概要
誕生経緯
人類は21世紀の中頃より月面開発に着手に乗り出した。夫々の方法で開発を展開後、国連に近い組織が制作され、協力会議的な組織も生まれる。が、あくまでも地球側である地球連合にとっては月面都市とは属国であると考え、議会に干渉する様になり、月の移住者達に芽生えた民族意識の心を逆なでする事となる。この反発心は独立気運と化して月面都市において、元某国軍将校であったメサイア・ギルトールが人心を掌握、結集させた。
月の代表者として『ギルトール宣言』を発表、地球からの独立を宣言。西暦2084年の『ギガノス事変』によって、統一帝国ギガノスが誕生したのである。
組織系統はギルトールの下に最高幹部会議、宇宙進攻軍と地球侵攻軍を纏める統合参謀本部、親衛機甲兵団に分かれる。
地球連合との戦争(番組前半)
ギルトールを中心に建国した統一帝国ギガノスは地球連合に対して独立戦争を起こした。マスドライバーを使った隕石攻撃、新兵器メタルアーマー(以降はMA)の活躍によって戦車や戦闘機、宇宙戦闘ポッドしか持たない地球連合軍を圧倒し、地球の7割を占領下に置く(少なくとも、北海道と東北地方の一部を含む東アジアは制圧された)。
だが、ギルトールの独裁と暴走から反発した親友でありMA開発者のラング・プラート博士が自ら開発した新型MA「D兵器」を奪って地球連合に亡命。当初は独立の機運で盛り上がった者達の中にも、当初の理想と掛け離れた現実から、ギガノスの独裁政治を危険視した良識ある者達も次々と離反していく。
この影響もあり、帝国中枢部はイエスマンのみによる暴走の危険度が加速。連合軍は追撃を躱しながらD兵器を基に量産型ドラグーンの開発に成功し、MAによる圧倒的戦力優位性は徐々に揺らぎ始める。
更にはD兵器追撃を完遂出来なかった親衛隊隊長マイヨ・プラートを南方戦線へ左遷した事に起因する若手将校及び親衛機甲兵団予備軍のクーデターまでもが発生。
政変と敗北(番組後半)
クーデター発生の中、ギルトールが地球攻撃を主張した強硬派のドルチェノフ中佐に誤殺され、彼はその罪をマイヨに擦り付けて追放、ギガノスは総統となったドルチェノフに掌握される。
しかし、組織は乗っ取られたもののギルトールの遺言からマイヨはマスドライバーを破壊し、総攻撃による地球大破壊は免れ、また劣勢も覆る事は無く、D兵器3機にあれだけ苦戦していたギガノスのMA部隊はドラグーンを大量生産した地球連合軍の敵ではなく、勢力図は書き換えられ始める。各方面軍は次々に壊滅し、虎の子の新型MAギルガザムネは調整が上手く行かず戦術的に多少の優位性は担保できようが焼け石に水で、もはや戦略的には完敗に等しい状況となっていた。
業を煮やしたドルチェノフは機動要塞による反攻に打って出るも、連合軍の猛攻やマイヨの機転により機動要塞は大ダメージを負い、木偶の坊と化す。これに乗じて連合軍の別動隊はギガノス帝国本土を強襲し、政府は連合に降伏、遂に敗北が決定的になってしまう。
トドメとばかりにリー・スー・ミンによってギルトール殺害の真実が全周波数放送で傍受され全軍はドルチェノフを見限り地球連合軍に投降。こうしてただ1人残されたドルチェノフもギルガザムネで徹底抗戦に出るが、怒りに燃えるドラグナーD-1カスタムを駆るケーン・ワカバとファルゲンマッフ操るマイヨのタッグに敗れ、機動要塞は月面に衝突して大爆発。かくしてギガノス帝国は滅亡し、連合内の一国家となる。
所属人物
上層部
メサイア・ギルトール:総帥
グラウゼン:総合参謀本部 元帥※
パウエル:宇宙進攻軍 大将※
ラインハルト:地球軌道軍 中将※(42話にて拳銃自殺)
ポーネフ:陸上戦域機動軍A軍団司令官 中将(45話にて月面の援軍に駆け付けるも46話にて敗北)
ジェイコブ:陸上戦域機動軍B軍団司令官 中将(43話にてエジプトで戦死)
シュタイナー:陸上戦域機動軍C軍団司令官 中将(42話にてエジプトで降伏)
ゼーフト:月面防衛軍第9艦隊提督 中将(43話にて敗北)
バルシーロフ:月面戦域軍司令官 中将(44話にて敗北)
オーデル:ラグランジェ軍司令官 中将(44話で敗北)
ブライデン:戦術機動宇宙軍司令官 中将(45話で出撃するも46話にて敗北)
パウルス:地球進攻軍太平洋方面D軍団司令官 少将(43話にて太平洋上で玉砕)
クラウディッツ:海洋戦域機動軍F軍団司令官 少将(42話にてインド洋で戦死)
バーキンス:親衛機甲兵団隊長 少将※
モーデル:進攻軍 准将※
ドルチェノフ:中佐→総統
親衛隊
マイヨ・プラート:親衛隊機甲兵団 大尉
ダン・クリューガー:親衛機甲兵団予備軍プラクティーズ 准尉
カール・ゲイナー:同上
ウェルナー・フリッツ:同上
グン・ジェム隊
グン・ジェム:大佐
ゴル:大尉
ガナン:大尉
ジン:中尉
リー・スー・ミン:大尉
他
ゲルポック:参謀本部特殊部隊 少佐
アデン:同上 中尉
チェンドル:同上 特務少尉
ハイデルネッケン:少佐 ドルチェノフの側近
ビル・ブライアン
※アニメディア87年6月号特集による組織図より。
保有兵器
フォルグアーマー
戦闘バイク
宇宙巡洋艦フンボルト
宇宙戦艦クラビウス
自航潜水魚雷クルーズ・ピート
偵察人工衛星
ギガノス哨戒機
ギガノス宇宙中継基地
ギガノス地球軌道上宇宙要塞
※偵察機は連合軍から鹵獲したものを流用している為に新造の航空戦力及び偵察用MAは無い
以下、特筆すべき兵器を記載する。
マスドライバー
本来は月面と地球を行き来するための物資の輸送カタパルトであったが、現在では隕石を射出し地球を攻撃するための戦略兵器となっている。その威力は一撃でウルル(当時はエアーズロック)を消し飛ばし、スペースコロニーをぶち抜いて爆砕、挙句連合軍本部までも一撃粉砕した。
しかし、地球を穴だらけにしてしまうこの武器の乱発はギルトールも倦厭しており、最後はギルトールの遺志を継いだマイヨにより、内部に時限爆弾を仕掛けられて破壊される。
『スーパーロボット大戦MX』ではデビルガンダムと融合してデビルマスドライバーになった。
二連装アームストロング砲
青森県の津軽海峡に建造された巨大要塞の主砲。直径がMAの胴体ほどもある巨大なビーム兵器で、通りかかる戦闘機を片端から撃墜し、極東の守りを固めていた。装甲は堅牢でMA用バズーカの直撃にもびくともしない。
しかし偶然にも竜飛崎にはケーンの母方の祖母ミツの暮らす村があり、偶然にもミツの爺様(ケーンにとって祖父なのか曽々祖父なのかは不明)が過去に要塞の建造に携わっていた為、要塞建造後は廃棄されていた青函トンネルの天井に残された落書きで弾薬庫の場所が露見、ケーンらにより時限爆弾が仕掛けられる。
最後はD-1に友軍の仇とばかりにレーザーソードで片方の砲身を切断され、上記爆弾による弾薬庫の誘爆で完全破壊された。
なお本番組は青函トンネル開通直前に放送されていた為、このエピソードが設けられたらしい。
風呂屋の煙突よりでっけえ(byタップ)巨大なビーム砲を搭載し、その威力は二連装アームストロング砲を凌駕し直撃すれば一撃で山が消滅するほど。発射の際には搭載したMAがよろけるほどの反動があるため、無限軌道を止め、クレーン車の様な脚を展開して地面に固定する。
心臓のような形状をした巨大な宇宙要塞。内部には都市があるほどのサイズ。
バイオフィードバックシステムにより敵を察知して機敏に動き回り、ハリネズミのように張り巡らされた砲台で殲滅する。その装甲は巨大な人工衛星が衝突してもびくともしないほど。
余談
元々『機甲戦記ドラグナー』は『機動戦士ガンダム』のリニューアルをコンセプトに製作されていた為、このギガノスはジオン公国のリメイクとも言える存在である。(ラスボスを主人公とライバルが協力して倒すというのも1stガンダムの没プロットの1つにあったらしく、実際『ドラグナー』と『ガンダム』のリファインとも言える『機動戦士ガンダムSEED』では最終回がそれに近い内容になっている)
その為かスーパーロボット大戦シリーズやA.C.E.シリーズ ではジオンと絡む事がある。
またACE2の続編であるACE3ではギガノス帝国のその後が描かれており、ドルチェノフの死後と大戦の後再編された地球連邦政府の傘下になったのだが、地球連邦による相変わらずなスペースノイドへの圧政や元ギガノス軍人の雇用問題への対応の遅れなどで地球への不満が再び多発し、悪政に腹を立てたマイヨ率いる反対派がネオ・ジオン、火星の後継者と手を組み、再び地球やドラグナーに牙を剥いた。
なお、リアルロボット作品では珍しく、非常に女性構成員が少ない。ミン大尉及び序盤に登場したモブのスパイ以外は、背景にすら女性将兵が登場する事が無かった。