概要
シアトル(英語:Seattle)は、アメリカ合衆国のワシントン州に属する都市。同州の北西部に位置する。カナダとの国境付近のフィヨルド(ピュージェット湾)にある良港で、バンクーバーに近く、鉄道・バス・飛行機・フェリーで結ばれている。74万9256人(2022年7月推計)の人口を擁し、近代的な超高層ビルが立ち並ぶハイテク都市である。
ちなみにグレーターシアトルと呼ばれる都市圏人口は約400万人に上っており、西海岸屈指の世界都市となっている。
歴史
1851年11月に市として成立し、1853年2月にワシントン準州が設置された。この時にヨーロッパ系の入植者の定住が始まり、当時は林業と漁業が主要産業だった。1865年1月に州政府から自治体と認定され、1869年12月に市に昇格した。市名はこの地に住んでいたインディアンのスクァミシュ族の長だったチーフ・シアトル(シアトル酋長)に由来するが、白人の入植に当たって彼ら先住民は土地を追われ、インディアン・リザヴェーション(インディアン居留地)へ連行されている。
なお、シアトルが飛躍的に発展したのは日本が大いに関係しており、「グレート・ノーザン鉄道を父とし、日本郵船を母とする」といわれるほど、日米貿易の拠点として重要な地位を高めたためである。また戦後になって世界最大の航空機産業ボーイングが同市経済を牽引し、国際的な知名度を高めた。現在、ボーイングは本社移転を繰り返している(今はワシントン近郊のアーリントン郡)が、今もなおボーイングの貢献は大きい。
後にシアトル経済を牽引したのはIT企業と流通小売業である。マイクロソフトを皮切りにAmazon、スターバックス、タリーズコーヒー、コストコといった世界的な企業が続々誕生し、日本の任天堂がアメリカ拠点としてシアトル近郊を選んだことも発展を更に後押しした。中でも世界シェア40%を誇るクラウドサーバ(AWS)企業として名を馳せるようになったAmazonにおけるシアトルの雇用は非常に大きなものとなっている。
地理
暖流の影響により温暖で降水量が多く、温帯雨林に囲まれている。市の東側にはカスケード山脈が迫り、成層火山のレーニア山(4,392メートル)が聳える。日本から最も距離が近いアメリカ本土の都市で、1957年10月以来兵庫県神戸市と姉妹都市関係にある。
な、シアトルのダウンタウンの写真でよく近未来的な円盤状のタワーが見られるが、あれはシアトル万博のシンボルとなっていたスペースニードルである。昨今ではダウンタウンの超高層ビルの方が高くなってしまっているものの、今もなおシアトルのシンボルとして市民に愛されている。
経済
IT産業と航空機産業が中心。ボーイング・アマゾン・マイクロソフト・コストコ・スターバックス・タリーズコーヒーなどの世界的企業がこの地で誕生しており、日系企業では任天堂がこの地にアメリカ本社を設置している。
文化
優雅なカフェ文化が根付いており、コーヒーの他にベーグルも有名である。オルタナティヴ・ロックバンドを多く輩出しており、サブ・ポップ、ジミ・ヘンドリックス所縁の街である。比較的リベラルな街故に富裕層の移民も多く、外部出身者に対して寛容である。
スポーツ
現在NBA(バスケ)を除いた北アメリカ4大スポーツリーグの3競技とMLS(サッカー)で、シアトルに本拠地を置くチームがある。
- シアトル・シーホークス(NFL:1974年6月創設)
- シアトル・マリナーズ(MLB:1977年4月創設)
- シアトル・サウンダーズFC(MLS:2007年11月創設)
- シアトル・クラーケン(NHL:2021年4月創設)
特に人気があるのが全米では珍しくサッカーであり、サウンダーズの平均観客数は他のMLSチームを圧倒するほど。
ただし以下のチームは移転した。
- シアトル・パイロッツ(MLB:1968年2月) → 1970年4月からミルウォーキー・ブルワーズ
- シアトル・スーパーソニックス(NBA:1966年12月 - 2008年9月) → 2008年9月からオクラホマシティ・サンダー