概要
Z世代の価値観変化に合わせて、テレビ局や広告代理店がアニメ情報の発信量を増やした末に誕生した量産型女子。ゆるく従来のオタク文化に興味を持っているが、2.5次元俳優やジャニーズといった"イケメン"を売りにしている芸能人を追いかけている。
見た目の統一感、集団行動への固執など、同質性へのこだわりは量産型女子と変わりはない。違いとされるのは、自らの服装や装飾品に推しの要素を混ぜ、ゆるふわ系コーデを軸に推しメンへの愛を表現する部分。通常の量産型女子より趣味嗜好の主張は強めで、インスタ映えを狙った写真投稿も欠かさない。
刀剣乱舞など2.5次元コンテンツが勃興した2010年代後半から出現し、Z世代の女子高生界隈で急速に認知されていった。〈JC・JK流行語大賞2020〉のコトバ部門第4位にランクインしている。
一般的なオタクとの違い
オタク(もしくはヲタク)という表記から『二次元の沼にハマったもの』と連想する人も少なくないだろう。しかし、量産型ヲタクは巨大メディアによる興行戦略のたまものという側面が強いため、『(従来の)三次元イケメンアイドルの沼にハマったもの』に近しいものといえる。以下、その特性の違いを表として挙げる。
異なる点 | (二次元)ヲタク | 量産型ヲタク |
---|---|---|
性別 | 男女問わず | 主に女性 |
興味の対象 | 主にアニメ・ゲーム・特撮キャラ | 主に2.5次元俳優・アイドル・ディズニーキャラ |
好きな実写 | SF映画、マガジン黄金期風 | トレンディドラマ |
好きな児童要素 | おもちゃ、うんこ、バブみ、ノスタルジー | ジュニアアイドル、背伸び |
好きなルックス | 萌え絵 BL 夢向け 俺ら 私たち | スーパーモデル(男性向けは除く) |
情報源 | ネット全般が軸 | テレビやSNSが軸 |
服装 | 個々の差異が大きいが全体的に地味、異性を求めない | ゆるふわ系で目立たない程度に推し要素を入れる、美意識が高い |
行動 | コミュニティ内で推しについて語る | お揃いコーデでInstagramなどに写真を投稿する |
知り合い・友達 | オタ充仲間、趣味仲間 | たまたま近くにいた人間(稀に苛めに発展)、野暮ったくない外見のいい人間全般(オタ充が巻き込まれることも) |
会話 | 好きな作品の萌え語り、日常語り、中二病が考えがちなオリキャラ | 恋愛経験や読書量の自慢、「かわいい」等の定型文や「自分アゲ相手サゲ」で要約できる嫌味(個人差あり)、イナゴ二次創作 |
嵌り方 | 推しに嵌る、好みの条件に合ったキャラを探す、キャラクター産業の誰かが刺さる | 他人の推しを気にして張り合う、レベルが高いキャラを探す、主要キャラたちを牛耳りつつ自分もコミュニティで目立つ |
交流の理由 | 趣味やキャラクターや友達が好きだから | 孤立阻止、手段の目的化 |
(関東圏の)生息地 | 秋葉原・池袋など | 渋谷・新大久保など |
好む店 | 地場、地元にたまたまあったチェーン店、親しい人に教えて貰ったいいお店、メジャーでもマイナーでもない好きなお店 | 大手チェーン店、テレビや雑誌が取り上げた五つ星のお店、テレビが取り上げてからぬい撮り目的で押し寄せた喫茶店 |
創作の動機 | 自己投影、萌え、性癖、同志集め | 上手い作品を作って承認欲求を満たす、他人と同じ話を絵柄だけ小綺麗にしたものを作りマウントを取る |
創作の題材 | なろう系流行前のファンタジー、オタク界隈のあるあるネタ | 舞台裏を舞台にした恋愛もの、ワンドロのような全員が同じテンプレを使って描くもの |
一次創作 | 中二病が考える壮大なストーリー、プレイヤーの分身、コミティア、web漫画、ツクール | ピクファンなどを使った交流、創作男女、プロや書籍化の知識自慢(本人はプロではない)、流行の後追い、二次創作だけして一次創作や1.5次創作はしない |
嫌われるオタクで連想するもの | コミケなどにいるマナーの悪いオタク | 容姿が悪い人間、恋人がいない人間、テレビが報道する形骸化したオタク像 |
欠点(個人差あり) | 現実でも二次元でも推ししか見ず、悪く言えば恋愛脳、コミュ障で、良く言えばお気に入りの相手としか付き合わず、三角関係でもない限り争わず、無関係の界隈に迷惑をかけず、作品が好きじゃないと言えない生々しい感想ばかり出す | 作品を交流手段と考えており、作品よりも現実の話を中心にし(だが、作品を見ない選択肢は選ばない)、時には好きでもない人と惰性で群れ、時には他人の推しにケチを付け、「原作と二次創作が違う」「原作は恋愛主軸じゃない」という当たり前のことで喧嘩をする |
※グレーゾーンも多い。
つまり既存のオタクから分岐したというよりは、従来の「おっかけ」と呼ばれた層であり、メディア的に健全で扱いやすい存在である。これはかつてアキバ系ブームの際、扱いにくい二次元ネタを排除し、AKB等の扱いやすいネタをオタクの代名詞にしたマーケティング戦略の女版ともいえる。
主に女性の特徴ではあるが、一部の男性にも通じるのでは?という説もある(交流のために好きでもない原作に手を出し、群れるなど)。