得られず、当時は「ロボットアニメの冬」という事もあってか、そのブーム終焉に余計に拍車をかけることとなってしまった(この次にサンライズがこの枠で製作したのが鎧モノである辺りで察していただけるであろう)。
特に前半期は、上記のガンダムシリーズを踏襲した(しすぎた)設定やストーリー、あるいはややステレオタイプ気味のキャラクターが仇となり、ともすれば“劣化版”とも取られかねない「先の読める展開」となってしまった。
それを解消するために、後期では“典型的悪役”であるグン・ジェム隊の登場や、敵軍内部でのクーデター(最高指導者の交代)、ドラグナーの強化といった各種テコ入れが行われた(主役メカの強化、リデザインは、当時既にお約束とはなっていたが)
終盤では、一時的、限定的とはいえ、主人公と主役メカが敵軍に寝返って戦うという思い切った展開も試みられている。
しかしながら、これも結局は大きな成功には至らず、打ち切りという事態こそ回避したものの、ガンダムのような大きな話題を起こすことは出来なかった。
(これをメカデザイン担当の大河原邦男は「スタッフには恵まれたが、歯車が噛合わなかった作品」とコメントしている)
人気と評価の低さからソフト化の面でも不遇で、テープメディアでは未発売、レーザーディスク化は実現したものの、そのLDそのものがDVDへの移行期に当たってしまい、これもまもなく廃盤となった。
しかし、それから約13年後の2001年にゲーム『スーパーロボット大戦A』に登場したことをきっかけに人気が上昇。2005年にはDVD-BOXも発売されるなど、後年になって改めて評価された作品といえるだろう。
なお作画監督によってドラグナーのデザインが異なるのは本作に関わっていたアニメーターの大張正己によれば決して上層部が意図した事ではなくOPでのアレンジを真似した当時の若手アニメーター達による勝手な暴走との事である。(Twitterでの発言より)
登場キャラクター
- ケーン・ワカバ(CV:菊池正美)
- タップ・オセアノ(CV:大塚芳忠)
- ライト・ニューマン(CV:堀内賢雄)
- ジェームス・C・ダグラス(CV:大滝進矢)
- リンダ・プラート(CV::藤井佳代子)
- ローズ・パテントン(CV:平松晶子)
- ベン・ルーニー(CV:島香裕)
- ヤム(CV:戸谷公次)
- ダイアン・ランス(CV:勝生真沙子)
- ジム・オースチン(CV:嶋俊介)
- ギニール(CV:池水通洋)
- ロイ・ギブソン(CV:秋元羊介)
- ケニー・ダンカン(CV:柴本広之)
- ギルトール(CV:大木正司)
- ドルチェノフ(CV:飯塚昭三)
- クレスタ・ラナ・ギルトール
- マイヨ・プラート(CV:小杉十郎太)
- ダン・クリューガー(CV:柏倉つとむ)
- カール・ゲイナー(CV:島田敏)
- ウェルナー・フリッツ(CV:竹村拓)
- グン・ジェム(CV:加藤治)
- ゴル大尉(CV:島香裕)
- ガナン大尉(CV:笹岡繁蔵)
- リー・スー・ミン(CV:島津冴子)
- ジン中尉(CV:島田敏)
- ゲルポック(CV:西村知道)
- チェンドル(CV:千葉耕市)
- アデン(CV:星野充昭)
- ブリード(CV:牛山茂)
- パウエル(CV:牛山茂)
- ハイデルネッケン(CV:滝口順平)
- パーキンズ(CV:牛山茂)
- グルテン(CV:牛山茂)
- チェホフ(CV:飯塚昭三)
- ラング・プラート(CV:千葉耕市)
- アオイ・ワカバ(CV:火野カチ子)
- ミツ・ワカバ(CV:峰あつ子)
- ソウル・ジルセット(CV:鈴木れい子)
- ビル・ブライアン(CV:鳥海勝美)
- ヤム・ラオチュン(CV:千葉耕市)
メタルアーマー
スタッフ
―音楽:渡辺俊幸
主題歌
オープニングテーマ
「夢色チェイサー」(第1話 - 第26話)
作詞:竜真知子 / 作曲:筒美京平 / 編曲:鷺巣詩郎 / 歌:鮎川麻弥
スターライト・セレナーデ(第27話 - 最終話)
作詞:森雪之丞 / 作曲:井上大輔 / 編曲:大谷和夫 / 歌:山瀬まみ※
エンディングテーマ
「イリュージョンをさがして」(第1話 - 第26話)
作詞:竜真知子 / 作曲:馬飼野康二 / 編曲:鷺巣詩郎 / 歌:鮎川麻弥
「Shiny Boy」(第27話 - 最終話)
作詞:森雪之丞 / 作曲:井上大輔 / 編曲:大谷和夫 / 歌:山瀬まみ※
※意外にも当時は美声であり同時期に『ホワッツマイケル』のED「星空のエトランゼ」も歌っていた。が、彼女の声質が変わってしまったのか、あるいはアイドル路線自体をやめたからなのか、この作品を最後にアニソンを歌うことはなくなっている。
関連イラスト
関連タグ
サンライズ 名古屋テレビ
ドラグナー バリグナー メタルアーマー
銀装騎攻オーディアン※
スーパーロボット大戦
A.C.E.
バディ・コンプレックス:デザインが似通ったリアル系ロボットアニメであり飛行しながらの戦いがメインであるためある意味で「平成のドラグナー」
高河ゆん:本作の大ファンで、放映当時は「サンライズロボットアニメで、『ドラグナー』が一番好き」と自らの同人誌で公言していた。
機動戦士ガンダムSEED:作品のコンセプトや設定などに似通った部分が多い。なお福田己津央自身は本作で演出とストーリーボードに関わっている。また福田は3年後に『勇者エクスカイザー』で大張正己と共に仕事をしており大張は福田に対して敬意を示す発言をTwitterで行っている。
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY:ウィンダムのデザインがドラグナーと酷似している。
星刻の竜騎士:タイトルが偶然似ているだけで特に関連性はない。
※大張正己によれば、あくまで他人の空似であって内部機構などは2機で全く異なるそうである。
惑星ロボダンガードA:ドラグナーの10年前に放送された、訓練モノのスーパーロボットアニメ。
トップをねらえ!:ドラグナーの放送終了後にガイナックスが作った壮大なバカマジスペオペロボットアニメ。
テレビ朝日系土曜17:30アニメ
機動戦士ガンダムZZ← →宇宙伝説ユリシーズ31※
※3ヶ月の短期放送のため、同年中に『鎧伝サムライトルーパー』が開始している。また製作は他社。