本来の意味の「量産型」
本来の意味での「量産型」とは、同じ規格・仕様にて量産(大量生産)される工業製品のこと。
しかし、2022年時点で一般的に「量産型」という言葉の意味する所は、下記の「量産型コーデ・ファッション」の略称である場合が多い。
pixivにおいても2018年頃から「量産型」のタグに「量産型コーデの女の子」のイラストが混ざり始め、2022年時点では大半が女の子のイラストで埋め尽くされた状態になっている。
これらの現状から、量産型メカ及び量産型機械を指す場合は「量産機」のタグを、後述の量産型コーデの女の子を指す場合は「量産型女子」を使うのが望ましいが、なかには「無個性で主体性がない女子」という意味で使われる場合もあるため、扱いには注意が必要。
2023年時点で「量産型」という言葉はファッション用語として定着してしまっており、利用者個人のタグ付けでどうにかできるレベルを超えてしまっている。
量産型コーデ・ファッション
量産されたように同じようなファッションスタイル、コーディネートを着ている集団や、そのファッションのことを「量産型(量産系)」と呼ぶが、時代によって微妙に「量産」の指すところは変わっている。
前期
ファッションについて「量産型」という表現が使われるようになったのは2013年〜2014年ごろと見られ、このころは「(意図の有無に関係なく)みんなと同じようなコーディネートをしている若い(おおむね大学生くらいの年齢層の)女性」のことを指していた。
「フォーマル」や「ガーリー」のような具体的なファッションの系統を指すというわけではなく、当時のトレンドを追った結果、またファストファッションの浸透などの影響で集団において没個性的なファッションに落ち着いたことを、どちらかといえば揶揄する目的で称することが多かった。
「大学デビュー」「リア充/キョロ充」などと絡めて語られることも多く、大抵の場合制服で過ごしていた高校から私服となる大学進学のタイミングで「周りから浮きたくない」という心理が働き、あえて個性を主張せず、適度にトレンドを取り入れて「ダサくない」印象を与えるファッションを選ぶようになるとも考えられる。
なお、2014年ごろは森ガールの流れを汲む、ベージュやアイボリー、パステルトーンなどの淡めのカラーや、(控えめな)レースやフリル、フレアのミニスカート、革素材のショルダーバッグやショートブーツ、花柄など「甘め」のアイテムを多く用いたガーリー・フェミニンなスタイルが流行しており、これが森ガール含め後年の「量産型」に影響しているとも考えられる。
→参考①
後期
2016年ごろから男性アイドルのライブ会場、2.5次元系の舞台、声優のトークショーやコンサートが主体のアニメイベントなどに集まる女子が似たような服装をしていることから
「量産型女子」「量産型ヲタク」という表現が多く使われるようになり、そのうちに「量産型ヲタクによく見られるファッション」の系統のことを「量産型」と呼ぶことが増えていった。
こちらの量産型の場合、いわゆる姫系やゆるふわなどの流れに位置し、ガーリーの中でもロリィタに近いような、華やかかつ非日常的なスタイルが中心となっている。
一般に知られているコーディネートとしては、ピンクや白を基調に黒や濃いブラウンなどをアクセントとして取り入れ、レースやフリル、リボンを多用したアイテム、女性らしさ・愛らしさを強調するミニスカートに短めのソックスで脚を出し、厚底のストラップシューズかローファー、うちわやペンライトを持ち運ぶための大きめのトートバッグなどが挙げられる。
量産型の中でも黒を主軸にしたパンキッシュなコーデは「地雷系」と呼ばれ、量産型の対義語のように扱われている。
なぜこのようなスタイルがライブ会場(いわゆる「現場」)に集まる女性オタクに多いのかについて、詳しい起源などは不明であるものの、たとえば「推し」に一番可愛い素敵な自分を見てもらうために可愛い[服装にしたい、一緒に参加する友人と結束感を高めるためお揃いのアイテムを身に付けたい、オタクに抱かれがちな「地味で暗い」「ダサい」「芋っぽい」などのイメージを変えたい、などの目的があると考えられる。
これに加え、一つの現場で似た系統が固まりがちなことから「周りから浮きたくないからみんなと同じような服装をする」という心理も少なからず関係していると見られる。
また、量産型や地雷系は、ロリィタやゴシックロリィタ、パンクなど原宿系ファッションに近い系統でありながらカジュアルに寄った(悪くいえば「簡略化された」)ファッションであることから、「個性的なファッションをしてみたいが本格的な原宿系は敷居が高い」という層に注目されているとの見解もある。
→参考②
関連イラスト
関連タグ
量産型やは(pixivユーザー)