パンク
ぱんく
'60年代のガレージ・ロック、ビート・ロックの影響を受けながら'70年代に巨大化した音楽産業へのアンチ・テーゼとして社会運動化した。
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音楽のジャンル、ファッション、スタイルに囚われず、反社会的な姿勢そのものを総称してパンクと呼ぶ場合もある。
音楽の1ジャンルとしてのパンクと、生き方としてのパンクとに意味が分かれる理由には、イギリスにはアメリカ発の「ファッション」として伝えられ「流行」したという点が大きかった。
歴史
パンクという言葉がアメリカで使われ始めたのは1950年代と言われている。
パンクロックはアメリカのザ・ストゥージズ、MC5、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようなニヒリスティックな音にルーツを持ち、1974年頃からパティ・スミス、テレヴィジョン、ラモーンズ、トーキング・ヘッズ、ブロンディ等がシーンを形成したが、音楽性もファッションもバラバラであった。
パンクを世界的流行にしたのはイギリスでのムーヴメントによるところが大きいだろう。それまで主流であったハードロックなどは高度な技術を見せびらかすだけになって不満を持つ若者たちとは乖離し、粗削りなパブ・ロックなどに注目が集まるなど下地が出来ていた。そこに登場したのが技術的には稚拙でも奔放で激しいパンクであった。
1974年、ニューヨークでニューヨーク・ドールズのマネージャーを務め、ニューヨーク・パンクに影響を受けたマルコム・マクラーレンは、ロンドンに戻ると所有するブティックの店名を「SEX」に変え、「ニューヨーク最先端のパンクファッション」なる物の販売を開始。
「SEX」の宣伝のため、店の常連のゴロツキたちのバンド「スワンカーズ」にジョニー・ロットンらを加入させ、メンバーにはテレヴィジョンのリチャード・ヘルの恰好を模したファッションでキメさせ、バンド名は「セックス・ピストルズ」とした。
彼らのテクニックを無視した演奏スタイル/ステージ・パフォーマンス/ファッション/そして歌詞に込められた政治に対する批判や反抗精神は同世代のフラストレーションに火をつけ、圧倒的支持を得た。
その後、雨後の筍のようにこれらの後追いバンドが大量に登場。一気に時代のメインストリームへと踊りでた。しかしあまりにも急速に広がり過ぎたために空洞化が著しく、単に「パンクとさえ名乗っておけば売れる」といった志の低いバンドも多数存在した。そのためにパンクムーブメントは短期間で失速する。
1978年、ニューヨーク・パンクのシーンの後のニューヨークにはコントーションズ、DNA、リディア・ランチ、ソニック・ユース、スワンズ等がシーンを形成し、ブライアン・イーノがプロデュースしたコンピレーション・アルバム「ノー・ニューヨーク」からノー・ウェイヴと呼ばれ、この頃日本から渡ってきてコントーションズ等に参加したレックとチコ・ヒゲは、帰国後にフリクションを結成した。
西海岸では、ブラック・フラッグやデッド・ケネディーズといったコマーシャルなラジオに激しい敵意をもったバンドがカルト的な人気を集めていた。
その頃、イギリスはパンク・リバイバルの時代に入り、パンクのロックンロール色を排して暴力性や攻撃性を強調したエクスプロイテッド、ディスチャージ、ミドルクラス等がハードコア・パンクと呼ばれていた。
1990年代に入るとシアトルにパンク、ハードロック、カントリーなどに影響を受けたオルタナティヴ・ロック「グランジ」が登場。その立役者のニルヴァーナはニューヨーク・パンクの末裔たるソニック・ユースからの多大な影響を公言していた。
同時期、バークレーのシーンでパンク・ポップ(メロコア)の雄グリーン・デイやランシドも台頭したが、彼らの成功はラモーンズやクラッシュら先達の功績に負うところも大きい。
どちらもシーンは長続きせずに終息した。
日本では頭脳警察が早すぎたパンクと言われることもあったが、テクノ/ニューウェイヴとともにやってきたパンク・ロックはそれまでのプロテスト・フォークなどとも結びついて独自のスタイルを形成していった。
その中でもBOØWYやブルーハーツは商業的にも成功を収めた。
さらに1980年代にニューウェーブの申し子BUCK-TICKが、後のヴィジュアル系やV系の魁となっていった。
1990年代から2000年代前半にかけて「青春パンク」と化してJ-POPに取り込まれていき、現在ではパンク=青春パンクのイメージが強い。
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